イシドラ・セクリッチ賞
いしどら・せくりっちしょう
ベルグラードのサフスキ・ヴェナツ自治体が1967年に設立したセルビアの文学賞。
- 創設年
- 1967
- 主催
- Savski Venac municipality (Belgrade)
- カテゴリー
- 文学総合・文芸総合
- 選考方式
- 選考
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Isidora Sekulić Awardは、ベルグラード(Savski Venac自治体)によって1967年に設立され、1968年以降ほぼ毎年授与されているセルビア(旧ユーゴスラビア)の文学賞で、前年の現代セルビア文学の最良作を顕彰する。創設初期の約10年間は年内に複数の受賞者が出たが、1979年以降は原則として毎年1名が受賞している。記事時点での通算受賞者数は74名(男性63名、女性11名)である。
関連の賞
- NIN Award
- Belgrade Book Fair
- その他のセルビアの文学賞
公式情報
https://www.savskivenac.rs/過去の受賞者
『Žena iz Huareza』は国境性や越境を主題に据えた物語で、移動・移住や暴力、喪失と再生を背景に個人の人生を描く作品である。遠隔地や周縁に生きる人々の日常と悲劇を織り込みつつ、国境を越える物語がもたらす倫理的・社会的問いを繊細に掘り下げる。
『Kukavičja pilad』は過去の暴力とその継承を主題に据えた重厚な物語である。個人と共同体の記憶が衝突する場面を通じて、戦争や民族紛争の遺産、贖罪と和解の問題を深く掘り下げる。地域史と個人史を重ね合わせる筆致により、歴史的トラウマの現在性を問う。
『Anđeo atentata: tabloid』はタブロイド的表現と風刺を取り入れた作品で、メディアと暴力、虚構と真実の混濁を扱う。ニュース風の断片的語りや誇張表現を通じて現代の情報文化を批評的に描写し、読者の倫理観や認知の仕方を揺さぶるような作風が特徴である。
『Životinjsko carstvo』は寓話的な比喩を用いて現代社会の権力構造や暴力、疎外を描き出す長篇である。動物王国への置換という手法を通じて倫理的ジレンマやアイデンティティの問題を鋭く浮き彫りにし、社会批評としての力強い寓話性が特徴である。
『Krosfejd』は断片的な語りと視点の切り替えを用いる実験的な長編で、記憶や他者との交差を主題とする。時間軸を重ね合わせる構成によって登場人物の内面が層状に浮かび上がり、読者の能動的な解釈を促す挑戦的で詩的な作風が特徴である。
『Pisac i priča – Stvaralačka biografija Ive Andrića』はイヴォ・アンドリッチの創作と生涯を丹念に追った創造的伝記・研究書である。作品分析と歴史的背景の照合を通じてアンドリッチの主題や表現の変遷を解明し、作品生成の過程を包括的に読み解こうとする学術的貢献が評価された。
『Crnjanski, megalopolis』は文学研究・評論書で、作家ミロシュ・クルニャンスキ(Crnjanski)の作品世界と都市化、メガロポリス概念との関係を分析する。作家論と都市論を横断する視点から20世紀セルビア文学における都市像やモダニズムの諸相を再評価する学術的試みである。
『Vrlo malo svetlosti』は、都市の周縁に生きる人々の微細な日常を掘り下げる作品群である。ごくわずかな光や些細な出来事を契機にして孤独や希望、記憶の重層性が浮かび上がる静謐な筆致が特徴で、現代社会の断片的な真実を詩的に映し出す。
『Đavo i mala gospođa』は寓意性の強い物語を通して日常の裏に潜む道徳的・社会的問題を炙り出す作品である。ユーモアと皮肉を交えながら登場人物の内面を細やかに描写し、善悪の相対性や人間の弱さ、社会の矛盾を批評的に照射する点が評価された。
『Hamam』や『Balkanija』とされる本作群は、バルカン半島の地域性と歴史的記憶を主題にしたプローズ集的作品群。伝統と近代化、民族や宗教間の緊張を背景に、個人の記憶と社会的トラウマの交差を寓意的かつ冷静な筆致で描き出し、地域の断片的な記憶を文学的に再構成する試みが特徴である。
『Priče za dosadno popodne』(直訳:「退屈な午後のための物語」)は、短篇集的な構成で日常の細部や些細な出来事を通した人間観察を行う作品。ユーモアと哀感が交錯し、平凡さの裏にある感情や関係性を繊細に描写する。
セルビアの作家。短篇や日常描写に優れ、人物の細やかな心理描写で評価されている。
『Most』(直訳:「橋」)は、物理的・比喩的な橋を巡る主題を通じて異なる人間や時代、記憶を繋ぐ物語を描くプローズ作品。越境や移動、連帯と分断といったテーマを寓話的に問い、関係性の脆さと結びつきの可能性を描写する。
セルビアの小説家。寓話性や幻想的要素を含む物語を得意とし、国際的にも知られている作品がある。
『Džonijev solo』(直訳:「ジョニーのソロ」)は、個人の孤独や創造性、自己表現をテーマに据えた作品。一人称的な視点や内省的モノローグを用いて、日常の細部や比喩を通じて孤独の意味と再生を探る文体が特徴である。
セルビアの作家・評論的活動も行う人物。物語性の高いプローズで読者に親しまれている。
『Zamka』(直訳:「罠」)は、人間関係や心理的な罠を主題にしたプローズ作品。登場人物同士の期待や誤解、欲望の齟齬が物語を推進し、日常に潜む危うさや倫理的な葛藤を浮かび上がらせる構成になっている。
セルビアの作家。プローズ作品を通じて人物の心理や関係性の機微を描くことに定評がある。
『Putovanja, zapisi, sećanja』(「旅、記録、回想」)は自伝的要素を含む回想録的作品で、旅の経験や日々の記録を手繰りながら自己の形成や時代背景を見つめ直す。哲学的・人文的な視点で静かに綴られる記録性が特徴である。
セルビアの作家・思想家的な側面を持つ人物。回想や人間観察を通じて思想的な洞察を示す著作がある。
『Čaj na Zameleku』(直訳:「ザマレクでの茶」)は、場所性や出会いを軸に日常の断片を綴るプローズ作品。都市や異文化の風景を背景に、登場人物の記憶や小さな出来事がほのかに交差し、場の持つ記憶装置としての機能が物語を支える。
セルビアの作家・クリエイター。舞台やメディアなど多方面で活動することもあるが、文学的作品でも評価を得ている。
『Sve o porodici Fuler』(「フラー家のすべて」)は、家族を中心に据えた物語で、世代間の軋轢や隠された過去、日常の中の小さな出来事を織り合わせながら一家の全体像を描き出す。ユーモアと人間洞察を交えた語り口が特徴である。
セルビアの作家。家族や日常を題材にした作風で知られ、人物描写に定評がある。
『Strah i njegov sluga』(直訳:「恐怖とその僕」)は、恐怖という感情とそれが人間関係や権力構造に与える影響を掘り下げるプローズ作品。内面の揺れや日常に潜む不安を丁寧に描写し、恐怖が個人や共同体に及ぼす変容を静かに問いかける。
セルビアの作家。現代小説を中心に執筆し、社会的・心理的主題を織り込んだ物語を得意とする。
『Novi čovek』(「新しい人」)は詩集で、現代社会に生きる個人の孤独や再生、倫理的葛藤を凝縮した詩群を収める。言語の抑制とリズムを生かした表現を通じて、存在論的な問いや個人の変容を寓意的に描き出す作品群である。
セルビアの詩人。言語のリズムと象徴性を活かした詩作で知られ、国内の詩壇で評価されている。
『Put kože』(直訳:「皮膚への道」)は、身体(皮膚)を象徴として用い、個人の記憶やアイデンティティ、他者との境界を繊細に描くプローズ作品。断片的な語りや象徴的なイメージを通じて、過去の痕跡と現在の生を照らし合わせる内省的な作りになっている。
セルビアの作家。Isidora Sekulić賞の受賞者。内面や記憶、身体性をめぐる繊細な描写を特徴とする。
古いセルビア小説における悲劇的側面を分析する文学研究書。ヤコヴ・イグニャトヴィッチからスヴェトリク・ランコヴィッチまでの作家・作品を通じて、悲劇の主題・表現・様式を検討することを目的とする内容と解される(出典は作品名のみ記載)。
抒情的な民衆詩(民謡)の歴史と詩学を扱う研究書。民謡の形式・表現や詩的伝承の背景を歴史的・理論的に考察する内容であることが示唆される(出典は作品名のみ記載)。
タイトルは「ミルティンについての書」と訳せる。ある人物(Milutin)を中心に据えた物語的要素を持つプローズ作品とされる(出典は作品名のみ記載)。
印象派からアンフォルメルに至る美術の流れを概観する美術史的研究。複数の作家・作品を事例にとり、形式や表現様式の変遷を歴史的に分析する内容と考えられる(出典は作品名のみ記載)。
当該賞は受賞者に授与されたが、受賞者本人は受賞を受け入れなかった(出典記載)。
作品『共通の分母』は、登場人物たちの共通点を通じて人間関係や社会的なつながりを描く。身近なエピソードを通じて連帯と差異の微妙な均衡を探る作りになっている。
詩集は、寓意的な結婚のイメージを通して暴力や共同体の記憶、個人の苦悩を描き出す。民俗的モチーフと現代的感受性を融合させた詩風が特徴である。
研究書は、モムチロ・ナスタシェヴィッチの作品に見られる神話的モチーフとその文学的機能を分析するもの。神話と現代詩的表現の結びつきを文学史的に考察している。
詩人であり文学研究にも取り組む。ナスタシェヴィッチに関する研究で受賞し、詩学的・比較文学的手法を用いた分析で知られる。
エッセイ『エロスと記号』は、文学における欲望の表象と記号体系の関係を考察する論考。テクストに現れるエロティシズムの象徴性を文学理論の観点から分析する。
作品『声たち』は、多様な登場人物の視点を交錯させながら社会の分断と個人の孤独を浮き彫りにする。語り手の声を通して記憶と歴史が織り重なる構成が特徴的である。
詩集『不死の影』は、死と不死、記憶と喪失を主題にした詩群。象徴的なイメージと断章的な表現で、個人の有限性と永続する記憶の緊張を描き出す。
エッセイや書評を中心とした業績全体に対して贈られた賞。文学批評の鋭さと文化史的視点を兼ね備え、作品解釈や文学理論への貢献が評価された。
エッセイや書評を中心に活動した文学評論家。幅広い批評活動と文化的考察を通じてセルビア文学に貢献した業績が評価された。
詩集『ひとつの生き物を形作る』は、自己と他者、自然との境界を曖昧にしながら、存在の統一性と分裂を詩的イメージで探る。象徴的な動物像を通してアイデンティティや変容の主題を扱う。