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ナショナル・ブック賞(翻訳文学) なしょなるぶっくしょう(ほんやくぶんがく)

第6回(2023年)

翻訳文学フィクションノンフィクション

受賞者

10名
The Words That Remain

ブラジルのクィアな生と記憶をめぐり、愛と喪失、言葉の残響をたどる物語。短い断章が、ひとつの人生に残る温度を静かに積み上げる。

言葉が消えたあとにも、感情の輪郭は残りつづける。

132ページ
クィア記憶喪失言葉
作家

ポルトガル語圏の作家(情報は限られるため簡潔に記載)。

Bora Chung 候補
Cursed Bunny

ホラー、寓話、ブラックユーモアを自在に行き来する短篇集。消費社会や家族、女性の身体に潜む暴力を、奇妙で鮮烈な想像力でえぐり出す。

奇妙さが、いつのまにか現実のほうを照らし返す。

199ページ
短篇集ホラー寓話女性の身体暴力
作家
David Diop 候補
Beyond the Door of No Return

アフリカ西岸への旅を起点に、奴隷制と植民地暴力の記憶をたどる歴史小説。死者の声と生者の現在が重なり、喪失の地図を描き直す。

戻れない扉の向こうに、歴史の傷が折り重なる。

179ページ
歴史小説奴隷制植民地主義記憶
作家
Abyss

メデジンに暮らす家族の崩壊と、病に向き合う兄弟の関係を通して、怒りと愛、記憶の混ざり合う場所を描く。辛辣な語り口が、暴力に満ちた社会の輪郭をむき出しにする。

怒りの底に、かすかな愛と記憶が沈んでいる。

192ページ
自伝家族メデジン喪失暴力
作家
Astrid Roemer 候補
On a Woman's Madness

離婚を拒まれた黒人女性ノエンカが、故郷を離れて新しい生活を模索する。植民地支配の影と恋愛、孤独が交差する断片的な語りが印象的な小説。

新しい自由は、過去の影をすぐには振りほどけない。

284ページ
クィア植民地史女性断片的語り自由
作家
Juan Cárdenas ロングリスト
The Devil of the Provinces

故郷へ戻った生物学者が、喪失と失敗に満ちた町と向き合う。静かな帰郷の物語が、不穏さと哀惜を帯びた地方の風景へと変わっていく。

帰郷は、過去を整理することではなく、再び巻き込まれることだった。

96ページ
帰郷喪失地方科学者不穏
作家
Jenny Erpenbeck ロングリスト
Kairos

東ドイツ末期を背景に、年の離れた二人の恋と、その関係を支配へと変えていく時間の流れを描く。愛の記憶が、政治的崩壊とともに残酷に揺らぐ。

愛は、時代の崩壊のなかで別の顔を見せる。

336ページ
恋愛権力記憶東ドイツ崩壊
作家
Khaled Khalifa ロングリスト
No One Prayed Over Their Graves

戦争と独裁の傷が深く残るシリアを舞台に、死者と生者の記憶が絡み合う。喪失と暴力の感触を、静かな怒りとともに描く長編。

祈られなかった死者たちの不在が、物語の底で鳴りつづける。

345ページ
シリア戦争喪失記憶死者
作家
Fernanda Melchor ロングリスト
This Is Not Miami

メキシコの暴力と日常のあわいを、ルポルタージュと短編のあいだにある文体で切り取る。都市の熱気の裏側にある、恐れと疲弊が浮かび上がる。

これは都市の記録であり、傷の記録でもある。

160ページ
メキシコルポルタージュ暴力都市短篇
作家
Mohamed Mbougar Sarr ロングリスト
The Most Secret Memory of Men

若いセネガル人作家の旅と模索を通して、文学的記憶、遺産、盗用の問題をめぐるメタフィクション。名声の影と、書くことの責任を問いかける。

もっとも秘密めいた記憶は、書かれた言葉の奥に潜む。

378ページ
メタフィクションセネガル文学記憶著作権
作家