-
第80回(2009年) 受賞受賞作: Quanta stella c'è nel cielo
ホロコーストや記憶を主題に据えた文学的作品。歴史的体験と個人的記憶が交錯する語りで、生存・喪失・記憶の継承を静かに問いかける。
ホロコースト記憶生存 -
第92回(2021年) 受賞受賞作: Il pane perduto
アウシュヴィッツから生還した著者が、幼少期の喪失、故郷を失う感覚、そしてイタリアへ辿り着くまでの長い漂泊をたどる回想録。記憶と証言が、戦後を生き延びた身体の感触とともに立ち上がる。
失われたものを語り継ぐことが、生き延びた者の責任になる。
128ページホロコースト記憶生還亡命証言
エディス・ブルック
エディス・ブルック
Edith Bruck
別名:
Edit Steinschreiber
プロフィール
- 性別
- 女性
- 生誕
- 1931-05-03 (ティシュバルツェル(ハンガリー))
- 国籍
- ハンガリー, イタリア
- 言語
- イタリア語, ハンガリー語
- 宗教
- ユダヤ教
- 居住地歴
- ティシュバルツェル(ハンガリー) → ハンガリー(ブダペストなど) → チェコスロバキア(短期間) → イスラエル(短期間) → イタリア(主にローマ在住)
経歴
- 職業
- 作家, 脚本家, 映画監督
- 活動期間
- 1959年〜
- 所属
- Teatro della Maddalena(マッダレーナ劇場、共同設立), RAI(イタリア放送協会)
- 影響を受けた人物
- アッティラ・ヨージェフ(ハンガリー詩人), ミクローシュ・ラドノーティ(ハンガリー詩人), ギュラ・イリェーシュ(ハンガリー詩人)
- ノミネート
- ストレーガ賞 候補 - 『Due stanze vuote』(1974), ストレーガ賞 最終候補 - 『Nuda proprietà』(1993), ストレーガ賞 最終候補 - 『Lost Bread』(2021)
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1989 | ラパッロ・カリジェ賞 | 『母への手紙』(Lettera alla madre) | — | Rapallo Carige 賞運営団体 | 受賞 |
| 2009 | ヴィアレッジョ賞 | 『空にいくつ星があるか』(Quanta stella c’è nel cielo) | — | Viareggio 賞運営団体 | 受賞 |
| 2023 | カンピエッロ賞 | — | キャリア賞 | Premio Campiello 運営団体 | 受賞 |
ラパッロ・カリジェ賞
1989
対象作品:
『母への手紙』(Lettera alla madre)
主催:
Rapallo Carige 賞運営団体
結果:
受賞
ヴィアレッジョ賞
2009
対象作品:
『空にいくつ星があるか』(Quanta stella c’è nel cielo)
主催:
Viareggio 賞運営団体
結果:
受賞
カンピエッロ賞
2023
部門:
キャリア賞
主催:
Premio Campiello 運営団体
結果:
受賞
受賞・候補エディション
作品
代表作
Chi ti ama così(こんなふうにあなたを愛してくれる人)
1959年 小説自伝的要素を含む初期の長編小説。移住後の生活や人間関係、愛を扱う作品。
ホロコーストの記憶移住愛と孤独
翻訳
- 英語訳: Who Loves You Like This(2001、翻訳: Thomas Kelso)
Andremo in città(都会へ行こう)
1962年 短編集表題作を含む短編集。表題作は1966年にネロ・リジ監督により映画化された。記憶と郷愁、都市化の対比を扱う。
記憶郷愁都市と地方
映像化・舞台化
- [映画] 都会へ行こう(Andremo in città) / Nelo Risi (1966)
Due stanze vuote(空っぽの二つの部屋)
1974年 短編集1974年刊の短編集。イタリアのストレーガ賞の候補となった。女性の視点や記憶が主題。
記憶女性の視点日常の喪失
Lettera alla madre(母への手紙)
1988年 書簡体小説母への手紙の形式をとり、ホロコーストや家族の記憶をめぐる語りを展開する作品。1989年にラパッロ・カリジェ賞を受賞した。
家族と母子関係記憶と喪失救済と罪
Nuda proprietà
1993年 小説1993年刊の長編。ストレーガ賞の最終候補となった作品。
所有と喪失家族関係過去の清算
Quanta stella c’è nel cielo(空にいくつ星があるか)
2009年 小説人間関係や記憶をめぐる長編。2009年にヴィアレッジョ賞を受賞し、後にロベルト・ファエンツァ監督により映画『Anita B.』として映画化された。
記憶と告白夫婦・家族の物語過去の再考
映像化・舞台化
- [映画] Anita B. / Roberto Faenza (2014)
Lost Bread(ロスト・ブレッド)
2021年 自伝的小説ホロコースト体験と戦後の歩みを綴った自伝的作品。2021年にストレーガ賞の最終候補となり、英訳が2023年に刊行された。
ホロコーストの証言生存と記憶アイデンティティの探求
翻訳
- 英語訳: Lost Bread(2023、翻訳: Gabriella Romani & David Yanoff)
全著作
- Chi ti ama così(1959)
- Andremo in città(1962)
- Due stanze vuote(1974)
- Per il tuo bene(劇、1975)
- Mio splendido disastro(1979)
- Lettera alla madre(1988)
- Nuda proprietà(1993)
- Il silenzio degli amanti(1997)
- L’amore offeso(2002)
- Quanta stella c’è nel cielo(2009)
翻案
- Andremo in città(1966、監督: ネロ・リジ)
- A látogatás(1982、ハンガリーのドキュメンタリー、監督: László Révész)
- Anita B.(2014、監督: ロベルト・ファエンツァ、原作: Quanta stella c’è nel cielo)
- Edith Bruck: The Woman and the Shoah(2023、ドキュメンタリー、監督: Michele Mally)
作家による翻訳
- アッティラ・ヨージェフ(ハンガリー詩人)のイタリア語訳
- ミクローシュ・ラドノーティのイタリア語訳
- ギュラ・イリェーシュのイタリア語訳
作品の翻訳
- 英語
- ハンガリー語
- デンマーク語
- オランダ語
- ドイツ語
- ヘブライ語
- フランス語
- スペイン語
作風・主題
- 文体
- 証言的で抑制された語り口自伝的・回想的な文体詩的で簡潔な表現
- 頻出モチーフ
- 記憶と忘却ホロコーストのトラウマ母と家族移民・亡命
評価・遺産
エディス・ブルックはホロコーストの生存者としての証言と、イタリア語で書かれた豊かな文学作品群により、国際的に評価される作家である。複数の重要な文学賞を受賞し、作品は多言語に翻訳されている。映画化やドキュメンタリー化もされ、証言者としての役割が高く評価されている。
大衆文化への影響
- 映画『都会へ行こう』(1966、原作短編)
- ハンガリーのドキュメンタリー『A látogatás』(1982、彼女の脚本に基づく)
- 映画『Anita B.』(2014、Quanta stella c’è nel cielo の映画化)
- ドキュメンタリー『Edith Bruck: The Woman and the Shoah』(2023)
引用
-
その映画を作ることはひどい試練だったが、私はそれが自分の義務だと感じた。
出典: EHRI(Pető, Andrea)による解説記事(引用) (2020年)
豆知識
- ティシュバルツェル出身のユダヤ人として生まれ、第二次世界大戦中に複数の強制収容所を生き延びた。
- 芸名として夫の姓「Bruck」を長く使用している(若い頃に結婚し、後に離婚したが姓は使用継続)。
- 生年が1932と誤記されることがあったが、正しくは1931年生まれと本人が述べている。
- イタリア語で執筆を行い、多くの作品を翻訳したり、映画脚本や演出も手がけた。