嘘と魔法 上 (須賀敦子の本棚 4)
シチリアを舞台に、孤独な語り手が祖母、母、自分へと連なる女性たちの記憶をたどり直し、家族の秘密、欲望、裏切りを虚実まじりに語る長編小説。幻想的な語りと重層的な家族史が重なり合い、戦後イタリア文学を代表するデビュー作とされる。
作品情報
虚実のあいだを往復する語りが、三世代の女性たちの家族史をひとつの大きな物語へと束ねていく。
エルサ・モランテのデビュー長編。シチリアの家族史を、孤独な語り手エリーザの視点から、愛憎、嫉妬、裏切り、幻想をまじえながら語り尽くす。三世代の女性たちの運命が、個人の記憶と社会の不正義を巻き込みつつ連なり、物語ることそのものの力と危うさが前面に出る。
レビュー要約
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女性たちの欲望や自己欺瞞を中心に据えながら、幻想的な装いの奥に階級や権力の冷たさを浮かび上がらせる点が高く評価されている。語りの華やかさと心理の深さが両立した、読み応えのある大作として受け止められている。
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19世紀小説のような外観を持ちながら、登場人物の自己愛や階層意識を徹底して照らし出す野心作として評価されている。女性たちの生をためらいなく描き切る姿勢が、作品の強度を支えているとみなされている。
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装飾的で豊かな散文が、南イタリアの家族史を社会的な分断や不安と結びつけながら押し広げていると受け止められている。過剰さを恐れない語りが、むしろ古典的大河小説の迫力を生んでいるという評価が目立つ。
書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2018-12-18
- ページ数
- 436ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 3.1 x 19.6 cm
- ISBN-13
- 9784309619941
- ISBN-10
- 4309619940
- 価格
- 3300 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/イタリア文学
現代イタリア文学の金字塔とされる大作を初紹介。天涯孤独の少女が、祖母、母、自分の三代にわたる女性たちの激動の生涯を物語る。
1912年ローマ生まれ。現代イタリア最大の作家の一人。本書でヴィアレッジョ賞、『アルトゥーロの島』でストレーガ賞。ほかに『歴史』『アンダルシアの肩かけ』など。夫はアルベルト・モラヴィア。 1953年東京生まれ。上智大学大学院外国語学部言語学専攻修士課程修了。訳書に、イサム・ノグチ『エッセイ』、ジャン・ルオー『名誉の戦場』、エルサ・モランテ『アンダルシアの肩かけ』など。