アメリカン・ブック・アワード あめりかんぶっくあわーど
第7回(1986年)
受賞者
12名先住民の視点から語られる短篇集。日常の断片のなかに歴史と伝承の層を重ね、静かな余韻のある物語を編み上げる。
日常のひとこまが、歴史の厚みを帯びていく。
先住民の伝承を現代小説に継承する作家。
有色人種の女性たちによるエッセイ、証言、批評を束ねた画期的な論集。フェミニズムと人種、階級、性的指向の交差を鮮明に示す。
複数の声が、抑圧の構造を言葉で切り開く。
チカーノ・フェミニズムやクィア理論に関わる作家・活動家。
サンフランシスコ旧チャイナタウンの写真を、歴史的資料として読み直す写真史的著作。都市の記憶と移民史を、注釈と図版で掘り起こす。
写真が、失われかけた街の記憶を再び立ち上げる。
境界性(borderlands)の概念で知られるチカーノの思想家・作家。
イタリア系アメリカ女性の書き手たちによる作品を集めたアンソロジー。移民の記憶、家族史、ジェンダーの経験を多声的に照らし出す。
抑えられてきた女性たちの声を、まとまりある本として差し出す。
イタリア系アメリカ女性の声を編む編集者・作家。
ニューオーリンズのリズム・アンド・ブルースを、歌手や演奏家、録音現場の証言からたどる音楽史。地域の音楽文化を立体的に描く。
音楽の街の声と記憶を、聞き書きの力で束ねる。
自然、精神性、先住民の視点を重ねた詩集。個人の内面と世界のつながりを、澄んだ語り口で探る。
自然の輪郭のなかで、精神の動きが静かに見えてくる。
先住民チェロキーのルーツを持つ作家。自然とスピリチュアルを結ぶ文体が特徴。
Miguel Algarínの二言語詩集で、都市の政治性、個人的な関係、信仰の感覚が交差する。ニューヨークの街と中米の現実を行き来しながら、英語とスペイン語の双方で声を立ち上げる。
英語とスペイン語のあいだで、都市と信仰の声が響き合う。
(再受賞)ニューヨークの詩的実践に貢献した詩人。
Natasha Borovskyの歴史小説で、ロシア革命の激動に巻き込まれるタチアナ・シロミルスカヤの成長を描く。帝政ロシアの特権的な世界と、戦争と革命による崩壊が対比される。
帝政ロシアの没落を背景に、ひとりの女性の人生が動き出す。
歴史小説や家族の物語を手掛ける作家。
Raymond Federmanの実験的な恋愛小説で、ワシントン・スクエアで出会う二人の関係を、時間や視点をずらしながら描く。軽やかな出会いの背後に、言語遊びと不安定な語りが重なっていく。
ワシントン・スクエアでの一瞬の微笑みが、長い物語の扉になる。
実験的小説で知られる作家。脱構築的手法を用いる。
Susan Howeの批評的随筆で、Emily Dickinsonの言語と読解の可能性を、詩と批評の境界を越えて掘り下げる。既存の読みの枠組みをほどきながら、Dickinsonの射程を広げる。
詩と批評をまたいで、Dickinsonの声を読み直す。
(再受賞)歴史資料を詩に組み込む手法が顕著な詩人。
アイルランド系アメリカ人の音楽と友情を、詩的な断章で結ぶ作品。移民文化の記憶が、口語的でリズミカルな感触のなかで立ち上がる。
歌と友情が、移民文化の手触りを運んでくる。
詩作と音楽活動を併せ持つ作家。アイルランド系文化を題材にすることもある。
日系アメリカ人の経験を短篇でたどる作品。戦前戦後の生活、移動、帰属の揺らぎを、抑制の効いた語りで描く。
帰属の揺らぎが、静かな短篇の連なりの中に浮かぶ。
日系アメリカ人作家。日系移民の生活を題材に短編などを執筆した。