世界・海外・国外の文学賞

← ホームに戻る

ハルドール・キルヤン・ラクスネス

ハルドール・キルヤン・ラクスネス

Halldór Kiljan Laxness

別名: Halldór Guðjónsson
ペンネーム: ラクスネス(Laxness)幼少期を過ごした家の名前を姓として採用, キルヤン(Kiljan)カトリック洗礼時に付けた名

プロフィール

性別
男性
生誕
1902-04-23 (レイキャヴィーク(デンマーク領アイスランド))
死没
1998-02-08 (レイキャヴィーク(アイスランド)) 95歳
国籍
アイスランド
言語
アイスランド語, 英語
宗教
カトリック 1923年受洗 洗礼名: キルヤン
居住地歴
レイキャヴィーク → ラクスネス農場(モスフェルズベア) → ルクセンブルク(クレルヴォーの修道院滞在) → アメリカ合衆国(1927–1929) → グリュフゾスタイン(Gljúfrasteinn、モスフェルズベア)

経歴

職業
作家, 小説家, 劇作家, 詩人, 随筆家, 翻訳者
活動期間
1916年〜1998年
所属
MÍR(アイスランド・ソヴィエト文化関係協会)
影響を受けた人物
オーガスト・ストリンドベリ, ジークムント・フロイト, クヌート・ハムスン, シンクレア・ルイス, アップトン・シンクレア, ベルトルト・ブレヒト, アーネスト・ヘミングウェイ
影響を与えた人物
グズニィ・ハルドースドッティル(娘、映画監督), ハルドール・ラクスネス・ハルドールソン(孫、作家・俳優), オードゥル・ヨンスドッティル(孫、作家)

学歴

レイキャヴィーク工業学校
期間: 1915–1916
卒業年: 1916
国: アイスランド
初期の技術教育。若年期に短期間在籍。
レイキャヴィーク学院(リセウム)
期間: 1916–1918
卒業年: 1918
国: アイスランド
リセウムを卒業。以後独学で文学や語学を修める。

受賞歴

ノーベル文学賞
1955
主催: ノーベル財団/スウェーデン王立アカデミー
結果: 受賞
世界平和評議会 文学賞
1952
主催: 世界平和評議会
結果: 受賞
ソンニング賞
1969
主催: ソンニング財団
結果: 受賞

受賞・候補エディション

  1. 受賞作: 独立した人々 (Independent People)

    20世紀初頭のアイスランドを舞台に、自立を求める羊飼いヤコブの生涯を通じて、個人主義と共同体、貧困と誇りの葛藤を描く叙事詩的長編。土地と労働をめぐる人間ドラマを通じて国家的・人間的テーマを扱う。

    544ページ
    民族とアイデンティティ自立と共同体農村生活貧困と誇り

作品

代表作

サルカ・ヴァルカ(Þú vínviður hreini / Fuglinn í fjörunni)

1931年 小説

労働者階級の女性サルカ・ヴァルカを中心にした社会的リアリズムの長編。アイスランド社会の変化と個人の葛藤を描く。

社会主義的テーマ階級と労働個人の自立
映像化・舞台化
  • [映画] Salka Valka(映画) / Arne Mattsson (1954)
翻訳
  • サルカ・ヴァルカ(英訳)

独立した人々(Sjálfstætt fólk / Independent People)

1934年 小説(農村叙事詩)

アイスランドの小作農の生活を通して独立と孤独、近代化の衝突を描いた代表作。20世紀の重要な小説と評価されることが多い。

自立農村生活近代化と伝統
翻訳
  • 独立した人々(英訳)

アイスランドの鐘(Íslandsklukkan / Iceland's Bell)

1943年 歴史小説

アイスランドの植民地化と国民性、文学の役割を問う三部作の一部。国家アイデンティティと植民地支配を描く大作。

国家意識植民地主義歴史と文学
翻訳
  • アイスランドの鐘(英訳)

原子駅(Atómstöðin / The Atom Station)

1948年 風刺小説

米軍基地設置に伴う政治的・社会的混乱を風刺的に描いた作品。首都レイキャヴィークを舞台にした代表作の一つ。

国家と主権反米感情都市化

魚は歌う(Brekkukotsannáll / The Fish Can Sing)

1957年 小説

地方都市の人々と文化を優しく描いた作品。叙情的な筆致が特徴。

共同体記憶郷愁

氷の下(Kristnihald undir Jökli / Under the Glacier)

1968年 幻想的な小説

幻想的かつ哲学的な要素を含む長編。宗教や信仰、人間存在を寓意的に描く。

宗教寓話存在論
映像化・舞台化
  • [映画] 氷の下(映画化) / Guðný Halldórsdóttir (1989)
翻訳
  • 氷の下(英訳)

ゲルプラ(Gerpla / Wayward Heroes)

1952年 歴史小説(サガの転用)

古いサガの英雄たちを題材にしつつ、英雄像を再考する作品。古風な語り口を保ちながら現代的な視点を与える。

英雄像サガ文学倫理と戦争
翻訳
  • ゲルプラ(英訳: Wayward Heroes)

全著作

  • 1919: Barn náttúrunnar(Child of Nature)
  • 1924: Undir Helgahnúk(Under the Holy Mountain)
  • 1927: Vefarinn mikli frá Kasmír(The Great Weaver from Kashmir)
  • 1931–32: Þú vínviður hreini / Fuglinn í fjörunni(Salka Valka)
  • 1934–35: Sjálfstætt fólk(Independent People)
  • 1943–46: Íslandsklukkan(三部作)
  • 1948: Atómstöðin(The Atom Station)
  • 1957: Brekkukotsannáll(The Fish Can Sing)
  • 1968: Kristnihald undir Jökli(Under the Glacier)

翻案

  • Salka Valka(1954年映画、監督: アーネ・マットソン)
  • 氷の下(1989年映画、監督: グズニィ・ハルドースドッティル)
  • 複数の舞台化(アイスランド国立劇場など)

作家による翻訳

  • 1941: ヘミングウェイ『さようなら武器』のアイスランド語訳
  • 1945: ヴォルテール『カンディード(Candide)』のアイスランド語訳
  • 1966: ヘミングウェイ『移動祝祭日(A Moveable Feast)』の訳

作品の翻訳

  • Independent People(英訳)
  • Iceland's Bell(英訳、2003年)
  • The Great Weaver from Kashmir(英訳、2008年)

作風・主題

文体
叙事的な長編社会的リアリズム風刺とユーモア古いサガ風の語りを取り入れた文体
頻出モチーフ
農村と自然国家・民族のアイデンティティ貧困と正義宗教と信仰

健康

  • アルツハイマー病
    1980年代後半〜1998年まで
    晩年に記憶と執筆活動に影響を及ぼし、最終的に老人ホームに移る要因となった。

評価・遺産

ハルドール・ラクスネスはアイスランド文学を国際的に知らしめた代表的作家であり、ノーベル文学賞受賞により世界的評価を確立した。民族的題材と社会的関心を組み合わせた叙事性が高く評価される。

記念館・博物館

  • グリュフゾスタイン(Gljúfrasteinn) ハルドール・ラクスネス博物館 モスフェルズベア(アイスランド)

資料所蔵先

  • グリュフゾスタイン所蔵の遺品・文書アーカイブ

大衆文化への影響

  • Ólafur Haukur Símonarson による舞台作品『Halldór í Hollywood』
  • 娘グズニィ・ハルドースドッティルによる映画化作品(例: 氷の下)
  • レイキャヴィーク国際文学祭でのハルドール・ラクスネス国際文学賞の創設

引用

  • 祖母が私に教えた道徳原則 ― 生き物を傷つけないこと、人生を通じて貧しい者や謙虚な者を優先すること ― これらが私の作品の根底にある。
    出典: ノーベル賞受賞記念講演(1955) (1955年)

豆知識

  • 本名はハルドール・グズヨンソン(Halldór Guðjónsson)で、後に育った農場の名を姓として採用した。
  • 1923年にカトリックに改宗し、キルヤン(Kiljan)の名を加えた。
  • 1940年代–1950年代にかけてソ連との文化交流に関わり、1952年に世界平和評議会の文学賞を受賞した。
  • 晩年はアルツハイマー病を患い1998年に没した。