ヤン・ミハルスキ文学賞
やん・みはるすきぶんがくしょう
スイスの国際文学賞。世界中で出版されたあらゆる言語のフィクション・ノンフィクションを対象とする。
- 創設年
- 2009
- 主催
- Fondation Jan Michalski pour l’Écriture et la Littérature (Jan Michalski Foundation for Writing and Literature)
- カテゴリー
- ノンフィクション・記録文学
- 選考方式
- 選考
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 11月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Jan Michalski Prize for Literature(ヤン・ミハルスキ文学賞)は、Fondation Jan Michalski により創設されたスイスの国際的な文学賞で、世界中で出版されたあらゆる言語のフィクションおよびノンフィクション作品を対象としています。賞は2009年に発表され、初回受賞者は2010年に発表されました。審査員は多文化・多言語で構成され、受賞者には賞金(CHF 50,000)が授与され、ファイナリストはMaison de l'écritureでの3か月のレジデンスに招待されます。
賞品
- 主賞品
- Winner receives CHF 50,000; finalists are invited to a three-month residency at the Maison de l'écriture (Fondation Jan Michalski).
- 賞金
- 50,000 CHF
- Three-month residency invitation for finalists at Maison de l'écriture
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| First selection (first selection / longlist) | Fondationが任命する多文化・多言語の選考委員会(multicultural, multilingual jury) | — | 基金公式サイトおよびプレスリリースで発表 |
| Second selection (shortlist) | 同上 | — | 基金公式サイトおよびプレスリリースで発表 |
| Finalists | 同上 | — | 基金公式サイトおよびプレスリリースで発表(ファイナリストはレジデンスに招待) |
| Winner selection | 同上 | — | 公式発表(通常年末、基金のウェブサイトおよびプレス発表) |
選考基準
- 文学的な質(literary quality)
- 独創性(originality)
- 世界文学への貢献(contribution to world literature)
- 出版された作品であること(work must be published)
- 言語・ジャンルを問わない(any language/genre)
応募のヒント
推奨
- 応募対象が出版済みの作品であることを確認する
- 出版社や代理人と連携して必要書類を揃える
- 英語またはフランス語の要約を用意すると審査の参照に役立つ
- 作品の文学的特徴や世界文学への貢献を明確に説明する
注意
- 未出版の原稿を提出しない
- 提出規程や提出期限を守らない
- 審査に不十分な情報(出版情報、翻訳者情報など)しか提供しない
審査員から
- 審査は言語や地域を超えた文学的価値を重視する
- 明確で簡潔な作品情報(出版社、刊行年、翻訳者など)を提示すると評価に有利
- オリジナリティと国際的な普遍性を示すことが重要
関連の賞
- Fondation Jan Michalski residencies (Maison de l'écriture)
- International literary awards
- Swiss literary awards
公式情報
https://fondation-janmichalski.com/en/prix過去の受賞者
作者がカナダのオイルサンド地帯で過ごした約2年間の経験を描いたグラフィックノンフィクション。労働の現実、環境と経済の問題、個人的な葛藤をユーモアと鋭い観察で綴る作品。
カナダ出身の漫画家・イラストレーター。ウェブコミックや風刺的な短編で知られ、グラフィックノンフィクション作品でも高い評価を得ている。
故郷の崩壊とそれに伴う移住・亡命を背景に、第三の国で生きる人々の不安定さと再出発を描く小説。個人の喪失、帰属意識の揺らぎ、社会的断絶をテーマに展開する。
ベネズエラ出身の小説家・ジャーナリスト。祖国の政治的混乱や亡命、個人の運命をテーマにした作品で国際的に注目を集めている。
フィンランド出身の作家。公的に参照可能な経歴情報が限られているが、2022年に『Les fossoyeuses』でJan Michalski賞を受賞している。
第二次世界大戦期にナチス・ドイツのもとで強制労働を強いられた“オスタルバイター”(東方出身の強制労働者)の書簡、回想録、口述証言を編纂した記録集。個別の証言を通じて戦争と強制労働の実相、被害者の経験と歴史の記憶を伝えるドキュメンタリー的作品である。
ロシアを拠点とする人権団体。スターリン期以来の政治的弾圧の記録保存や被害者支援、歴史の記憶保持に取り組む組織。受賞クレジットには Alena Kozlova、Nikolai Mikhailov、Irina Ostrovskaya、Irina Scherbakova が含まれ、翻訳は Georgia Thomson が担当している。
植民地時代のアフリカを背景に、歴史の暴力と土地の記憶を寓話的かつ詩的に描く長編。世代をまたいだ物語や個人の記憶を織り交ぜ、植民地主義の影響と人々のアイデンティティの揺らぎを浮かび上がらせる作品。
モザンビーク出身の作家・詩人。寓話的で詩的な文体を用い、植民地主義や土地の記憶、人間の営みを題材にした作品で国際的に評価されている。
愛情と裏切り、身体と心の痛みを中心に据え、親密な関係の亀裂や過去の記憶が現在の感情に与える影響を描く。繊細な心理描写と内省的な語りで、痛みが個人の行動や関係性をどのように形作るかを追求する作品。
イスラエルの小説家。親密な人間関係や内面の葛藤を鋭く描く作風で知られ、感情と記憶の微細な動きを描出することに定評がある。
18世紀東ヨーロッパを舞台に、ヤコブ・フランクという宗教的カリスマとその周辺の人々を多声的に描く歴史長篇。宗教的異端、共同体の移動と交錯、民族・信仰の境界を細密に描写し、語りの実験性を通じて記憶とアイデンティティの複雑さを探る壮大な叙事詩。
ポーランドの小説家・エッセイスト。多声的で構造的な大作を得意とし、歴史・宗教・旅を主題にする作品群で国際的評価と受賞歴がある。
20世紀に広がった共産主義運動をグローバルな視点から俯瞰する歴史書。各国の運動の起源と変遷、指導者と弾圧の実態、理想と現実の乖離を比較検討し、共産主義が世界史にもたらした影響と悲劇を批判的に総括する試み。
フランスの歴史研究者・ジャーナリスト。共産主義に関する広範な研究と著述を行い、国際的な比較史の視点からイデオロギーと政治の相互作用を論じる。
個人史と集団的記憶を交差させる寓話的長編。断片的なエピソードと寓話的メタファーを織り交ぜ、主人公の孤独と世代を越えた物語を通じて、東欧の歴史的断絶、郷愁、時間の本質を哲学的に探る瞑想的な作品。
ブルガリア出身の小説家・詩人。実験的で詩的な語り口を持ち、記憶、時間、喪失を主題とする作品で国際的に注目されている。
ユーゴスラビア(セルビア)出身の作家ダニロ・キシュの生涯と作品を丹念に追った評伝。家族史や戦争、抑圧の記憶が作家の創作にどのように結びついたかを検証し、東欧文学と20世紀の歴史的断絶を交差的に描き出す。
現代史に関する著作で知られる研究者・著述家。東欧の文化史や作家の伝記研究を通じて、20世紀の政治的文脈と個人史の関係を解き明かしている。
東ウクライナの産業都市を舞台に、都会から戻った若者が兄の遺した事業を守ろうと奮闘する姿を描く。ポストソビエト空間の荒廃、地域共同体の記憶、個人と故郷の関係をユーモアと悲哀を交えて描出し、現代ウクライナの複雑な現実を映し出す長篇。
ウクライナ東部出身の詩人・作家。詩的感性と政治的覚醒を併せ持ち、ポストソビエト社会の現実と郷愁を力強い言語で表現することで知られる。
年老いた〈大佐〉が家族の失踪と国家的暴力に直面する様子を描く作品。断片的な回想と沈黙する語りで、革命と政権の暴力が個人と家庭に残した深いトラウマを静謐に掘り下げ、記憶と正義の脆さを問いかける。
イランの著名な小説家。農村や都市の暮らし、革命後の社会の傷や個人の苦悩を主題に、写実的で詩的な作風を持つ長篇を多く発表している。
アヘン戦争を軸に、薬物貿易と帝国主義が19世紀の中国にもたらした変化を多角的に描くノンフィクション。外交文書や現地資料を丹念に読み解き、英国と中国双方の視点から戦争の原因と影響を明快に提示し、中国近代化の契機とその代償を浮き彫りにする。
中国近現代史を専門とする英国の研究者・翻訳家。翻訳と一般向け歴史書の執筆を通じて中国史を国際読者に紹介している。
独裁的な体制の影が色濃い社会で育つ少年の視点を通して、父の不在や監禁、日常に忍び寄る恐怖を描く長編。寓話的で時に残酷なイメージを交えながら、政治的抑圧が家族や子どもの心に及ぼす深い影響と、成長に伴う喪失を力強く描写する。
ハンガリー出身の小説家。子どもの視点や寓話的な手法を使い、権威主義的体制下の家族や成長の苦闘を描く作品で知られる。
作者自身の家族史やサラエヴォでの記憶と、20世紀初頭に米国で起きた“ラザロス”の出来事を重ね合わせる長編。断片的かつメタフィクション的な語りで移民のトラウマ、記憶の再構築、アイデンティティの喪失と回復を繊細に描き、個人史と歴史の接点を照らし出す。
ボスニア生まれでアメリカを拠点に活動する作家。短編・小説・エッセイを発表し、故郷の記憶や移民経験、歴史と個人史の交差を主題にした作品で国際的評価を得ている。