トゥール=アポロ賞 (Prix Tour-Apollo)
とぅーる=あぽろしょう
前年にフランスで刊行されたSF長編に贈られたフランスの年次審査員賞(1972–1990)。
- 創設年
- 1972
- 主催
- Jacques Sadoul(設立者)、Jacques Goimard(協力)
- カテゴリー
- 研究・翻訳・学術
- 選考方式
- 選考
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 賞のステータス
- 終了
説明
Prix Tour-Apolloは1972年にJacques SadoulがJacques Goimardの協力を得て創設したフランスの年次審査員賞。名称はアポロ11号にちなんでいる。フランスで前年に出版されたSF長編のうち最良作に与えられ、受賞作の多くは英米で最初に刊行された作品(フランス語翻訳版)であった。賞は1972年から1990年まで授与され、1991年以降はGrand Prix de l'Imaginaireに外語小説部門が設けられてこの分野を継承した。
賞品
- 主賞品
- 詳細不明(Wikipedia記載なし)
- 名誉・批評的注目
- 受賞作への翻訳・流通上の注目が集まることが多い
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 候補選定 | フランスで前年に出版されたSF長編の中から編集者・批評家や委員が候補を選出 | — | 候補選出プロセスの詳細は明記なし |
| 最終選考 | 審査員団(設立に関与したJacques Sadoulや協力者などの委員構成) | — | 受賞作は年次で発表された(年ごとに1作品が選出) |
選考基準
- 対象はフランスで前年に出版された長編SFであること(原著・翻訳とも対象)
- 文学的品質(文体、構成)
- 独創性・アイデアの新規性
- 翻訳作品の場合は翻訳の質も評価対象となる
応募のヒント
推奨
- 対象となるのはフランスで前年に刊行された長編SFであることを確認する
- 翻訳作品の場合は翻訳の質を重視する(訳者クレジットや翻訳出版社の情報を明確に)
- 出版社やエージェントを通じて作品の流通・認知度を高める
注意
- 未刊行作品を応募対象と考えない(賞は刊行作品を前提)
- ジャンル外の作品(SFでないもの)を申請しない
- 誤字脱字や出版情報の誤記を放置しない
審査員から
- 文学的品質と独創性を重視する
- 翻訳作品は原作の良さに加え、翻訳の読みやすさや表現の質が評価に影響する
- フランスでの刊行事情(版元や翻訳の質)も受賞に関係することがある
関連の賞
- Grand Prix de l'Imaginaire
- Locus Awards
- Hugo Award
- Nebula Award
- Arthur C. Clarke Award
- Philip K. Dick Award
- John W. Campbell Memorial Award
公式情報
http://www.isfdb.org/cgi-bin/awardtype.cgi?2過去の受賞者
『Argentine』はフランス語で刊行された長編作品で、英語訳がないままフランス語圏で評価された作品の一つとされる(2013時点の流通状況に基づく)。作品の詳しい内容はフランス語資料を参照する必要がある。
フランスの作家・脚本家。SFや犯罪、幻想的要素を持つ作品を手掛ける。
『Le Pays du fou rire(The Land of Laughs)』は、作家が自身の創作の舞台となった架空の町を訪れたことで、創作と現実の境界が崩れ、ユーモアと不気味さ、喪失と癒しが交錯する幻想小説。メタフィクション的要素を伴いながら物語がじわじわと奇妙さを増していく。
アメリカ出身の作家。幻想文学やマジックリアリズムの要素を持つ物語で知られ、現実と幻想の交錯を巧みに描く。
『La Compagnie des glaces』は、地球が極寒に覆われた未来世界を舞台に、列車とそれを支配する企業が広域を掌握するディストピア的シリーズである。移動する都市としての列車、企業統治、資源と生存を巡る闘争を長篇にわたって描き、シリーズ初期36巻が高く評価された。
フランスの小説家。長大なシリーズ『La Compagnie des glaces』で知られ、広範な叙述と世界構築で人気を得た。
『Les Voies d'Anubis(The Anubis Gates)』は時間旅行と古代魔術を融合させた歴史ファンタジー。19世紀ロンドンを舞台に古代エジプトの影や詩人、催眠術師が交錯し、時間のねじれと個人の運命が奇怪な出来事を通じて浮かび上がる冒険譚である。
アメリカの作家。歴史を下敷きにしたファンタジーと時間SFを組み合わせた独特の物語で知られる。
『La Musique du sang(Blood Music)』は、遺伝子工学と自己複製する生体物質が知性を獲得し、やがて世界そのものを変容させていく過程を描いたSF。科学の倫理や意識の定義、生命の境界といったテーマを鋭く問う作品である。
アメリカのSF作家。ハードSFとバイオSFを得意とし、科学技術と人間の関係を主題に鋭い作品を発表している。
『La Citadelle de l'Autarque(The Citadel of the Autarch)』はジーン・ウルフの代表作群『新太陽の書』の一部に位置する作品で、主人公セヴェリアンの旅と回想を通じて、記憶とアイデンティティ、権力と宗教、文明の衰退と再生といった主題を寓話的かつ精緻な文体で描き出す。
アメリカのSF作家。高度に象徴的かつ技巧的な文体で知られ、『新太陽の書(The Book of the New Sun)』などで国際的評価を得た。
フランスの多作な作家。ダークな幻想性とスリリングな物語構築を特徴とし、SF、ファンタジー、スリラーを横断する作品を多数発表している。
アメリカのSF作家。ホラーやサイエンスフィクションを横断する作風で知られる。フランス語訳によって欧州でも評価を得た。
家族や記憶、時間の流れを主題に据えた作品。静かな筆致で人物の内面と環境の変化を描き、個人と共同体の関係を問いかける。
アメリカの作家。SFとミステリを横断する緻密なプロットと深い心理描写で知られ、ジャンルを越えた評価を受けている。
表題作では聴覚・視覚に障害を持つコミュニティを描き、言語とコミュニケーション、孤立と相互理解をテーマにした短編群が収められている。
アメリカのSF作家。身体、性、アイデンティティをめぐるテーマを扱うことが多く、短編でも高い評価を得ている。
異星の残した航行船を舞台にしたSF。未知のテクノロジーへの挑戦とそれに伴うトラウマ、人間の欲望と弱さを描く心理的宇宙冒険譚。
アメリカのSF作家・編集者。社会問題や経済を題材にした批評性の高い作品で知られ、SF界に長く影響を与えた人物。
秘密裏に巣を作るかのような人間集団を描いた社会SF。集団主義と個人の対立、社会実験としての集団生活の危険性を描写する。
アメリカのSF作家。『デューン』シリーズで世界的に知られ、環境、宗教、政治を絡めた壮大な物語構築で高く評価される。
近未来社会を風刺的に描く長編。テクノロジーと日常、制度の変化が人間性に与える影響を鋭く検証する作品。
フランスのSF作家・評論家。ユーモアや皮肉を交えた社会風刺的な作品で知られ、フランス語圏のSFにおける重要な作家の一人。
遠未来の地球を舞台に、都市の遺構や職能ギルドを巡る旅を通して文明の記憶と個人の役割を描く物語。詩的な描写と世界設定の重層性が特徴。
アメリカのSF作家。多作で幅広い作風を持ち、人間心理や文明の変容を繊細に描く作品で知られる。短編でも高い評価を受ける。
言語と認識の関係を主題に据えた作品。言語の構造や習得が個人や社会に及ぼす影響をSF的観点から探る知的な長編で、認知やコミュニケーションに関する問いを提示する。
イギリスのSF作家。言語学や哲学的テーマを扱う知的な作品群で知られ、独創的なアイデアを持つ長編・短編を多数発表している。
メタフィクション的な構成でファシズムやプロパガンダを風刺する長編。架空の作家による架空の小説という形式を用い、政治的イデオロギーを批評的に扱う。
アメリカのSF作家。ポピュラーカルチャーや政治を鋭く扱う作風で知られ、風刺的かつ挑発的な作品を多数発表している。
過密化と企業支配が進んだ近未来社会を断片的な章立てと新聞・統計風の挿入で描くディストピア小説。個人の孤立と社会の矛盾を多面的に描写する。
イギリスのSF作家。社会問題やディストピアを題材にした長編で知られ、実験的な構成や社会批評を特徴とする作品が多い。
孤立した島を舞台に、過去と死の記憶が交錯する幻想的な物語。主人公の内面と神話的モチーフを織り交ぜながら、死と創造の意味を探る作品。
アメリカのSF作家。詩的で神話的な要素をSFに融合させた作風で知られる。短編・長編ともに高い評価を受け、『ロード・オブ・ライト』などが代表作。