サイフ・ゴバッシュ=バニパル賞(アラビア文学英訳賞)
さいふ・ごばっしゅ-ばにぱるしょう(あらびあぶんがくえいやくしょう)
アラビア語の長篇文学作品の英訳(出版済)に贈られる年次の翻訳賞。
- 創設年
- 2006
- 主催
- Banipal Trust for Arab Literature(Banipal)により創設、運営・管理は The Society of Authors(英国)
- カテゴリー
- 研究・翻訳・学術
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 不問
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 3月頃
- 発表時期
- 1月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
サイフ・ゴバッシュ=バニパル賞(Banipal Prize)は、アラビア語で書かれた長篇文学作品を英語に翻訳して出版した翻訳者(または複数の翻訳者)に対して授与される年次賞です。2006年に文芸誌Banipal(Banipal Trust for Arab Literature)によって設立され、英訳を通じて現代アラブ文学の普及を促進することを目的としています。運営は英国のThe Society of Authorsが担当し、サイフ・ゴバッシュの追憶としてゴバッシュ家(Lioudmila Ghobash、Saeed Saif Ghobash、Maysoune Saif Ghobash)がスポンサーを務めています。選考は年ごとに編成される審査員団によって行われ、ロングリスト→ショートリスト→受賞作の発表という流れをとるのが一般的です。
賞品
- 主賞品
- 翻訳者に対する賞(表彰・賞金)。年度により詳細は公式発表を参照。
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| ロングリスト(Longlist) | 年ごとに発表される審査員団(各年の公式発表を参照) | — | 一部の年にロングリストを公表。発表時期は年による(例:一部年は秋)。 |
| ショートリスト(Shortlist) | 同上(年ごとに構成される審査員団) | — | 通常11月下旬〜12月初旬に公式発表されることが多い(年により変動)。 |
| 受賞(Winner) | ショートリストを選定した審査員団が受賞作を決定(年ごとに異なる) | — | 受賞者は例年年明け(1月)に発表されることが多い。 |
選考基準
- 対象はアラビア語の長篇文学作品の英語への翻訳(出版済)であること
- 翻訳の文学的品質、言語表現の正確さ・自然さ
- 原文の文学的・文化的価値を英語読者に伝えること
応募のヒント
推奨
- 応募対象が「アラビア語原作の長篇文学作品の英訳(出版済)」であることを確認する。
- 出版情報(出版社、刊行年、ISBNなど)を明記する。
- 翻訳の文学性・表現の自然さを重視して校正・推敲する。
- 公式サイトの応募要項・締切を事前に確認し、必要書類を揃えて期限内に提出する。
注意
- 未出版の翻訳を応募しない(出版済であることが必須)。
- 提出書類の不備や誤記を放置しない。
- 原文の出典や出版情報を隠す・誤記することは避ける。
審査員から
- 翻訳は原文の文体やリズムを英語で如何に再現するかが重要である。
- 直訳に偏らず、英語読者にとって自然かつ原作のニュアンスを伝える表現を探すこと。
- 注釈や訳注が必要な文化的固有項目は明確に示すと審査上の理解が深まる。
関連の賞
- Scott Moncrieff Prize
- Society of Authors 翻訳賞(その他の翻訳賞)
- 国際的な文学翻訳賞(各種)
公式情報
https://www.banipaltrust.org.uk/prize/過去の受賞者
都市生活や個人の孤独、政治的背景をテーマにした短編集。鋭い社会観察と人物描写を通じて、現代レバノンや地域社会の複雑な情景を多角的に描く作品群。
アラビア語から英語への翻訳者。レバノンや中東の現代作家の短編・長編を英訳している。
都市生活や移民経験を題材に、疎外や記憶の断片を通して個人と社会のずれを描く作品。断片的な視点や日常の微細な観察から、現代社会に生きる人々の心象風景を浮かび上がらせる。
アラビア語から英語への文学翻訳を手がける翻訳者。中東現代文学の英訳で知られ、複数の翻訳賞を受賞している。
エジプトの庶民や労働者の生活を背景に、人間の尊厳や喪失、希望を象徴的に描く作品。日常の細部と社会的文脈を通じて、個人の強さと脆さを問う短編集的な要素を持つ。
長年にわたりアラビア語文学の英訳を手掛けてきた翻訳者。多数の重要な作家の翻訳で知られ、国際的にも高く評価されている。
女性の視点から家族や記憶、社会の期待を描く作品。過去の傷と個人の選択が交錯し、登場人物の内面を通して社会変化やジェンダーに関する問題が浮かび上がる物語。
エジプト出身の翻訳者。エジプト近現代文学の英訳を手がけ、国際的な翻訳賞でも評価されている。
シリアの内戦を背景に、亡き父の遺体を故郷へ運ぶために旅する三人の兄妹を描く重厚な物語。戦禍と社会の混乱の中で家族の絆や喪失、希望の問題が鋭く浮かび上がる。
アラビア語から英語への翻訳を手がける翻訳者。中東文学の英訳に携わり、現場の声を英語圏に伝えている。
イラクの歴史と個人の記憶をめぐる物語。権力の変遷や暴力が市井の人々に残す影響を通して、登場人物たちのトラウマと再生、亡命や喪失の問題を描き出す長編作品。
アラビア語文学の英訳を行う翻訳者。中東の作家の作品を英語圏に紹介している。
現代エジプトを背景に、個人の安全と自由、政治的抑圧や日常の不安を描く長編。登場人物の内面と社会的緊張が交差し、時代が個人にもたらす重圧と葛藤を繊細に描写する作品。
アラビア語から英語への文学翻訳を手がける翻訳者。中東現代文学の英訳で国際的に作品を紹介している。
クウェート人の父とフィリピン人の母を持つ青年をめぐる物語。出自や国籍の問題、移民としての疎外、家族の断絶と再生を通してアイデンティティの探求を描く。異文化間の摩擦や帰属意識が作品の中核を占める。
アラビア語文学の英訳で知られる翻訳者。中東の現代文学を英語圏に紹介する仕事に携わっている。
ユセフ・ラッハの作品(長編・短篇集的要素を含む)を英訳したもので、都市の歴史的記憶や奇妙な出来事を通じて近代中東の諸相を描く。実験的な語りと歴史的モチーフが交差する作品群の英訳。
アラビア語文学の翻訳者。複数年にわたり重要な翻訳で評価されている。
アムジャド・ナッサーの詩的作品を英訳したもの。政治的背景と個人の感情が交差する詩群で、故郷や失われた時間、抵抗といった主題が扱われる。
アラビア語文学の翻訳者。多くの中東文学作品を英訳して紹介している。
戦時下のバグダッドを舞台に、遺体洗浄を生業とする青年の視点で暴力と喪失、家族と尊厳を描く物語。日常の儀礼性と戦争の非日常が交差する重厚な長編。
イラク出身の作家・詩人・翻訳者。戦争や亡命、個人の記憶を主題にした作品で国際的に知られる。
ジャブール・ドワイヒーの『June Rain』は、個人の人生と故郷、暴力の記憶が交差する物語で、近代史の断片が個人史に影響を与える様を描く。英訳は詩的な語りを丁寧に再現する。
アラビア語文学の翻訳者で、レバノンなど中東諸国の作品を英訳している。
ユセフ・ジーダンの歴史小説で、5世紀の宗教的・思想的対立を背景に一人の修道士の視点から古代社会の闘争や信仰の危機を描く。宗教史と個人の葛藤を織り合わせた問題作。
アラビア語文学の翻訳者。中東小説の英訳で知られ、歴史的題材の作品を英語圏に紹介している。
ワジディ・アル=アハダルの小説で、紛争や抑圧の影響を受ける地方社会の描写を通じて個人の希望や絶望を描く。政治的背景と人間ドラマが交錯する作品の英訳。
アラブ文学の翻訳者で学者。歴史や社会問題を扱う作品の英訳を多く手がける。
ベンサレム・ヒミッチの小説で、信仰や倫理、社会的葛藤を主題にした物語を英訳したもの。個人の選択と社会的圧力の緊張を描く作品。
アラビア文学研究者で翻訳者。アカデミックな背景を持ち、多数の文学翻訳・研究を手がける。
ムリード・バルグーティの回想的随想で、故郷とディアスポラ、記憶の問題を綴る作品。個人的体験を通じて政治・歴史的背景を語る回想録的テクストの英訳。
アラビア語文学の英訳に長年携わる翻訳者。詩や小説、回想録など幅広い作品を英訳している。
アドニスの詩選で、近代性、文化的記憶、精神性といった主題を含む代表的詩篇を英訳で編んだ作品。詩の象徴性と政治的・哲学的テーマが横断するセレクション。
詩人であり翻訳者。アラブ詩の英訳を通じて詩人の国際的評価に貢献している。
ラドワ・アシュールの『Spectres』の英訳。個人史と社会史、トラウマや記憶の問題を繊細に描く中長篇の英訳で、歴史的・政治的な文脈が影響する物語を提示する。
アラビア語文学の翻訳者・研究者。語学的な熟練を活かした英訳で知られる。
エリアス・フーリーの『White Masks』は、戦争や分断の影響下にある個人や共同体の心理を描く作品。誤解や仮面を通してアイデンティティの問題を探る。
アラビア語文学の翻訳者。中東の小説作品の英訳に携わっている。
エリアス・フーリーの『Yalo』は、都市と村落、個人と歴史が交差する物語で、パレスチナのある地域とそこに生きる人々の記憶を通じて喪失と帰還の問題を描く作品。
アラビア語文学を英訳する翻訳者。複数の重要な現代アラブ文学を英語圏に紹介している。
バハー・ターヘルの『Sunset Oasis』は、個人の運命と社会の変化を背景にした物語で、家族や過去の影響を通じてアイデンティティや移動の問題を探る作品。
同上。複数の翻訳が評価されるほど精力的に作品紹介を行っている。
タレク・エタイーブの作品を英訳した書で、都市化や移住、現代社会における個人の位置づけをテーマにした短編や物語群を紹介する。
アラビア語文学の翻訳者・学者。中東現代文学の英訳に関わることが多い。
ヤーヒヤー・ターヒル・アブドゥッラーの代表作の英訳。家族や伝統、社会規範に縛られる人々の生活を通じて、個人と共同体の葛藤を描く。現代エジプト社会の一断面を鋭く示す。
エジプト出身の翻訳者・学者で、アラビア語文学の英訳を多数手がける。学術的視点を持った翻訳で知られる。
イマン・フマイダン・ユネスの作品の英訳。個人の記憶や政治的背景が交差する物語を通じ、社会的・感情的な主題を描く。
アラビア語から英語への翻訳を行う翻訳者。複数の現代アラブ作家の英訳を手掛ける。
イブラヒーム・アル=コーニーの作品の英訳で、砂漠や寓話的な語りを通じて人間と自然の関係、孤独や神話性を描き出す文学的テクスト。
中東文学の研究者であり翻訳者。学術と翻訳の双方で活動している。
マフムード・ダルウィーシュの詩篇を英訳した詩集で、亡命、喪失、故郷への思い、抵抗といった主題が詩的に綴られる。原詩の力強さと抒情性を英語で伝える訳詩集。
パレスチナ系の詩人であり翻訳者。現代アラブ詩の英訳で知られ、詩人としても活動している。
ジャブラ・イブライム・ジャブラの作品に関連する日記風のテクストを英訳したもの。個人的記憶と歴史的事象の交差を通じて語られる内省的な書き物。
文学翻訳者。中東の著作を英訳し、翻訳を通じて作品を紹介している。
サルワ・バークルの作品の英訳で、地域社会に生きる人々の声や社会的・文化的な緊張を描出する。人間関係と歴史的背景が織り交ざる作品。
アラビア語文学の専門翻訳者で、現代アラブ小説や詩の英訳を多数手がける。
カイリー・シャラビーの長編で、カイロの下層社会や共同住宅を舞台に、庶民の暮らし、権力と抵抗、ユーモアと悲哀が交錯する群像劇を描く。社会の矛盾を生々しく映し出す作品。
アラビア語文学の翻訳者。エジプト現代文学の英訳を通じて作家を紹介している。
ハムディ・アブ・ゴライェルの作品を英訳したもの。労働者や庶民の日常と、その中に潜む社会的緊張やユーモアを通して現代社会を描く。
アラビア語文学の著名な翻訳者・研究者で、現代アラブ作品の英訳を多く手がける。
エミール・ハービービーの作品で、政治的・歴史的背景を風刺的に描く物語。個人と共同体、記憶と物語の交差を通じて地域社会の矛盾を照らし出す。
翻訳者・作家。中東文学の英訳に関わり、社会風刺や歴史的主題を含む作品の翻訳を行っている。
エリアス・フーリーの長編で、1948年のナクバ以降のパレスチナ人の追放と記憶を、多数の語り手による断片的な語りで編み上げる大河的作品。個人史と集団史を交錯させつつディアスポラ、喪失、帰還の希求を描く。
アラビア語文学を英語に紹介する翻訳者。中東現代文学の重要作家を英訳し、英語圏への普及に貢献している。
モハメド・エル=ビザイエの作品で、抑制された筆致により日常の不安や孤独、地域社会の変化を繊細に描く。人間の内面と社会的断絶を静かに浮かび上がらせる短篇・小説。
エジプト文学の研究に携わる翻訳者・学者。アラビア語の現代作品を英語圏に紹介している。
エドワール・アル=カッラートなどに代表される現代エジプト文学の特徴を反映した作品の英訳。都市や記憶、言語実験を通じて社会の断面を描く。
アラビア語文学の翻訳者・研究者。現代エジプト文学などの英訳で知られる。