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アドニス(アリ・アフマド・サイード・エスベール)

アドニス(アリ・アフマド・サイード・エスベール)

Adonis (Ali Ahmad Said Esber)

ペンネーム: アドニス詩作・文学活動で使用するペンネーム, アドゥーニース(変形)英語圏で用いられる表記の変形

プロフィール

性別
男性
生誕
1930-01-01 (アル=カサービン(ラタキア近郊)、アル=アラウィー州、当時はマンダト・シリア)
国籍
シリア
言語
アラビア語, フランス語, 英語(翻訳やインタビューで使用)
宗教
無宗教/異教的ミスティシズム傾向
居住地歴
アル=カサービン(ラタキア近郊) → ベイルート(レバノン) → パリ(フランス)

経歴

職業
詩人, エッセイスト, 文学批評家, 編集者, 翻訳家, 大学教授
活動期間
1950年〜
所属
レバノン大学(教員), ダマスカス大学(客員教授), ソルボンヌ(パリ)/パリ第3大学(教員), ジョージタウン大学(客員), プリンストン大学(客員)
所属団体
アカデミー・ステファヌ・マラルメ(会員), アカデミー・ユニヴェルセル・デ・クルトゥール(会員)
影響を受けた人物
古典アラブ詩、クルアーン朗誦の伝統, サン=ジョン・ペルス(翻訳・影響), イヴ・ボヌフォワ(翻訳・影響)
影響を与えた人物
現代アラブ詩の世代(例:マフムード・ダルウィーシュ等), アラブ圏におけるモダニズム詩運動
ノミネート
ノーベル文学賞(1988年以降、複数回ノミネート)

学歴

ダマスカス大学
哲学科
学位: BA(哲学)
期間: 1950–1954
卒業年: 1954
国: シリア
学士(哲学)
サン=ジョゼフ大学(ベイルート)
アラビア文学
学位: 博士号(アラビア文学)
期間: 1960年代–1973
卒業年: 1973
国: レバノン
博士論文を含む研究活動

受賞歴

ビョルンソン賞
2007
結果: 受賞
ゲーテ賞
2011
対象作品: 業績全体
主催: ゲーテ財団等
結果: 受賞
PEN/ナボコフ賞(国際文学業績賞)
2017
対象作品: 業績全体
主催: PEN America
結果: 受賞
黄金の花冠(ストルガ詩の夕べ)
1997
結果: 受賞
ノニーノ詩賞
1999
結果: 受賞
国際ナズィム・ヒクメット詩賞
1995
結果: 受賞(初代受賞者)
アサン詩の世界賞(Kumaranasan World Prize)
2015
結果: 受賞
スティグ・ダゲルマン賞
2016
結果: 受賞
イェルム・ホメロス賞(イズミル国際ホメロス賞)
2022
結果: 受賞
グリフィン詩賞(翻訳部門)ファイナリスト(翻訳者)
2011
対象作品: 『Adonis: Selected Poems』(翻訳:Khaled Mattawa)
部門: 翻訳(ノミネート/候補)
主催: グリフィン財団
結果: 候補(最終候補)

受賞・候補エディション

  1. 受賞作: 生涯業績(Golden Wreath受賞)

    アドニスはアラビア詩における伝統とモダニズムの統合、神話的想像力と政治意識の融合を通じて独自の詩的宇宙を構築した。Golden Wreath受賞はその生涯にわたる詩作と思想的貢献を国際的に評価したものである。

    亡命・ディアスポラアイデンティティ伝統と革新神話政治的主題
  1. 受賞作: 生涯業績

    アラブ近代詩への長年の貢献を顕彰する受賞。伝統的形式の再検討と革新的表現を通じて詩の地平を広げた業績が評価された。

    アラブ近代詩伝統と革新政治と抒情
  1. 受賞作: 詩作と批評による近代アラビア詩の革新

    古典的な韻律と形式に捉われない自由で象徴的な詩世界を構築し、アラブ世界における近代詩の方向性を提示した。哲学的・神話的モチーフを併用し、政治や文化の問題にも詩的に応答した。

    現代詩アラブ文学象徴主義詩と政治

作品

代表作

『ダマスカスのミヒヤールの歌(The Songs of Mihyar the Damascene)』

1961年 詩集(叙情詩、実験詩) 160ページ

複数の短い詩からなる連作で、古代の人物像を現代のダマスカスに重ね合わせ、詩語の革新と叙情性の刷新を図った代表作。

言語の革新歴史と現在の対話個と集合
翻訳
  • 英訳(複数;例:Mihyar of Damascus: His Songs)

『アル=キターブ(Al-Kitāb/The Book)』

1995年 叙事的長編詩・詩的モザイク 1900ページ

1995年から2003年にかけて刊行された三巻本の大作。アラブ史と文化、宗教、政治を詩的視座で横断する叙事的作品。

文明史記憶とアイデンティティ宗教と政治
翻訳
  • フランス語訳(部分・全巻)、複数の言語に翻訳

『灰と薔薇の間の時(A Time Between Ashes and Roses)』

1970年 詩(長詩) 200ページ

1967年以降のアラブ世界の混乱を背景に書かれた長編的詩群。1967年の敗北後の文化的・精神的状況に応答する作品。

敗北と再生歴史的記憶詩と政治
翻訳
  • 英訳(例:Syracuse University Pressによる英訳)

全著作

  • 1957: 『最初の詩』(Qaṣāʾid ʾūlā)
  • 1961: 『ダマスカスのミヒヤールの歌』
  • 1974–1978: 『不変と変容(アル=サービト・ワル=ムタハウィル)』全4巻
  • 1995–2003: 『アル=キターブ(The Book)』三巻
  • 2002: オウィド(オヴィド)の『変身』のアラビア語訳(全集初)

作家による翻訳

  • サン=ジョン・ペルス(フランス語→アラビア語)
  • イヴ・ボヌフォワ(フランス語→アラビア語)
  • オヴィド(ラテン語→アラビア語、『変身』全集)

作品の翻訳

  • 英語訳: Adonis: Selected Poems(Khaled Mattawa訳、2011)
  • 英語訳: Mihyar of Damascus: His Songs(Adnan Haydar & Michael Beard訳、2008)
  • フランス語訳: 『Le Livre』(Houria Abdel-Wahed訳ほか)

作風・主題

文体
モダニズムアヴァンギャルド超現実主義的要素実験的自由詩ネオ=スーフィー的象徴
頻出モチーフ
亡命と移動アイデンティティと記憶神話と古典の再解釈言語とその限界歴史と個人

評価・遺産

アドニスは20世紀後半以降のアラブ詩における最も影響力のある詩人の一人とされ、言語と形式の革新を通じてアラブ・モダニズムを代表する存在となった。批評家、翻訳者としても中東と欧米の文化的架け橋となっている。

関連学会

  • Académie Stéphane Mallarmé(会員)
  • Académie Universelle des Cultures(会員)

大衆文化への影響

  • ライデンの壁詩プロジェクトに詩が掲出
  • 欧米の詩フェスティバルや文学イベントでの朗読・講演

引用

  • 宗教はイデオロギーであり答えである一方で、詩は常に問いであり続ける。
    出典: インタビュー(『Adoniada』のフランスでの刊行に際して) (2012年)
  • 詩の進歩とは何か?私にとって詩における進歩とは差異、歓喜、運動、多様性を肯定することである。
    出典: 『不変と変容(The Static and the Dynamic)』 (1974年)

豆知識

  • 本名はアリ・アフマド・サイード・エスベール(Ali Ahmad Said Esber)。
  • 17歳の時に『アドニス』の筆名を採用した。
  • 1988年以降、ノーベル文学賞の常連候補と目されてきた。
  • 2002年にオウィドの『変身』のアラビア語全訳を発表した(初の全集訳とされる)。
  • 1975年以降、主にパリ在住。