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ハンナ・アーレント

ハンナ・アーレント

Hannah Arendt

別名: Johanna Arendt / Hannah Arendt Bluecher
ペンネーム:

プロフィール

性別
女性
生誕
1906-10-14 (リンデン(ハノーファー))
死没
1975-12-04 (ニューヨーク市(アメリカ合衆国)) 69歳
国籍
プロイセン(ドイツ), 無国籍, アメリカ合衆国
言語
ドイツ語, 英語, フランス語, ヘブライ語(基礎)
宗教
ユダヤ教(世俗)
居住地歴
リンデン(ハノーファー) → ケーニヒスベルク(現カリーニングラード) → ベルリン(ドイツ) → マールブルク(ドイツ) → フライブルク(ドイツ) → ハイデルベルク(ドイツ) → パリ(フランス) → モンターバン(フランス) → リスボン(ポルトガル) → ニューヨーク市(アメリカ合衆国) → キングストン / バード大学近郊(ニューヨーク州) → アナンデール=オン=ハドソン(ニューヨーク州、埋葬地・関連)

経歴

職業
哲学者, 政治思想家, 歴史家, 作家・エッセイスト, 学者・講師
活動期間
1929年〜1975年
所属
ユニバーシティ・オブ・シカゴ(Committee on Social Thought等), イェール大学(フェロー), ザ・ニュー・スクール(政治哲学 教授), プリンストン大学(客員), バード大学(関連・遺品収蔵), Jewish Cultural Reconstruction / Commission on European Jewish Cultural Reconstruction, Schocken Books(編集)
所属団体
アメリカ芸術科学アカデミー, アメリカ芸術文学アカデミー
影響を受けた人物
マルティン・ハイデッガー, カール・ヤスパース, アウグスティヌス, ライナー・マリア・リルケ(文学的影響)
影響を与えた人物
ジュディス・バトラー(現代政治哲学), セイラ・ベンハビブ(政治理論), 現代の公民的共和主義・批判理論の研究者一般

学歴

ベルリン大学(聴講)
古典・神学等(聴講)
期間: 1922–1923 (聴講)
国: ドイツ
正式な学位取得ではなく聴講を行った
マールブルク大学
哲学・神学・古典
期間: 1924–1926
国: ドイツ
マルブルクでハイデッガーらに学ぶ
フライブルク大学
哲学
期間: 1926 (学期在籍)
国: ドイツ
フライブルクでフッサールらの講義を聴講
ハイデルベルク大学
哲学
学位: PhD
期間: 1926–1929
卒業年: 1929
国: ドイツ
博士号(1929)。論文『愛と聖アウグスティヌス』

受賞歴

ソンニング賞(ヨーロッパ文明への貢献)
1975
主催: ソンニング財団
結果: 受賞
アメリカ芸術科学アカデミーフェロー選出
1962
主催: アメリカ芸術科学アカデミー
結果: 選出
アメリカ芸術文学アカデミー会員
1964
主催: American Academy of Arts and Letters
結果: 選出

受賞・候補エディション

  1. 受賞作: 学術業績(代表作『人間の条件』等)

    政治哲学と歴史的考察を結びつける論考群。全体主義の分析や公共性、行為の理論などを明晰な文章で展開し、専門的思索を一般読者にも伝える表現力が評価された。

    政治哲学全体主義研究公共性思想史

作品

代表作

全体主義の起源

1951年 政治思想・歴史 704ページ

ナチズムとスターリニズムを含む20世紀の全体主義の起源と構造を分析し、反ユダヤ主義・帝国主義・全体主義の三部構成で論じる代表作。

全体主義反ユダヤ主義権力とイデオロギー暴力と恐怖政治
翻訳
  • 全体主義の起源

人間の条件

1958年 政治哲学 416ページ

労働・仕事・行為の区別を通じて公的領域と政治的行為の意味を探り、“生の条件(vita activa)”を論じた主要著作。

vita activa誕生(natality)公共性政治的行為
翻訳
  • 人間の条件

エッヒマン・イン・エルサレム ― 悪の凡庸さについての報告

1963年 報道・政治哲学 294ページ

エッヒマン裁判の現地ルポから生まれた報告。実行者の“凡庸さ”を通じて悪の本質と責任の問題を問う論考で、強い論争を呼んだ。

悪の凡庸さ責任思考と判断裁判と正義
翻訳
  • エッヒマン・イン・エルサレム

ラーヘル・ファーンハーゲン:ユダヤ人女性の生涯

1957年 伝記・歴史 400ページ

19世紀のユダヤ人サロン文化を生きたラーヘル・ファーンハーゲンを通して同化・ユダヤ性・運命を考察する伝記研究(ハビリタツィオン研究を基礎にした著作)。

同化ユダヤ性伝記と自伝の交錯
翻訳
  • ラーヘル・ファーンハーゲン

思考の生活

1978年 哲学(未完) 240ページ

思考・意志・判断の三つの精神的活動を主題とした三部作構想のうち未完のまま残された著作。死後に編纂出版された。

思考意志判断良心
翻訳
  • 思考の生活

全著作

  • 愛と聖アウグスティヌス(博士論文、1929)
  • 全体主義の起源(1951)
  • 人間の条件(1958)
  • エッヒマン・イン・エルサレム(1963)
  • ラーヘル・ファーンハーゲン(1957)
  • 思考の生活(1978, 死後刊行)

翻案

  • 映画『ハンナ・アーレント』
  • ドキュメンタリー『Vita Activa: The Spirit of Hannah Arendt』

作品の翻訳

  • 『全体主義の起源』
  • 『人間の条件』
  • 『エッヒマン・イン・エルサレム』

作風・主題

文体
学際的でエッセイ的な文体歴史と哲学を横断する考察明晰で論証的な語り口
頻出モチーフ
悪の凡庸さnatality(誕生・新しい始まり)amor mundi(世界への愛)公共空間と政治的行為責任と判断

健康

  • 喫煙習慣(重喫煙)
    生涯を通じて
    心血管系に負担。晩年に心臓発作、健康悪化の一因。
  • 心臓発作
    1974(重篤)–1975(致命的)
    1974年にほぼ致命的な発作を起こし回復。その後1975年に心臓発作で急逝。

評価・遺産

20世紀を代表する政治哲学者の一人として評価される。全体主義、責任、公共性に関する洞察は現代の政治理論や難民問題、ポスト・トゥルース時代の議論に影響を与え続ける。エッヒマン報告をめぐる論争も彼女の思想的遺産の重要な一部。

記念館・博物館

  • ハンナ・アーレント・センター(バード大学) バード大学(ニューヨーク州)
  • ハンナ・アーレント・アーカイブ(カール・フォン・オッシェツキー大学オルデンブルク) オルデンブルク(ドイツ) 1999年開館

関連学会

  • ハンナ・アーレント研究会(各国)
  • ハンナ・アーレント賞(政治思想)

資料所蔵先

  • 図書館会議所(Library of Congress)に収蔵されたアーレント文書
  • ドイツ文学アーカイブ・マルバッハ(友人やドイツ文書保管)
  • バード大学スティーブンソン図書館(個人蔵書コレクション)

大衆文化への影響

  • 映画『ハンナ・アーレント』(2012、監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ)
  • ドキュメンタリー『Vita Activa: The Spirit of Hannah Arendt』(2015)
  • テレビシリーズ『Transatlantic』等での描写(登場人物として)
  • 出身地や各地の壁画・碑文(「誰にも従う権利はない」等)

引用

  • 誰にも従う権利はない(Niemand hat das Recht zu gehorchen)
    出典: ヨアヒム・フェストとの対談(1964年)における発言 (1964年)
  • 彼は恐ろしく普通だった(エッヒマンは“恐ろしく普通”だった)
    出典: 『エッヒマン・イン・エルサレム』 (1963年)

豆知識

  • 1959年にプリンストン大学の常勤教授に最初の女性として任命された(客員職等を含む長年の教育歴がある)
  • 生涯喫煙者であり、1975年に心臓発作で急逝した
  • エッヒマン裁判の報道で「悪の凡庸さ(banality of evil)」というフレーズを広めた