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第1回(1957年) 受賞受賞作: Voss
19世紀の探検を題材に、ドイツ人探検家ヴォスがオーストラリア内陸を横断する遠征を描く長編。探検の困難と孤独、宗教的・存在論的な葛藤を交錯させ、文明と自然、自己と他者の境界を象徴的に描写する作品。
探検孤独宗教・信仰オーストラリアの自然と土地文明と原初の対立 -
第5回(1961年) 受賞受賞作: Riders in the Chariot
シドニー郊外の社会と精神的危機を背景に、複数の人物がそれぞれの幻視や偏見を抱えながら交差していく長編小説。パトリック・ホワイトらしい象徴性の強い筆致で、信仰、孤独、救済の不安定さが描かれる。
郊外の平静の下で、信仰と幻視が人々の運命を静かに揺らす。
643ページ象徴主義信仰孤独郊外救済
パトリック・ホワイト
パトリック・ホワイト
Patrick White
別名:
Patrick Victor Martindale White / P. V. M. White
ペンネーム:
P.V.M.・ホワイト(初期の詩集などで使用した署名)
プロフィール
- 性別
- 男性
- 生誕
- 1912-05-28 (ナイツブリッジ、ロンドン、イングランド)
- 死没
- 1990-09-30 (シドニー、オーストラリア) 78歳
- 国籍
- オーストラリア人
- 言語
- 英語
- 宗教
- アングリカン(後に多様な宗教観やパンテイズム、懐疑を含む)
- 居住地歴
- エリザベスベイ(幼少期、シドニー) → チェルトナム(寄宿校時代、イングランド) → ケンブリッジ(大学時代) → キャッスルヒル(農場 'Dogwoods') → センテニアル・パーク(Highbury, シドニー) → ロンドン(青年期・創作活動の初期) → アレクサンドリア(第二次世界大戦中、駐在)
経歴
- 職業
- 小説家, 劇作家, エッセイスト
- 活動期間
- 1935年〜1987年
- 影響を受けた人物
- ジェイムズ・ジョイス, D. H. ローレンス, ヴァージニア・ウルフ, ロイ・ド・メストル(画家、メンター), ユング/ユング派心理学の影響
- 影響を与えた人物
- トーマス・ケネリー, シーラ・アスリー(Thea Astley), ランドルフ・ストウ, クリストファー・コッホ, デイヴィッド・マロフ
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| チェルトナム・カレッジ | — | — | — | 1925–1929 | イギリス |
| キングス・カレッジ(ケンブリッジ) | 現代言語学部 | — | BA | 1932–1935 | イギリス |
チェルトナム・カレッジ
期間:
1925–1929
国:
イギリス
寄宿学校で学んだが、最終試験を受けずに退学した
キングス・カレッジ(ケンブリッジ)
現代言語学部
学位:
BA
期間:
1932–1935
卒業年:
1935
国:
イギリス
フランス語とドイツ語を学んだ
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1941 | オーストラリア文学協会ゴールドメダル | 『Happy Valley』 | — | オーストラリア文学協会 | 受賞 |
| 1955 | オーストラリア文学協会ゴールドメダル | 『The Tree of Man』 | — | オーストラリア文学協会 | 受賞 |
| 1957 | マイルズ・フランクリン賞 | 『Voss』 | — | マイルズ・フランクリン協会 | 受賞 |
| 1959 | W. H. Smith 文学賞 | 『Voss』 | — | W. H. Smith | 受賞 |
| 1961 | マイルズ・フランクリン賞 | 『Riders in the Chariot』 | — | マイルズ・フランクリン協会 | 受賞 |
| 1973 | ノーベル文学賞 | — | — | ノーベル財団 | 受賞 |
| 1973 | オーストラリア・オブ・ジ・イヤー | — | — | ナショナル・オーストラリア・デイ・カウンシル | 受賞 |
| 1975 | オーストラリア勲章コンパニオン(AC) | — | — | オーストラリア勲章 | 受章(1976年に辞任) |
オーストラリア文学協会ゴールドメダル
1941
対象作品:
『Happy Valley』
主催:
オーストラリア文学協会
結果:
受賞
オーストラリア文学協会ゴールドメダル
1955
対象作品:
『The Tree of Man』
主催:
オーストラリア文学協会
結果:
受賞
マイルズ・フランクリン賞
1957
対象作品:
『Voss』
主催:
マイルズ・フランクリン協会
結果:
受賞
W. H. Smith 文学賞
1959
対象作品:
『Voss』
主催:
W. H. Smith
結果:
受賞
マイルズ・フランクリン賞
1961
対象作品:
『Riders in the Chariot』
主催:
マイルズ・フランクリン協会
結果:
受賞
ノーベル文学賞
1973
主催:
ノーベル財団
結果:
受賞
オーストラリア・オブ・ジ・イヤー
1973
主催:
ナショナル・オーストラリア・デイ・カウンシル
結果:
受賞
オーストラリア勲章コンパニオン(AC)
1975
主催:
オーストラリア勲章
結果:
受章(1976年に辞任)
受賞・候補エディション
マイルズ・フランクリン文学賞
2回登壇
ノーベル文学賞
1回登壇
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第66回(1973年) 受賞受賞作: 生涯の業績(代表作:『Voss』)
『Voss』などで示されるように、オーストラリアの歴史的・精神的風景を象徴的かつ叙情的に描く作品群が特徴。文明と自然、人間の孤独や探求を主題にした壮麗な文体で国際的評価を得た。
『Voss』などで示されるように、オーストラリアの歴史的・精神的風景を象徴的かつ叙情的に描く作品群が特徴。
オーストラリア文学孤独と宗教象徴主義人間関係
作品
代表作
『The Tree of Man(人間の木)』
1955年 小説普通の男女の生涯を通して人間のあらゆる側面を描こうとした長編。宗教的・存在論的探求と農村社会の描写が重なる。
宗教的経験共同体と孤独開拓者精神
『Voss(ヴォス)』
1957年 小説探検家ヴォスの内的世界とオーストラリアの荒野を舞台にした叙事的・心理学的作品。視点の切替や象徴性が強い。
予言者・預言的個人人間の孤独自然と精神
映像化・舞台化
- [オペラ] 『Voss(オペラ版)』 / Richard Meale (作曲) (1986)
『The Eye of the Storm(嵐の眼)』
1973年 小説死にゆく母をめぐる家族の複雑な力学を描いた心理小説。ノーベル賞受賞年に発表され、国際的な注目を浴びた。
家族の力学死と儀礼道徳とエゴイズム
映像化・舞台化
- [映画] 『嵐の眼(2011年映画)』 / Fred Schepisi (2011)
『Riders in the Chariot(チャリオットの騎手たち)』
1961年 小説異端的・周縁的な登場人物たちを通して宗教的・神秘的なテーマを探る作品。オーストラリア国内で高い評価を得た。
宗教性周縁化された人物救済と啓示
『The Vivisector(ヴィヴァイスクター)』
1970年 小説画家と芸術家の生涯を通じて芸術と人間関係の葛藤を描く。美術界を舞台にした寓意的な長編。
芸術と犠牲創造性人間関係の搾取
『The Twyborn Affair(トゥワイボーン事件)』
1979年 小説性別・アイデンティティを題材にした作品。自己と他者、性の流動性を探る実験的要素も持つ。
性別の流動性アイデンティティ自己の分裂
『Happy Valley(ハッピー・ヴァレー)』
1939年 小説初期の長編で、ジャカローとしての経験に基づく農村生活の物語。刊行当初は評価が分かれたがALSゴールドメダルを受賞。
田園生活成熟と挫折
『The Aunt's Story(叔母の物語)』
1948年 小説内的世界への逃避と個人の変容を描く作品。アメリカで高い評価を受けた。
内面世界変容
全著作
- Happy Valley (1939)
- The Living and the Dead (1941)
- The Aunt's Story (1948)
- The Tree of Man (1955)
- Voss (1957)
- Riders in the Chariot (1961)
- The Solid Mandala (1966)
- The Vivisector (1970)
- The Eye of the Storm (1973)
- A Fringe of Leaves (1976)
- The Twyborn Affair (1979)
- Flaws in the Glass (1981)
- Memoirs of Many in One (1986)
- Three Uneasy Pieces (1987)
- The Hanging Garden (未完、2012年刊)
翻案
- 『嵐の眼』映画化(2011年、監督:フレッド・シェピシ)
- 『The Night the Prowler』映画化(1978年、監督:ジム・シャーマン)
- 『Voss』オペラ化(1986年、作曲:リチャード・ミール)
作風・主題
- 文体
- モダニズムの影響を受けた複雑で多声的な文体内面描写と視点の頻繁な切替リアリズムと象徴主義・表現主義の混在
- 頻出モチーフ
- 宗教的・神秘的体験疎外された預言者的個人性的アンビバレンスとアイデンティティの探求
健康
-
喘息(幼少期から)幼少期〜生涯慢性的な呼吸器の問題で長年治療を受けた。コルチゾン投与が後年の合併症に影響。
-
骨粗鬆症(コルチゾンの副作用)1980年代中頃以降脊椎圧迫骨折などで入院し、身体的可動性が低下した。
-
緑内障1980年代視力に影響を与えた可能性がある(コルチゾン治療との関連)。
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胸膜炎・気管支の崩壊(最後の罹患)1990年入院を拒否し自宅で療養の末に死亡。
評価・遺産
20世紀オーストラリア文学の代表的作家であり、1973年のノーベル文学賞受賞により国際的評価を確立。自身の財産で設立したPatrick White Awardなどを通じて後進の支援も行った。
記念館・博物館
- ナショナル・ライブラリー・オブ・オーストラリア(パトリック・ホワイト文書館収蔵) キャンベラ、オーストラリア 2006年開館
- ニューサウスウェールズ州立美術館(寄贈作品所蔵) シドニー、オーストラリア
- パトリック・ホワイト・ローンズ(記念広場) キャンベラ、国立図書館付近
関連学会
- オーストラリア文学研究会
資料所蔵先
- ナショナル・ライブラリー・オブ・オーストラリア(原稿、手紙、未完作品を所蔵)
- アートギャラリー・ニューサウスウェールズ(肖像画等所蔵)
- シドニーのパブリックコレクション(議会堂肖像画等)
大衆文化への影響
- パトリック・ホワイト賞(彼の名を冠した文学賞)
- 『嵐の眼』の映画化(2011年)などのメディア化
引用
-
(マンリー・ラスカリスについて)彼は私の人生のこれまでの雑然としたデザインの中心的なマンダラである。
出典: 自叙伝やインタビュー(Patrick White による言及) -
ノーベル賞は恐ろしく破壊的な経験である。
出典: 発言(1970年代、本人の手紙や談話より)
豆知識
- 1973年にノーベル文学賞を受賞した唯一のオーストラリア人(受賞時の国籍表記に関する注釈あり)。
- 1975年にオーストラリア勲章(コンパニオン)を受章したが、1976年に辞任した。
- 初期の詩や手稿の多くを自ら焼却しており、若年期の作品を抹消した。
- ノーベル賞の賞金をもとに1975年にPatrick White Awardを創設した。
- 2006年に他者が『嵐の眼』の章を偽名で送る文学的イタズラ(Wraith Picket)を行ったが出版社らに拒絶された。