コスタ・ブック賞 こすたぶっくしょう
第51回(2021年)
受賞者
5名『Unsettled Ground』は、英国の田舎で孤立して暮らす兄妹の生活が外部の介入や過去の秘密によって揺らぎ始める様子を描く長編小説。土地や居場所の喪失、貧困と誇り、家族の絆や記憶が静かで緊張感のある筆致で綴られる作品で、現代の地方社会の脆さと人間関係の複雑さを掘り下げる。
英国出身の小説家。家族や記憶、地方の暮らしを題材にした作品で知られ、『Unsettled Ground』でコスタ賞ノベル部門を受賞した。
『Open Water』はロンドンを舞台に、若い黒人男性同士の恋愛と自己発見を繊細に描いた長編。親密な一人称の視点と詩的な表現を通して、愛と喪失、家族や人種がもたらす圧力、創作と癒しの関係を描き出す作品で、感情の機微に寄り添う語りが特徴である。
ロンドンを拠点に活動する若手作家。詩的な感性を持つ語り口で人間関係やアイデンティティを描き、デビュー作『Open Water』で注目を集めた。
『The Crossing』は、友情と困難に直面する若者たちを通じて成長や帰属の問題を描く児童向けの物語。移民や社会的排除、家族の断絶と再生といった重層的なテーマを扱い、仲間との絆や勇気を通じて前へ進む姿を力強く描写する。
児童・ヤングアダルト向けの作品を手掛ける作家。若者の視点から友情や社会的困難を描き、読者の共感を呼ぶストーリーを多く発表している。
『The Kids』は、母親としての日常や家族の記憶、移民背景や都市での生活を織り交ぜた詩集。子どもたちとの関係や過去の断片を通して自己とルーツを探り、個人的な回想と社会的文脈が重なり合う詩的な語りで読者の共感を呼び起こす作品である。
英国の詩人。私的な記憶や家族、移民背景を題材にした詩作で知られ、『The Kids』で詩部門の受賞に加えコスタ賞年間最優秀賞(Book of the Year)を受賞した。
『Fall: The Mystery of Robert Maxwell』は、メディア王ロバート・マックスウェルの生涯と死、及び彼を巡る財務不正や権力関係を追うノンフィクション。政治とメディア、企業の暗部を精緻に検証し、事件の背景と余波を明らかにする調査記録的な評伝である。
ジャーナリストでノンフィクション作家。調査報道的な手法で政治・メディアの事件を読み解く著作がある。ロバート・マックスウェルに関する研究で知られる。