アストリッド・リンドグレーン記念賞
あすとりっど・りんどぐれーんきねんしょう
スウェーデン政府が2002年に創設した、児童文学分野で世界最大級の国際賞。受賞者には5,000,000 SEKの賞金が贈られる。
- 創設年
- 2002
- 主催
- スウェーデン芸術評議会(Swedish Arts Council / Kulturrådet)
- カテゴリー
- 児童文学・童話・絵本
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 5月頃
- 発表時期
- 4月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Astrid Lindgren Memorial Award(ALMA)は、スウェーデン政府により2002年に創設された国際的な児童文学賞で、作家・イラストレーター・口承語り手・読書普及の推進者などの長年にわたる功績を顕彰する。賞金は5,000,000スウェーデンクローナ(SEK)で、スウェーデン芸術評議会が管理・運営する。受賞は個人および団体に対して行われ、児童・ヤングアダルト文学への関心を高め、子どもの文化的権利を世界的に促進することを目的としている。授賞式は公式行事として行われ、王室関係者が臨席することがある。
賞品
- 主賞品
- 賞金5,000,000スウェーデンクローナ(SEK)。受賞者には国際的な顕彰と広報の機会が提供される。
- 賞金
- 5,000,000 SEK
- 国際的な認知・広報機会
- 受賞に伴う講演・展示等の参加機会
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| ノミネーション(候補推薦) | ALMAのノミネーション規定に基づき候補が提出される。運営・管理はスウェーデン芸術評議会が行う。 | null | 年次サイクルは遅くとも12月に開始され、ノミネートはサイクル開始後おおむね9か月以内に公表される(年により変動)。 |
| 選考(委員会による審査) | 国際的な専門性を持つ12名の選考委員会(作家、批評家・学者、イラストレーター、図書館員等)で構成され、1名はアストリッド・リンドグレーン家族代表を含む。 | null | 委員会が候補を検討・絞り込み、受賞者を選定する。受賞者は年に1回公式に発表される(春)。 |
| 発表・授賞式 | 受賞者の発表と授賞式はスウェーデン芸術評議会が行い、授賞式には王室関係者(例:ヴィクトリア王女)が臨席することがある。 | null | 受賞者は主に春(3月〜4月頃)に発表され、授賞式はサイクル開始から概ね18か月後に行われる。 |
選考基準
- 作品・活動が最高水準の質であること
- 『アストリッド・リンドグレーンの精神』に沿っていること
- 対象は作家、イラストレーター、口承語り手、読書推進者など
- 個人は通時的な業績を評価、団体は長期的で持続可能な活動を評価すること
- 児童・若者向け文学への関心を高め、子どもの文化的権利を促進すること
応募のヒント
推奨
- ALMAのノミネーション規定を確認し、資格のある推薦者(機関等)からの推薦を得ること。
- 候補者の長年にわたる業績、国際的な影響、読書普及や子どもの文化的権利への貢献を明確に示す。
- 作品の質や『アストリッド・リンドグレーンの精神』との関連を具体例で提示する。
- 翻訳実績、レビュー、プロジェクトの成果など客観的な裏付け資料を揃える。
注意
- 不完全な書類や証拠不足の提出をしないこと。
- 単に販売実績や商業的成功のみを強調することに偏らないこと。
- 締切や推薦資格を確認せずに提出すること。
審査員から
- 受賞対象は“work is of the highest quality”かつ“in the spirit of Astrid Lindgren”であること。
- 個人は通時的な業績、団体は長期的で持続可能な取り組みを重視して評価する。
- 選考委員会は国際的な専門性を持つ多様なメンバーで構成され、多面的な視点から審査する。
関連の賞
- Hans Christian Andersen Award
- Astrid Lindgren Prize
- IBBY (International Board on Books for Young People) awards
- List of children's literature awards / other major children's literature prizes
公式情報
https://alma.se/en過去の受賞者
Marion Brunet は、気候危機や社会的な脆さを背景に、若者たちの反抗と連帯を描くフランスの作家。『Frangine』から『Dans le désordre』、『La gueule du loup』、『Plein gris』、『Ilos』まで、現代の不安と神話的な余韻を往復する作品群が、澄んだ文体とともに評価されている。
現代の緊張を、澄んだ言葉で切り取る。若者たちの怒りや友情、自然の美しさが、暗い現実の中で対抗力として立ち上がる。
フランスの児童・ヤングアダルト作家。緊張感あるプロットと人物描写を得意とし、近年の作品群で国際的な注目を集めている。ALMAでは若者向け文学への貢献が評価され受賞した(Wikipedia上では当該ページが未作成と記載)。
Indigenous Literacy Foundation は、オーストラリアの先住民コミュニティと協働し、文化的に適切な本の配布、翻訳、読み聞かせ、コミュニティ出版を通じて、子どもたちが自分の言語と物語に触れられる環境を整えている。読書を権利として支える姿勢が、ALMA 2024 の受賞理由になっている。
本を届けるだけではなく、言葉と物語を地域の力として育てる。ILF は先住民の子どもたちの読書環境を、コミュニティ主導で広げている。
オーストラリアの非営利団体で、先住民族の子どもたちへの図書配布、読み聞かせ、地域図書支援などを通じて識字教育と文化保存に取り組む組織。地域に根ざした持続的な活動が評価された。
『スピーク』は、高校生活の入口で孤立した少女が、性暴力の記憶と言葉を失った沈黙のなかで、自分の経験と向き合っていく YA 小説。鋭い心理描写と抑制のきいた語りが、トラウマ、孤独、回復の過程を強く印象づける。
沈黙を破るまでの長い時間を、ひとりの少女の視点で丁寧にたどる。痛みの記憶を抱えながら、自分の声を取り戻していく物語。
アメリカのヤングアダルト作家。『スピーク』など、思春期の困難やトラウマ、回復を主題にした力強い物語で知られ、若者の声を代弁する作風と教育現場での影響力が高く評価されている。
Eva Lindström の絵本作家・イラストレーターとしての長年の創作と、日常の中にある不思議をすくい取る表現が評価された。ALMA は一冊ではなく、作品世界全体を讃えている。
一冊ではなく、絵本世界そのものが受賞理由になっている。
スウェーデンの絵本作家・イラストレーター。ユーモアと詩的感性を併せ持つ画風で、子どもの視点や日常の不思議を独特の表現で描き続けている。絵本を通じた長年の創作と児童文化への貢献が評価された。
寓話的で幻想性の高い児童・YA作品を多数発表。物語性に富んだ冒険譚や深い心理描写を通じて成長や道徳問題を描き、国際的に翻訳されて広く読まれている点が評価された。
寓話的で幻想性の高い児童・YA作品を多数発表。
フランスの児童・ヤングアダルト作家。寓話的で幻想的な物語性を持つ作品を多く手がけ、登場人物の心理描写と冒険譚を通して成長や倫理を描くことで国際的に評価されている。ALMAでは生涯にわたる児童文学への貢献が評価された。
ふんわりした“雲のパン”をめぐる温かい物語。家族や創造力、共有の喜びをやわらかな造形と色彩で描く。立体的な造形表現を絵本に取り入れた視覚的魅力が高く評価され、国際的にも広く知られる作品。
ふんわりした“雲のパン”をめぐる温かい物語。
韓国の絵本作家・イラストレーター。粘土や立体造形を取り入れた独自の視覚表現で知られ、繊細な色彩と物語性を兼ね備えた作品で国際的評価を得ている。
書籍単体ではなく、児童文学・詩を含む作家活動全体への評価として選出された受賞対象。代表作群を通じて、子どもの視点に立った表現や言葉の力が高く評価される。
単一作品ではなく、作家の代表作群そのものが受賞対象となる。
フラマン語圏(ベルギー)の児童文学作家・詩人。繊細な心理描写と詩的な文体で知られ、児童書からYAまで幅広い作品を発表。感情の機微を丁寧に描く作風が特徴で国際的にも評価されている。
ジャクリーン・ウッドソンが、サウスカロライナとニューヨークで過ごした子ども時代を自由詩で綴る自伝的作品。公民権運動の時代に黒人の少女として育つ経験、家族の記憶、言葉を獲得して作家になるまでの道のりが、短い詩の連なりとして描かれる。
二つの土地のあいだで揺れながら、少女は言葉の中に自分の居場所を見つけていく。
アフリカ系アメリカ人の作家。詩的でリズミカルな文体を持ち、家族や人種、アイデンティティを繊細に描く。児童書・YA作品ともに高い評価を受け、教育現場でも広く読まれている。
Wolf Erlbruchによる『Duck, Death and the Tulip』。Children's fictionや人間関係を軸に、歴史まで射程に入れる小説。
Children's fictionのなかで、人間関係が立ち上がる。
ドイツの絵本作家・イラストレーター。寓話的かつ哲学的なテーマをやわらかい絵で表現し、死や存在といった重い題材を子どもにも伝わる形で描く作風で国際的に高く評価された。
戦時下のイギリスを舞台に、離れて暮らす若者たちの友情と生きる力を描くYA小説。混乱と喪失の中で成長する主人公たちの姿を通して、希望と人間関係の強さを描写する。映画化もされた代表作。
アメリカ生まれで主にイギリスを拠点に活動するヤングアダルト作家。鋭い心理描写とブラックユーモア、社会的な不安を背景にした物語で知られる。国際的に評価の高い作品を多数執筆。
PRAESAは教材作成、コミュニティプロジェクト、教師研修などを通じて、母語での読み書き教育や読書普及を推進してきた。地域に根ざした実践によって子どもの文化的権利と学習機会を拡充する取り組みが評価されている。
南アフリカを拠点とする教育普及団体。母語教育や読み書き支援、コミュニティに根ざした教材開発や教師研修を通じて、多様な言語背景を持つ子どもたちの文化的権利と学習機会を支援している。
短く簡潔な文体で日常の小さな出来事を描く幼児向けシリーズ。子どもの視点に立ったやわらかなユーモアと温かい眼差しで、日常の驚きや発見を引き出し、想像力と主体性を育てる作品群である。
スウェーデンの児童文学作家。幼児向けの短い文体から児童向けの長編まで幅広く手掛け、ユーモアと詩的感性を併せ持つ作品で知られる。子どもの自由な想像力を尊重する作風が特徴。
Isol の絵本制作とデザインに対する代表作の評価。単独の書籍ではなく、絵本作家としての仕事全体を指す。
一冊ではなく、絵本作家としての仕事全体が評価されている。
アルゼンチン出身のイラストレーター兼作家。視覚的なユーモアと遊び心に富んだ絵本で国際的に認められている。絵と言葉の関係を独自に探る作品群が特徴。
厳格で暴力的な父親のもとに生きる少年トーマスが、想像力と信仰に支えられながら希望を見つけていく児童文学。暗い現実の中に、ユーモアとやさしさが差し込む。
想像力が、家族の暴力に抗う力になる。
オランダの児童文学作家。子どもの視点から社会や大人の矛盾を描く力に定評があり、ユーモアと想像力を通して深いテーマを扱う作品を多数発表している。
言葉を使わず、精密なイラストだけで移民の体験を描くグラフィック・ナラティブ。異郷での孤独と連帯が、緻密な視覚表現で語られる。
言葉のない絵だけで移民の体験を描く傑作。
オーストラリア出身のイラストレーター・作家。絵本やグラフィックノベルで国際的評価を得ており、視覚だけで語る物語表現に優れる。移民や異文化、孤独と連帯を寓話的に描く作風が特徴。
絵本を中心に、想像と現実のあいだをやわらかく開く仕事が評価された。線の美しさだけでなく、感情の距離感に独自性がある。
一冊ではなく、絵本作家としての世界全体が賞の対象になる。
ベルギーの絵本作家・イラストレーター。繊細な色彩と詩的な語りで子どもの感情や孤独、友情を描き、国際的に高い評価を受ける。児童向け作品の画面構成と感性表現に定評がある。
地域に根ざした教育と読書普及の取り組みをたたえる受賞対象。
地域の学びを支える活動に光を当てる。
パレスチナに拠点を置く非営利組織で、コミュニティ教育、図書館支援、読書普及や青年・市民教育プログラムを展開し、紛争地域での教育継続と文化的権利の擁護に尽力している。
大恐慌下の農村を背景に、家族の貧しさと孤独の中で成長する少女の視点を描く。抑えた筆致のなかに、想像力と痛みが同時に流れ込み、子どもの内面の複雑さを際立たせる。
静かな語りが、貧しさの中で育つ子どもの世界を鮮やかに照らす。
オーストラリアの作家。ヤングアダルト・児童文学で高い評価を受け、ダークで詩的な筆致による心理描写が特徴。若者の複雑な感情や家族関係を深く掘り下げる作品が多い。
大恐慌下の農村を背景に、家族の貧しさと孤独の中で成長する少女の視点を描く。抑えた筆致のなかに、想像力と痛みが同時に流れ込み、子どもの内面の複雑さを際立たせる。
静かな語りが、貧しさの中で育つ子どもの世界を鮮やかに照らす。
ベネズエラを拠点とする非営利団体で、児童図書の普及、読書推進、図書館支援や教育者研修を通じて子どもの読書環境改善に貢献している。地域に根ざした活動が高く評価された。
子どもの想像力と友情が、喪失の経験を越えていく過程を描く長く愛されてきた児童文学。テラビシアという空想の王国を通して、悲しみと成長の両方を静かに受け止める。
テラビシアは、悲しみを受け止めるために生まれた王国でもある。
アメリカの児童文学作家。『Bridge to Terabithia』などで知られ、友情や喪失、成長といった繊細なテーマを子どもの視点で描く。深い感情の描写で広く支持されている。
少女ライラが北の世界へ踏み出し、仲間や別れを通して、自由と勇気の意味を知っていく。冒険と幻想が重なり合う長編ファンタジー。
北へ向かう旅が、世界の見え方を変えていく。
イギリスの作家。『His Dark Materials(黄金の羅針盤)』三部作で国際的に知られ、宗教や倫理、自由を巡る哲学的なテーマをファンタジーの枠組みで問いかける作品群で高い評価を受ける。
アストリッド・リンドグレーンの絵本作品群を対象にしたエントリとして記録し、個別単行本ではなく代表作群としてその影響力を捉える。
代表作群として、読み継がれる絵本の力を示す。
日本の絵本作家・イラストレーター。色彩豊かな表現と自由な線で幼児向け作品を多数制作し、詩的で独創的なビジュアルにより子どもの感性と想像力を刺激する。
小さな黄色いかばんに、三つの願いをしまい込みながら、自分の声と居場所を探す物語。想像のなかでふくらむ願いが、子どもの揺れる自己像を照らす。
黄色いかばんに、言えない願いをしまう。
ブラジルの児童文学作家。空想と現実を往還する寓話的な物語で子どもの内面を描き、自由や自己表現をめぐるテーマを扱う。国際的にも翻訳され高い評価を得ている。
マックスという少年がオオカミの衣装を着て家を飛び出し、かいじゅうたちのいる島へ行って王となる短い物語。想像力、孤独、帰属意識を寓話的に扱い、簡潔な文と力強い挿絵で子どもの内面を表現する。
マックスがかいじゅうたちの島へわたる。
アメリカの絵本作家・イラストレーター。『Where the Wild Things Are(かいじゅうたちのいるところ)』などで知られ、子どもの想像力と感情を大胆な視覚表現で描いた。絵本表現に大きな影響を与えた人物。
ユーモアと辛辣さを併せ持ち、子どもの視点から家庭や社会を描く作品群。特に貧困や権威への抵抗を扱い、子どもの主体性を尊重する語り口で幅広い読者に支持され、国際的にも評価された。
児童文学の代表作群として記録する。
オーストリアの児童文学作家。ユーモアと辛辣さを併せ持ち、子どもの視点で家庭や社会の問題を描く作風で知られる。子どもの主体性や権利を尊重する語り口が特徴で、国際的に高く評価された。