-
第2回(1992年) 受賞受賞作: 受賞業績
先住民の視点から歴史や文化を再考するフィクションと評論で、先住民族の物語を公共の場に引き出す貢献が評価された。社会的・文化的洞察に富む業績が受賞対象となった。
先住民の歴史アイデンティティポストコロニアルフィクション
トマス・キング
トマス・キング
Thomas King
プロフィール
- 性別
- 男性
- 生誕
- 1943-04-24 (アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ローズビル)
- 国籍
- アメリカ合衆国, カナダ
- 言語
- 英語
- 居住地歴
- ローズビル(カリフォルニア州、出生) → ニュージーランド(写真記者として滞在) → オンタリオ州グエルフ(居住)
経歴
- 職業
- 作家, 放送パーソナリティ, 活動家, 学者, 脚本家
- 活動期間
- 1980年〜
- 所属
- レザブリッジ大学(University of Lethbridge) - ネイティブ研究 教員(1980年代), ミネソタ大学(University of Minnesota) - American Indian Studies 部門 教員, グエルフ大学(University of Guelph) - 英語・演劇学部 名誉教授
- ノミネート
- 1992年 カナダ総督文学賞(児童文学部門)候補:『A Coyote Columbus Story』, 1993年 カナダ総督文学賞(フィクション部門)候補:『Green Grass, Running Water』, 2013年 ヒラリー・ウェストン作家信託賞(ノンフィクション)最終候補:『The Inconvenient Indian』, 2014年 Burt Award(First Nations, Métis and Inuit Literature)最終候補:『The Inconvenient Indian』, 2020年 Rogers Writers' Trust Fiction Prize ノミネート(最終候補):『Indians on Vacation』, 2020年 カナダ総督文学賞(英語フィクション)候補:『Indians on Vacation』
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| チコ州立大学 | — | — | 学士号 | — | アメリカ合衆国 |
| チコ州立大学 | — | 映画研究 | 修士号 | — | アメリカ合衆国 |
| ユタ大学 | — | 英語 | 博士号 (PhD) | — | アメリカ合衆国 |
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2004 | カナダ勲章(メンバー) | — | — | カナダ政府(Order of Canada) | 受章(Member) |
| 2020 | カナダ勲章(コンパニオン) | — | — | カナダ政府(Order of Canada) | 受章(Companion) |
| 2014 | RBCテイラー賞 | 『不便なインディアン』(The Inconvenient Indian) | ノンフィクション | RBCテイラー賞委員会 | 受賞 |
| 2014 | カナダ総督文学賞(英語部門・フィクション) | 『The Back of the Turtle』 | フィクション | カナダ総督文学賞委員会 | 受賞 |
| 2021 | スティーブン・リーコック記念ユーモア賞 | 『Indians on Vacation』 | ユーモア | Stephen Leacock Memorial Medal | 受賞 |
| 2006 | McNally Robinson アボリジナル・ブック・オブ・ザ・イヤー賞 | 『A Short History of Indians in Canada』 | — | McNally Robinson | 受賞 |
受賞・候補エディション
-
第2回(2006年) 受賞受賞作: A Short History of Indians in Canada
歴史的事実と個人的逸話、ユーモアを織り交ぜながら、カナダにおける先住民の扱いと歴史認識を問い直すエッセイ的著作。教科書的な記述への批判や植民地主義の影響を軽妙かつ鋭く検証する。
先住民史歴史批評文化アイデンティティユーモアと社会批判
-
第2回(2014年) 次点受賞作: The Inconvenient Indian: A Curious Account of Native People in North America
北米先住民の歴史とその表象を批評的かつユーモラスに概観するノンフィクション。植民地主義、条約、文化的誤解を鋭く指摘し、現代における先住民と社会の関係を問い直す。
先住民の歴史植民地主義批評文化表象公共政策
-
第22回(2015年) 受賞受賞作: The Back of the Turtle
環境破壊と贖罪を描く文学的長篇。企業活動による汚染で変貌したコミュニティと、過去の行為に向き合う登場人物たちの再生と対立を、先住民的視点や社会批評を交えて描写する。
環境社会批判先住民の視点再生
-
第74回(2021年) 受賞受賞作: Indians on Vacation
先住民の夫婦が旅に出るロードムービー的な要素を持つ小説。旅の過程で先住民コミュニティや文化、メディア表象への問いをユーモアとシニカルな観察で描き、アイデンティティや歴史を軽妙に照射する作品。
先住民の視点ロードトリップ文化とアイデンティティユーモア
作品
代表作
メディスン・リバー
1990年 小説(フィクション)小さな先住民コミュニティを舞台に、帰郷した主人公を中心に人間関係や地域社会の生活を温かく描いた作品。
グリーン・グラス、ランニング・ウォーター
1993年 ポストモダン小説/トリックスター文学コヨーテなどのトリックスター伝承や先住民神話と現代の登場人物群が交錯する、多層的でユーモラスかつ批評的な長編小説。
- [ラジオ番組(要素を原作から引用)] The Dead Dog Café Comedy Hour(ラジオ) (1997)
物語についての真実:ネイティブ・ナラティブ
2003年 ノンフィクション(講演/随筆)2003年のメイジー講義を基にしたエッセイ集で、口承の物語とその力、物語が文化や歴史の理解に与える影響を論じる。
不便なインディアン(The Inconvenient Indian)
2012年 ノンフィクション(文化史/評論)北アメリカにおける先住民と植民地主義の歴史や関係を批評的に概観した書。土地や政策の問題を中心に論じる。
- [ドキュメンタリー映画] Inconvenient Indian(ドキュメンタリー) / Michelle Latimer (2020)
ザ・バック・オブ・ザ・タートル
2014年 小説(フィクション)環境破壊とその影響、罪と贖罪をテーマに先住民の視点で個人と共同体の再生を描いた長編小説。
インディアンズ・オン・バケーション
2020年 小説(ユーモアを含むフィクション)ユーモアを交えつつ現代の先住民の関係やアイデンティティを描く旅を題材にした小説。2021年にスティーブン・リーコック賞を受賞。
Dreadful Water(シリーズ) — Dreadful Water Shows Up(初出)
2002年 ミステリー(探偵小説)ハートリー・グッドウェザー(筆名)名義で発表された探偵シリーズ。先住民コミュニティや社会問題を背景にしたミステリー。
全著作
- Medicine River(メディスン・リバー)
- A Coyote Columbus Story
- Green Grass, Running Water(グリーン・グラス、ランニング・ウォーター)
- One Good Story, That One
- Borders
- Coyote Sings to the Moon
- Truth and Bright Water
- The Truth About Stories(物語についての真実)
- Coyote's New Suit
- A Short History of Indians in Canada
- A Coyote Solstice Tale
- The Inconvenient Indian(不便なインディアン)
- The Back of the Turtle
- 77 Fragments of Familiar Ruin
- Indians on Vacation(インディアンズ・オン・バケーション)
- Sufferance
- Aliens on the Moon
- Dreadful Water Shows Up(DreadfulWaterシリーズ)
- The Red Power Murders(DreadfulWaterシリーズ)
- Cold Skies(DreadfulWaterシリーズ)
- A Matter of Malice(DreadfulWaterシリーズ)
- Obsidian
- Deep House
- Double Eagle
- Black Ice
翻案
- Four Directions(CBCテレビ、1996) - ストーリーエディター/脚本
- The Dead Dog Café Comedy Hour(CBCラジオ、1997–2000) - ラジオ番組(小説の要素を適用)
- I'm Not the Indian You Had in Mind(短編映画、2007) - 作・監督
- Inconvenient Indian(ドキュメンタリー、2020) - 『The Inconvenient Indian』を原作にMichelle Latimerが監督
作風・主題
- 文体
- 口承の語りを取り入れた会話調の文体トリックスター伝承の影響を持つユーモラスで風刺的な語り口エッセイと物語を行き来する構成
- 頻出モチーフ
- コヨーテ(トリックスター)物語の力と真実性土地と植民地主義アイデンティティと帰属
健康
-
膝の負傷(軍務時の傷)海軍在籍時(1960年代)医療上の理由で除隊となり、その後の進路や職歴に影響を与えた
評価・遺産
トマス・キングは先住民の口承伝統と現代文学を結びつけ、カナダおよび北アメリカにおける先住民文学の重要な声となった。ユーモアと鋭い社会批評を併せ持つ作風で、文学界・公共圏双方に大きな影響を与えている。
資料所蔵先
- トマス・キング・アーカイブ(R15938) - カナダ図書館・公文書館所蔵
大衆文化への影響
- 『The Dead Dog Café Comedy Hour』はラジオで人気を博し、先住民の風刺と文化表現を一般に広めた
- 『The Inconvenient Indian』はドキュメンタリー化され、書籍の議論を映像で広めた
引用
-
問題は常に土地だ。土地がある限りずっと土地の問題であり、北米でネイティブの人々が支配している一平方フィートの土地も残されなくなるまで、その問題は続くだろう。
出典: 『The Inconvenient Indian』(2012) (2012年)
豆知識
- 自身をチェロキー系、ギリシャ系、ドイツ系の出自であると自己申告している。
- 短期間だが米海軍に所属しており、膝の負傷で医療除隊となった。
- 若い頃に救急搬送の運転手、銀行窓口、ニュージーランドでの写真記者など多様な職を経験した。
- 2003年にメイジー講義の講演者に選ばれ、『The Truth About Stories』として出版された(同シリーズでの先住民自己申告者としては初)。
- 政界にも関与し、2008年にオンタリオ州グエルフ選挙区から新民主党(NDP)公認候補として出馬した(落選)。
- パートナーはヘレン・ホイ(Helen Hoy)で、3人の子どもがいる(Christian, Benjamin, Elizabeth)。