世界・海外・国外の文学賞

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ユージン・オニール

ユージン・グラッドストン・オニール

Eugene O'Neill

プロフィール

性別
男性
生誕
1888-10-16 (アメリカ合衆国 ニューヨーク市(当時のロングエーカー広場/現在のタイムズスクエア付近))
死没
1953-11-27 (アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ボストン(当時のシェラトンホテル)) 65歳
国籍
アメリカ合衆国
言語
英語
宗教
カトリック(幼少期)
居住地歴
ニューロンドン(モンテ・クリスト・コテージ、コネチカット) → ロワール渓谷(フランス、サン=タントワーヌ=デュ=ロシェ) → シーアイランド(ジョージア州、Casa Genotta) → ダンビル(カリフォルニア州、タオ・ハウス) → ボストン(晩年)

経歴

職業
劇作家, 脚本家
活動期間
1913年〜1943年
所属
プロヴィンスタウン・プレイヤーズ, インダストリアル・ワーカーズ・オブ・ザ・ワールド(IWW) - 海上運送労働組合に関与
所属団体
アメリカ哲学会(American Philosophical Society), シアタークラブ The Lambs, アメリカ演劇殿堂(名誉メンバー)
影響を受けた人物
オーギュスト・ストリンドベリ, アントン・チェーホフ, ヘンリック・イプセン
影響を与えた人物
テネシー・ウィリアムズ, アーサー・ミラー, 20世紀以降のアメリカ演劇の多くの劇作家

学歴

セント・アロイシアス・アカデミー(寄宿制)
期間: 1895頃 - 不明
国: アメリカ合衆国
幼年期の寄宿学校。正確な在籍期間は資料により差異あり。
デ・ラ・サール・インスティテュート(マンハッタン)
期間: 1900頃 - 不明
国: アメリカ合衆国
日中通学の学校。在籍期間はおおよその推定。
プリンストン大学(中途退学)
期間: 入学 ~ 1年在籍(年不確定)
国: アメリカ合衆国
在学1年で退学。理由については諸説あり(出席不足、規律違反など)。
ハーバード大学(ワークショップで学ぶ)
劇作ワークショップ
期間: 1914頃 - 1年程度
国: アメリカ合衆国
劇作技術を学ぶための短期在籍。ジョージ・ピアース・ベイカーに師事。

受賞歴

ノーベル文学賞
1936
主催: スウェーデン王立アカデミー
結果: 受賞
ピューリッツァー賞(ドラマ)
1920
対象作品: 『地平線のかなたに』
主催: コロンビア大学(ピューリッツァー賞委員会)
結果: 受賞
ピューリッツァー賞(ドラマ)
1922
対象作品: 『アンナ・クリスティ』
主催: ピューリッツァー賞委員会
結果: 受賞
ピューリッツァー賞(ドラマ)
1928
対象作品: 『奇妙な仲間たち(ストレンジ・インタールード)』
主催: ピューリッツァー賞委員会
結果: 受賞
ピューリッツァー賞(ドラマ)
1957
対象作品: 『長い日の旅路』
主催: ピューリッツァー賞委員会
結果: 受賞(死後)
トニー賞(最優秀戯曲)
1957
対象作品: 『長い日の旅路』
主催: トニー賞委員会
結果: 受賞(戯曲としての評価、上演に関連)

受賞・候補エディション

  1. 受賞作: Beyond the Horizon

    農村を舞台に兄弟の人生選択とその帰結を描く悲劇。夢を追う者と地に足をつける者の対比から、誤解や約束の破綻が家族にもたらす破局を描き、運命と責任が主要テーマとして静かに浮かび上がる作品。

    運命家族選択の結果悲劇
  2. 受賞作: Anna Christie

    海辺を舞台に、過去に苦しむ女性アンナが父との再会と新たな愛を通じて自己再生を図る物語。過去の過ちと赦し、アイデンティティの回復が主要テーマとなり、オニールの繊細な心理描写が光る作品である。

    アイデンティティ贖罪家族再生
  3. 受賞作: Strange Interlude (ストレンジ・インタールード)

    登場人物の内面独白(モノローグ)を多用する実験的な長篇劇。愛情、欺瞞、精神的苦悩や世代を超えた人間関係を冷徹に掘り下げ、伝統的な会話劇の枠を越えて心理と道徳の矛盾を描き出す。

    内面独白愛と裏切り精神分析的主題家族の葛藤
  4. 受賞作: 長い日の旅路 (Long Day's Journey into Night)

    自伝的要素を色濃く反映した三幕劇。ある家族の長い一日を通して、アルコール依存、病、過去の確執が次第に露わになり、罪と贖罪、赦しの可能性が静かに問われる。オニールの代表作と評される。

    家族中毒自伝的要素後悔贖罪
  1. 受賞作: 劇作家としての業績

    家族の悲劇や個人の内面を深く掘り下げる作品群により、舞台表現の重厚さを拡張した。『Long Day's Journey Into Night』『The Iceman Cometh』など、心理劇と現実主義を融合させた戯曲でアメリカ演劇の国際的評価を高めた。

    家族人間心理運命現代劇
  1. 受賞作: 代表戯曲群(例:Long Day's Journey Into Night)

    ユージン・オニールの受賞対象は単一作品ではなく、アメリカ演劇を切り開いた戯曲群そのもの。悲劇を現代劇として更新した力が評価された。

    ひとつの本ではなく、戯曲群全体が文学史に残る。

    戯曲悲劇アメリカ演劇文学的業績

作品

代表作

『地平線のかなたに』

1918年 戯曲(現実主義)

若い兄弟の人生と夢の衝突を描く初期の長編戯曲。1920年にピューリッツァー賞を受賞。

運命家族の葛藤失望

『アンナ・クリスティ』

1920年 戯曲(現実主義)

港町を舞台に、過去を持つ女性と家族の物語。1922年ピューリッツァー賞受賞作。

贖罪家族身体と労働

『皇帝ジョーンズ』

1920年 戯曲(実験劇、表現主義の要素)

アフリカやカリブ海を背景に、自己を権力者と見なす男の没落を描く作品。初期の代表作。

権力と孤独人種と植民地主義幻覚

『奇妙な仲間たち(ストレンジ・インタールード)』

1928年 戯曲(実験的形式)

独白やモノローグを多用した長大な戯曲。1928年ピューリッツァー賞受賞。

内面意識道徳的ジレンマ愛と欺瞞

『長い日の旅路』

1941年 自伝的戯曲(悲劇)

オニール自身の家族をモデルにした自伝的三幕劇。長年にわたる家族の葛藤、依存症、救済を描き、死後出版・上演されて高い評価を受けた。1957年ピューリッツァー賞受賞(死後)。

家族の崩壊薬物依存過去の負債
映像化・舞台化
  • [映画] 『長い日の旅路(映画)』 / Sidney Lumet (1962)

『アイスマン・カムズ(The Iceman Cometh)』

1940年 戯曲(悲劇)

アルコールや虚構で生きる人々が集う酒場を舞台に、幻想と希望の崩壊を描く長大な作品。1946年に舞台初演。

幻想と現実絶望自己欺瞞
映像化・舞台化
  • [映画] 『The Iceman Cometh(映画)』 / John Frankenheimer (1973)

『喪に服す者はエレクトラ(Mourning Becomes Electra)』

1931年 戯曲(悲劇、古典的影響)

ギリシャ悲劇や家族悲劇の手法を用いた大作。運命と復讐を主題とする三部作的構成。

復讐運命家族の破局

『ああ、荒野!』

1933年 戯曲(喜劇/温情劇)

オニールの数少ない喜劇の一つで、若者の成長と家族の温かさを描いた温情劇。

青春家族愛郷愁

全著作

  • 『バウンド・イースト・フォー・カーディフ』
  • 『地平線のかなたに』
  • 『アンナ・クリスティ』
  • 『皇帝ジョーンズ』
  • 『ストレンジ・インタールード』
  • 『アイスマン・カムズ』
  • 『長い日の旅路』
  • 『喪に服す者はエレクトラ』
  • 『ああ、荒野!』

翻案

  • 『The Long Voyage Home』(1935/1940 映画化:ジョン・フォード監督による脚色)
  • 『The Iceman Cometh』(1973 映画、ジョン・フランケンハイマー監督)
  • 『Long Day's Journey into Night』(1962 映画、シドニー・ルメット監督)

作品の翻訳

  • 多数の言語に翻訳されている(日本語訳を含む)

作風・主題

文体
現実主義を基盤としつつ詩的で象徴的な要素を併せ持つ文体独白や内面描写を多用する実験的手法
頻出モチーフ
家族の崩壊アルコール依存と薬物海(海にまつわる職業や孤独)過去の重荷と救済不能な悲哀

健康

  • 結核(若年期)
    1912頃
    療養所での回復が劇作家としての転機となり、執筆に専念する決意を固めた。
  • うつ病・アルコール依存
    生涯を通じて断続的に
    しばしば作品の主題となり、私生活や創作に影響を与えた。
  • 手の震え(パーキンソン様症状)
    晩年(1940年代後半〜)
    書くことが困難になり、ディクテーションも難しくなって創作活動をほぼ停止した。
  • 小脳皮質萎縮(死因としての結論)
    死去時点(2000年の研究で診断)
    後年の研究では死因はアルコールやパーキンソン病ではなく小脳皮質萎縮であると結論づけられた。

評価・遺産

アメリカ演劇を近代化し、現実主義的手法と心理的深みを芝居にもたらした劇作家。ノーベル賞受賞者であり、ピューリッツァー賞を4度受賞した唯一の劇作家として高い評価を受ける。作品は世界中で上演・論考され続けている。

記念館・博物館

  • モンテ・クリスト・コテージ(ユージン・オニール生家) ニューロンドン、コネチカット州、アメリカ合衆国 1971年開館
  • ユージン・オニール国立史跡(Tao House) ダンビル、カリフォルニア州、アメリカ合衆国 1976年開館
  • ユージン・オニール劇場(ニューヨーク) ニューヨーク市(ブロードウェイ)

関連学会

  • アメリカ哲学会
  • 演劇研究学会などで多数研究対象となる

資料所蔵先

  • イェール大学(Beinecke Rare Book and Manuscript Library)に主要資料群
  • コネチカット大学のルイス・シェーファーコレクション
  • ハリー・ランサム・センターなど複数のアーカイブに所蔵

大衆文化への影響

  • 映画『レッズ』(1981年)でジャック・ニコルソンがオニールを演じ、アカデミー助演男優賞にノミネートされた。
  • 作品『長い日の旅路』は多くの映画・テレビ・舞台作品や台詞で言及される文化的参照になっている。
  • ユージン・オニール演劇センター(Eugene O'Neill Theater Center)は新作戯曲の育成で知られる。

引用

  • 「芸術家でありたい、それ以外は何も望まない」
    出典: 療養所での回想(自伝的記述)
  • 「分かっていた。分かっていた。ホテルの部屋で生まれ、ホテルの部屋で死ぬとは」
    出典: 死亡時のささやき(目撃記録) (1953年)

豆知識

  • ピューリッツァー賞(ドラマ)を4回受賞した唯一の劇作家である。
  • 1936年にノーベル文学賞を受賞した。
  • 娘オーナはチャーリー・チャップリンと結婚し、父とは生涯疎遠になった。
  • 『長い日の旅路』は遺言で25年後まで公表しないように指示されていたが、妻カーロッタが1956年に出版・上演させた。