作品情報
四月は最も残酷な月から始まる、喪失と再生の長詩。
第一次大戦後の不穏な空気と文化的断絶を背景に、神話や聖書、古典文学の響きを織り込みながら進む長詩。岩波文庫版は『プルーフロックその他の観察』から『荒地』までの主要詩篇を収め、詳細な訳注で読解を支える。
書籍情報
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 2010-08-20
- ページ数
- 240ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.5 x 1.5 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784003225820
- ISBN-10
- 4003225821
- 価格
- 1001 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/詩歌/詩集
「四月は最も残酷な月……」と鮮烈な言葉で始まる『荒地』は、20世紀モダニズム詩の金字塔である。本書には、『プルーフロックその他の観察』から『荒地』までのT。S。エリオット(1888-1965)の主要な詩を収録し、その前期の詩作の歩みをたどれるようにした。難解な詩を味読できるよう詳細な訳注を付した文庫決定版。
レビュー
-
文芸評論家
文芸評論家について、興味がある方だったら買って読んで下さい。
-
半分以上解説
詩はいいけど、半分以上解説。もっと薄くて安いほうがいい
-
ノーベル賞を身近に感じる本
ノーベル文学賞を受賞したT・S・エリオットの作品です。エリオットとといえばかのミュージカル『キャッツ』の原作者として知られています。たしか詩集『キャッツーポッサムおじさんの猫とつきあう法』だったかな。エリオットはフランスの女性哲学者シモーヌ・ヴェイユの『神を待ちのぞむ』の序文を寄稿していますね。本書は味わい深い詩集ですね。
-
言葉選びに少し難あり
しっかり作られた本だが言葉選びに少しだけ偏りがある。 これは長年研鑽を積んできた年配の学者訳によくあることなのだが 少し気になった。 1)冒頭部のmixに「ないまぜ」をあてているが、これは「綯い交ぜ」 の意なので語感は良いかもしれないが、「混ぜ合わせ」でよい。mixはごく平易な基本語だ。 2)a shower of rainに時刻の含みはないので「夕立ち」は訳しすぎ。 「にわか雨」くらい。 3)in the mountainsを「山国にいると」としているが、少し耳遠い。 現代英語でも普通の表現なのだから、「山の中にいると」「山にいると」で問題ない。 4)there you feel freeのthereに込められた意味合いはいろいろ 訳せると思うが「とっても」までは言っていない。 5)微妙な問題だが、sledに「橇」の漢字は重い。そしてdown we wentなのだから 一緒に滑ったという情報がどこかに欲しい。訳のままだとそりに乗っけられて 後ろから押されてひとりで滑ったとも読める。 6)clairvoyanteは占い師よりも「千里眼、超能力者」のほうが 意味的にも、モダニズムのオカルト性を鑑みても適当だ。 7)「水死の虞れあり」はfearなので、ことさら精密な漢字を当てる必要はない。 読者は「虞れ」から英語でも難語を選んでいると誤認してしまう。 平易に「水死の恐れあり」でよいし、タロット占いなら「水難の相あり」も自然な選択肢。 上にも上げたが、多く、漢字の選択、表記が気になった ひとつだけ。cricketはコオロギ、こおろぎでいいんであって 「蟋蟀」とする必要はない。 ちなみにレビュワーのなかにShantihの長母音うんぬんといっている人がいるが それは本当に些末な話でモダニズムの外国語の引用を分かっていない そもそもエリオット自身の朗読がそうであるが、英語話者の朗読は「シャンティ」である
-
『荒地』必携
本書は1922年出版のT.S.エリオットの代表作The Waste Landを含む主要な詩の翻訳書および解説書です。しばしば20世紀英国における前衛文学運動、いわゆるモダニズムの最重要詩のひとつと評される『荒地』ですが、その最も明確な特徴は詩文の形式と内容双方の難解さです。この難解さは英語での原文を声に出して読もうとすればすぐさま明らかになります。本書でも注解されているように、原文はギ語、ラ語、仏独伊、サンスクリットから車や都市、雷の騒音に至るまで様々な言語や音声が入り混じっています。そのうえ、作者自註によれば、この作品は哲学書や釈迦の教え、文化人類学の草分け的名著、鳥類図鑑や欽定訳聖書などからまで引用をしていると言います。このような事情から、日本人でこの詩をスラスラ音読できる読者はそういないでしょう。この訳書の大きな美点はそうした難解さを踏まえつつ、また完全な訳出は不可能だと懸命にも自覚したうえで、きわめて精度の高い訳語の数々を提供してくれる点です。おそらく、他のレビューで本書が詩的でないと評されている方がいらっしゃるのは、この点に関連しているでしょう。つまり、この訳書は、原文に触れない読者はもとより、原文と並べて読む読み手の手助けとなるように書かれていると思います。なので、大学の授業などでこの詩を講読する学生さんには入門書として非常に適しているだけでなく、プロの研究者にも有益な情報を提供してくれることと思います。具体的には、作者の生い立ち、出版の経緯や諸情報、各詩の基本的な理解、文献紹介、訳者の注解などです。エリオットという詩人について興味のある方にオススメできる日本語での最良の入門書は本書であると思います。過去の良書といえば、深瀬基寛の『エリオット』がありますが、絶版となって久しいですし、英語の入門書は表面的で、詩文の細部と俯瞰的な視点がうまく合致しにくいのではないかと思います。以上でお伝えしようとしたのは、『荒地』の面白さもまたその難解さであるという点です。ひとつの詩行から無限に広がるかに思える古今東西の書物の海へとダイブすることも鑑賞の快感ですし、思弁的な含意を探求するのも良いでしょう。個人的にはやはり、原文と並べて、自分だったらどのように訳すか思案しながら、岩崎訳の無駄のなさに感銘を受けつつ、それを超える自己流の訳文を見つける読み方が楽しく思います。英語原文のお勧めとしてはPenguin Classicシリーズから出ているFrank Kermode編集のThe Waste Landが編者注解付きのものとしてはお求めやすく、編者の序論は一読の価値があります。エリオットの生涯作品に触れたい場合はFaberのCollected Poems of T. S. Eliotが注や解説なしですがあります。ラインナンバーや未発表の詩、『荒地』の草稿など収められた最強のエリオット詩集をお求めであれば、同じくFaberのThe Poems of T. S. Eliotが役立ちます。最後のものはハードカバーであれば鈍器ほどの厚みがありますが、Christopher Ricksによる引喩のリストは極まった感さえします。研究用です。詩人の散文に触れたい方はKermode編のSelected Prose of T. S. Eliotが入りやすく、散文全集をお求めの方はComplete Prose of T. S. Eliotでネット検索して下さい。色々書きましたが、日本語での『荒地』必携は本書です。最後まで読まれた方ありがとうございました。
-
口語文体の詩で気に入った。
まず口語文体の詩で、読むうちにエリオットの気質もよく出ていて、訳もそのようで、訳注も懇切丁寧で、いろいろ教えられるところがあった。対訳だったらもっと良かったかもしれない。読後一種の充実感があった。
-
短い文章の中にかくも多い情報と情緒を盛り込んでいるのが判る詩集
20世紀を代表する詩とその他重要な詩を集めた詩集。 著名な「荒地」は、名前は知っておりましたが、読むのは今回が初めてで、ただ読むだけでは判らないので、脚注や鑑賞を参考に何回か読みました。 その他の重要な詩も似た様な感じで読みました。 文庫本の半分は詩で、半分はその詩に関する脚注と鑑賞術に関する物で、短い言葉の羅列の中に、どれだけの情報量、情緒量が込められているかが判ります。 詩の解釈は人に依って自由で、ナボコフの「淡い焔(青白い炎)」みたいに著者の意図と別に全然違う解釈をしてもいい、とは聞きますが、これだけ多様な解釈が成り立ちそうな詩もないであろう、という感想を持ちました。 一回読んで終わりにしないで、機会を見つけて繰り返し反芻してみようと思わせる詩の集成。是非ご一読を。 蛇足ですが、「荒地」の冒頭の有名な”四月は最も残酷な月”というのは現代では新学期の始まる頃に学生さんの自殺が増えるのを予見していたみたいで意味深ですね。 後、この詩に影響を受けた、日本の代表的詩人に推理小説の翻訳をしていた方が多いのは偶然でしょうか?
-
Pタウンゼントから
who`nextの一曲目。この曲からこの本を買いました。Teenage wasteland
関連する文学賞
- ノーベル文学賞 第41回(1948年) ・受賞