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グローバリズム出づる処の殺人者より

Booker Prize

グローバリズム出づる処の殺人者より

アラヴィンド・アディガ

Through the monologue of Balram, a driver who rises out of poverty in northern India, the novel sharply depicts class society and corruption. Its dark humor and unruly voice leave a strong impression of modern India's distortions.

Indiaclasscorruptionrags to richesdark humor

Work Information

Morality breaks down piece by piece in the shadow of success.

Although it is a rise-from-poverty story, it never becomes a simple success tale; instead it shows the exploitation and violence underneath. The reading is brisk, but the aftermath leaves the cruelty of the system behind.

Review Summaries

  • Readers praise the momentum of the narrator's voice and the sharpness of the social satire. Even its morally unsettled choices are seen as part of what makes the book so memorable.

Book Information

Publisher
文藝春秋
Published
2009-02-16
Pages
319 pages
Language
日本語
ISBN-13
9784163275604
ISBN-10
4163275606
Price
5480 JPY
Category
本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学

究極の格差社会インドから中国首相に送られる殺人の告白。グローバリズムの闇を切り裂き、人間の欲望と悲しみを暴く挑発的文学

Reviews

  • インド学習に有益でした

    2008年の作品です。権威ある文学賞を受賞したそうです。 著者のアラヴィンド・アディガさんは、インド生まれで、米国で英文学を学んだそうです。 驚きました。 邦題からして、B級ミステリー的な作品を想像して読み始めました。 重かったです。 貧しい、村人が、運転手になり、裕福な家族たちの為に仕事をする。 その生活の中で、 社会の矛盾が見えてきて、爆発する… 彼は、天使か、悪魔か、はたまた、単なる狂人か… インドには、驚かされる事が多いですが、この著作も、そのような驚きの1つになりました。 まだまだ、インド学習の旅は続きます… いやぁ、驚いた。

  • いったいどこがalternative indiaなの?

    英語版へのレヴューのコピーです。 今年のbooker賞受賞作だそうです。インド関係の作品としては久しぶりです。インド人の受賞者としては10年ぶりでしょうか。だいぶ構えて読み始めたのですが、作品の宣伝から受ける印象とはだいぶ違った読後感を持ちました。まず第一に余りジョークやコメディという印象はうけませんでした。言葉遣いや文章はだいぶ目新しいのですが、決してわかりにくいという作品ではありません。主人公が印度を訪問中の中国の首相に手紙を一週間に渡って送るという形式を取っているので、むしろあっという間に読めてしまいます。第二に、alternative indiaの呈示と描写という点でセンセーションを引き起こしたという賛辞が満載ですが、私にとってはまったくalternative indiaという印象を与えることはありませんでした。これこそが著者の言うとおり"mainstream india"だという点ではまったくの同感です。第3に、舞台は、3箇所に別れます。最初は主人公が育った村の話であり、次に中心となるのが著者がdriver(車の運転手という訳になりますが、これが印度の文脈の中では独特の含意を持つのです)として主人に連れて行かれるニューデリーです。このアメリカナイズの真っ只中にあるニューデリーが話の大部分が展開される場所となります。最後はIT産業とアウトソーシングの中心となるバンガロールです。第4に、この作品の売りは、新しいインドの中産階級の背後に潜んでいるインドの現実の描写となっていますが、主人公は決して中産階級の人間ではなく、あくまでも中産並びに上流階級の主人にservantとして使えるその他大勢の下層階級の出身です。印度のニューデリーで40年近く前に少年時代を過ごした私にとっては、本書のストーリー展開については何も驚くべきことがなかったというのが実感でした。印度は何も変わっていないのです。たしかにショッピングセンターや高層マンションはたくさんできているようです。でもニューデリーの高級住宅街の地名にはほとんど変化はなく、そこで繰り広げられるカーストに規定された人間と社会関係の不条理と残酷さは子供心に痛切に感じたままのとおりです。変わったのは、走っている車がambassadorではなくhonda cityであり、ニューデリーの町の交通地獄であり、排気ガスに侵された空気だけのようです。重要な小道具の役割を果たすのが、johnnie walkerのblack labelの瓶というのも意味深だな。

  • インドの剥き出し!?

    読み始めは、インドの実業家から中国の首相温家宝への書簡という形式に なかなかなじめず、またシニカルな文体にもなじめず、出だしの予感はかなり低め・・・。 しかし!そこを我慢して読み進めると、もうやめられない、止まらない。 グローバリズムにも(それ以前に経済にも)、世界情勢にも、インドにも 知識のない私には、たぶん肝心な部分が読み取れていないと思われるが、それでも この本には圧倒される面白さがある。 それがなんなのか? 独断と偏見で考えるに・・・ 出身の田舎の村の生活から、都会に出てお金持ちの運転手生活まで、物語の中心部分 ずっとが、現代の話であることを忘れるくらいの "むき出し感” 満載。 終盤、IT産業の街バンガロールが舞台になって、そうだった!現代の話だったっけ、と 思い出す程。 ソフィスケートされた現代日本から見ると、欲望も、憎しみも、格差もキョーレツで インドの太陽光線のように容赦がない。 ”社会主義”のはずのインドの地方選挙の実態もすごいが、大都会の高級マンションの 運転手部屋にはめまいがした。 作者はインド人の下僕根性を怒りを持って告発しているが、日本人の私から見ると お金持ちや政治家等、上に立つ人々の根性の方が驚くべき乱暴さである。 同じ時代の同じ国に何世紀分もの人間社会の営みや価値観が乱暴にぶち込まれてるよう な国、インド・・・。あっこれ小説だったっけ?小説であることも忘れてた。

  • 映像では描けないインドの現実を記した作品

    話題の映画「スラムドッグミリオネア」と比較すれば、この書の持つ特徴がよく分かる。映画がインドのスラム街の現実をあますことなく映し出したとすれば、この書は最底辺で暮らす人間の心的構造を如実に描き出した。 物語の始まりはインドのIT産業の集積地、バンガロールで始まる。語り手である「わたし」は近くバンガロールを視察する予定の中国首相宛の手紙にこう記す。「これからあなたにバンガロールの実情を無料でお教えしようと思います。わたしの半生を語ることで」 「わたし」が<闇>と呼ぶカースト制度に覆われた伝統的農村社会で、人力車夫のせがれとして語り手が主人を殺すことで、<光>と呼ぶにふさわしい、高層ビルが林立するバンガロールで起業家として成功するまでの半生を語る。 究極の格差社会は、人の尊厳をむしばむ。経済ジャーナリストである著者が、なぜこのような物語を記したのか。さまざまな経済指標や数字の羅列だけではインドの現実を語れない、そう思ったからではないだろうか。

  • インドは変わるのだろうか?

    殺人を犯した男の告白という形式で書かれる 怒りと自信と自嘲の混じるような口調がいい。絶妙な翻訳だと思う。 ドキュメンタリーを繋ぎ合わせて作ったフィクションのようにも感じる。 インドは変わるのだろうか?

  • ‘わたし’が中国首相宛に語る<闇>と<光>の現代インド

    世界最高の権威をもつ文学賞のひとつで、イギリス連邦およびアイルランド国籍の著者によって英語で書かれたその年に出版された最も優れた長編小説に与えられる、「ブッカー賞」’08年度受賞の栄誉に輝いたアラヴィンド・アディガのデビュー作。 この物語で描かれているのは、BRICsの一角として注目され、経済発展が進む一方で、依然として“カースト”が存在し、「一握りの人間が残りの九十九・九パーセントの人間をあらゆる面で強力に、巧妙に、狡猾に教育して、永遠の奴隷にしたてあげてきた」(170ページ)究極の格差社会<闇>と<光>のふたつのインドである。 本書は、インド南部で、ITとアウトソーシングの分野で発展著しい高原都市バンガロールの起業家‘わたし’が、まもなくインドを訪問する中国の温家宝首相に宛てて7日間にわたって綴る手紙の形式をとっている。 そこでは、水道も下水処理設備もないごく貧しい<闇>のインドの一家で育ち、デリーで富豪のお抱え運転手となった‘わたし’が、なぜ主人を殺し、その金を持ち逃げし、<光>のインドの起業家になったか、そこに至るまでの半生の日常が、静かにせせら笑うかのような、いささか諧謔口調で、しかしその根底に“暗い”何かを含ませて語られている。 経済ジャーナリストの著者が、あえてノンフィクションやルポルタージュの形式をとらず、‘わたし’が語る手紙という小説仕立てで本書を創り上げたことにより、現代インドの実像がよりいっそう鮮烈に、臨場感を持って、読者の胸に届くのである。

  • 現代インドを知るためにも読んで損はない

    まず,「インドを訪問する中国の首相にあてた殺人の告白」と言う設定がとっつきやすい。 しかも,手紙の後述という形式が読みやすく,どんどん読み進むことができる。 フィクションではあるが,書かれている内容はインドの現実そのものである。 撤廃されたとされているカースト制が本当はどうなっているのか,地方と都会の生活様式の違い,雇い主と使用人の関係を知るなど,「現代インド案内」としても読める。 読後感は軽くはないが,被支配者として生まれた者のほとんどがそこで一生を終える理由が,強烈なインドの現実を背景に語られ,この本を読む機会に巡り合えてよかったと思わせた一冊である。

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