Work Information
犯罪は淡々と起こり、世界の輪郭だけが少しずつ崩れていく。
ペーター・ハントケの初期代表作。サッカー選手だった男が殺人後も日常の細部を観察し続ける姿を通じ、言葉が現実を把握する方法そのものを問い直す。日本語版は三修社から復刊されている。
Review Summaries
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簡潔で断片的な文体が、主人公の内面崩壊を鮮明に伝える初期代表作として読まれている。読者によっては冷たく距離のある語りが難解に感じられるが、その硬質さこそ作品の緊張を生んでいる。
Book Information
- Publisher
- 三修社
- Published
- 2020-01-21
- Pages
- 184 pages
- Language
- 日本語
- ISBN-13
- 9784384050004
- ISBN-10
- 4384050003
- Price
- 1980 JPY
- Category
- 本/文学・評論/文芸作品/ドイツ文学
かつてサッカーのゴールキーパーだった男、ヨーゼフ・ブロッホは、機械組み立て工として働く建築現場をある朝くびになったと解し、街をうろつくなかで衝動的に殺人を犯す。しかし、日々は淡々と続いていく——。 2019年ノーベル文学賞を受賞したペーター・ハントケが、自身の問題意識、言語と人間との関係を小説として問うた初期の代表作。 1971年刊行の初訳を復刊。
ペーター・ハントケ 1942年オーストリア、ケルンテン州グリフェン生まれ。1966年に小説『雀蜂』でデビュー。同年、「47年グループ」プリンストン大会での批判的な発言で注目され、ドイツ、フランクフルトで上演された戯曲『観客罵倒』で一躍脚光を浴びる。その後現在にいたるまで、小説、戯曲の他、翻訳、ラジオドラマ、詩にわたって精力的な創作活動を続けている。1990年代にはユーゴスラビア紛争についてセルビア支持の発言によりマスメディアからの攻撃を受ける。2019年ノーベル文学賞受賞。代表作に『幸せではないが、もういい』『反復』『ベルリン・天使の詩』脚本(ヴィム・ヴェンダースとの共作)など。 羽白 幸雄 ドイツ文学者。1909年1月、広島県大崎上島町生まれ。1932年京都帝国大学文学部独文科卒。成城高等学校(旧制)教授、広島高等学校(旧制)教授、広島大学教養部助教授・教授、成城大学経済学部教授を歴任、広島大学名誉教授。広島県立美術館長、広島ペンクラブ会長を務める。1951年原民喜詩碑建設委員長。1971年中国文化賞受賞。1986年10月逝去。
Reviews
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一読後の感想にすぎないが、
ブロッホ(この小説の主人公)は殺人をおかしたのだが、なぜ女を殺したのか、そして、逃亡しているような、逃亡していないような──実際は逃亡しているのだが──知り合いの女の宿にとまりながらの日常生活をしているが、その途中でそれは終わり(一週間もいかないぐらいか)、この先この男は人を殺したことに対してどうなっていくのかというようなことには、この小説は関心をもっていない。たしかに殺人を境にこの男は狂っていく──特に睡眠から目覚める毎にそれは深まっていく──のだが、しかしこの狂気は微妙で、基調は狂気の衣をまといながらも、淡々と日常を送っていく、殺人を境にある面で狂気を深めていくのだから変わったと言えば言えるが、彼の日常のふるまい方、感じ方に大きな変更はなく、おそらくそのような一断面、ある青年の殺人を境にしながらもあまり変わらないその姿、独特なのは彼が動くとともにそれに合わして動く日常の切り取られ方、細かい、膨大な日常の小さいエピソードを重ねながらも、それが意味づけされずどうであるかが描写されるだけなので、膨大なエピソードもうるさくならずに彼が動くにつれ流れていく、平凡な狂気の日常の一断面を描くことが、この小説の書きたいことのように思える。
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何だこの読書体験は。。。
これは、とても個性的な小説です。 詳細な記述の連なりと、そこに意味を見出そうとする主人公。 そして、高まる不安。。。 映像を見ているような、とても臨場感がある一冊です。
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<構成された構造体>のように差異化に埋没していく何か
書かれている言語に記号のように体を反応させる、その行方を追う、蒐集、差異化、 予め用意されている現象ゲームに迷い込んでいるかのような、 何か伝染病らしきものにすでに感染しているその「何か」を見るかのごとく、 どこか視線は冷めてもいるようであり、そんな入れ替わり立ち替わりのループが 一定のリズムで流れている世界と人物。 流れているものの、止まっているような盤面で突如、何かが起こる。