スターリングラード: 運命の攻囲戦1942-1943
アンソニー・ビーヴァー『スターリングラード』は、第二次世界大戦の転換点となったスターリングラード攻防戦を、現地記録・軍事資料・兵士や市民の証言を織り交ぜて再構築する軍事史。戦場の極限状況、指揮判断、民間人の被害を克明に描き、戦争の残酷さと戦術的複雑性を浮き彫りにする。
作品情報
スターリングラード攻防戦を、人間の視点から描く。
アンソニー・ビーヴァー『スターリングラード』は、第二次世界大戦の転換点となったスターリングラード攻防戦を、現地記録・軍事資料・兵士や市民の証言を織り交ぜて再構築する軍事史。戦場の極限状況、指揮判断、民間人の被害を克明に描き、戦争の残酷さと戦術的複雑性を浮き彫りにする。
書籍情報
- 出版社
- 朝日新聞出版
- 発売日
- 2002-10-01
- ページ数
- 532ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784022576828
- ISBN-10
- 4022576820
- 価格
- 3220 JPY
- カテゴリ
- 本/ノンフィクション/思想・社会/戦争/その他
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レビュー
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スターリングラードの戦闘を時系列に沿い、市街地戦から周辺地域の戦闘まで、上層部の動きから一般兵士の肉声まで包括的に記録した傑作戦記
第二次大戦の戦記を数十冊ほど読みまましたが、本書は苛烈かつ複雑な経緯のあるスターリングラード戦の全容・詳細を飽きさせる事なく読ませる傑作と思います。独ソ戦の良書はハードカバーのみ販売のものが多いですが、本書は単行本でも購入する事が出来、内容も充実してお得感もあり、購入してよかったと思いました。 著者はイギリス人ですが、元英国陸軍の機甲部隊将校で士官学校出身で戦闘に関する知識も豊富なため、各作戦・主要な戦闘の戦況、戦術、両軍の兵・大型兵器の数、結果をかなり詳細に、特徴ある情報をよく選んでメリハリつけながらまとめています。独軍のスターリングラードへの侵攻から長引く独ソの市街地戦、赤軍の包囲攻勢、独軍の突破作戦、スターリングラード陥落にいたるまで、時系列にそって戦闘の流れが記録されています。独ソの独裁者を中心とした上層部の動き、各隊、下級将校から一般兵のエピソードにいたるまで、非常に複雑な経過をたどるスターリングラード戦を見事に分かりやすくまとめていると思います。比較的情報が自由化した1998年に発表された書という事もあり、独ソ両側の情報を戦史から肉声にいたるまで幅広く集めており、当時の様子が浮かびあがってくる様に臨場感をもって読む事ができました。「解説」にあったミステリー作家のコメント「真夏に読んでいたのに、骨の髄まで震え上がった」というのは同感でした。 スターリングラードの戦闘に参加した兵は独ソとも、独裁政治からの無謀な指示、兵站軽視による飢餓、寒さによる死闘を経験して驚くほど多くが悲惨な戦死をされており、映画とはとても比較にならない次元の異なる苛烈さであった事を理解しました(実際の惨状は、映画で映像化するに耐えられるレベルを超えていた事も理解しました)。特殊な政治下の中、独ソ戦で戦った兵、戦火に置かれた住民の苛烈な経験を改めて確認しました。政治的背景などもあり多くの苦難が伝えられないままでは独ソ両兵、住民とも浮かばれないと思い、また、同じ悲劇を繰り返さないためにも、本書を通じて公にした事は意義ある事と思いました。 訳も戦記ものとしては分かりやすく、元機甲部隊将校の著者の書く戦闘専門用語も比較的スムーズに訳されており、原文の臨場感が日本語版でもそのまま伝わってくる様でよいと思いました。約600頁と分厚いですが、すいこまれる様に読みました。
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読み易い
将兵手紙からの引用などのエピソードが多く、作戦や兵站に関する記述は必要最小限で、それらに関する考察も少ない。内容のうんざりするような悲惨さをのぞけば、分厚いがすらすら読める。
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重厚なエピソードの宝庫!読後のやりきれなさは他には無い
複雑に推移するスターリングラード攻防戦の経過を、前段階のバルバロッサ作戦も含め、時系列に再構築した本作。 大局的な見方だけでなく、兵士や巻き込まれた市民からの視点も含めて丁寧に説明してくれます。 基本的には時系列に沿ってストーリーが進んでいくのですが、「捕虜と言えば、そうそう、こんな話もあって...」というように、数珠繋ぎで関連したエピソードがどんどん展開されていくのが、本作の特徴です。これは著者アントニー・ビーヴァーの「語り口」の旨さなんだと思います。 ただし、残念なことに、日本語訳が非常に硬いというか、なんとなく原文を直訳したような「ぎこちない日本語」のせいでスラスラ読むことが出来ません。ですが、これによってかえって独ソ戦のずっしりとした陰鬱な空気感が演出されていると言えなくもないのが難しいところ。 独ソの国民性なのか、意図的にオミットしているのか、戦記モノによくある「軍人特有の下品なジョーク」がほぼ無いので、終始くら〜いお話が続きます。寒さ、飢え、カニバリズム。読後の胃もたれ感はなかなか貴重です。
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胸が苦しくなる。
ソビエト、ドイツ双方の狂人の妄想実現の為に幾万の人々の命が奪われた。 祖国の為に戦って死ねるなら栄誉があるかもしれないが、密告や嫌疑によって スターリンによって葬られた幾万の同胞は決して浮かばれないでしょうね。 スターリングラードというとソビエトの英雄的狙撃手のヴァシリー・ザイチェフと ドイツのケーニッヒ大佐の対決を描いた映画を思い浮かべる人は多いと思うのですが 本作では本当の地獄が様々な記録や証言をもとに克明に描かれている。 小難しいイデオローギーや高尚な理想論を掲げ自己陶酔していた臆病者で恥知らず スターリンとヒトラーにとって厳冬や食糧不足に喘ぎながら現場で命を奪いあう人々の ことなどどうでもよかったのでしょうね。 そいうい意味では両者は天下の大罪人として地球規模の歴史上汚名を残し続けるでしょう。 地獄と言うものが本当にあれば、この大罪人達は亡くなった人達の苦しみを永劫的に 受け続けているでしょうね。 私は右でも左でもない中道ですが戦争だけは絶対にやってはいけないとつくづく思う。 歴史上最も多くの犠牲者を産んだ、こんな惨い戦いがあったことを同じ地球人として 記憶しておかなければいけないのでしょうね。 胸が苦しく戦慄しますが必読です。
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やや読みずらいです。
やはり、外国文の和訳の書籍なのでやや読みずらいです。しかし、頑張って読みたいです。
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独裁者の愚劣さ
スターリングラード攻防戦、というと誰でも耳にしますし、 題材とした映画もありますので、知っているような気になってしまいます。 しかしこの本を読んだあと、分厚い鉛を飲むような重い気分になりました。 零下30度での飢餓、栄養失調、ストレスからの疾病、 砲弾以上にドイツ、ルーマニアらの枢軸国軍、そしてソ連軍兵士、農民市民を苦しめ続けたものでした。 その司令官から一兵卒までの戦後の証言、回顧録、戦死した兵士の手紙、貴重な記録が集積された作品です。 その地獄の一端に過ぎないでしょうが、 暖房の効いた部屋でぬくぬくとしながら私は知ることができます。 双方計200万人以上の兵士が訳のわからないこの世の地獄を這い回り、 数十万人が戦病死し、また捕虜になった後の長期強制労働で大半が死亡し、 一体どれだけの人が故郷に戻れたのでしょうか。 包囲戦の目的、経緯が解りにくいのはこの本の欠点です。 他の資料がなければさっぱり流れがわかりません。 wikiでは詳しく記述されていますので、これを参考にしながら読んでいくと 全体の流れが垣間見えてきます。 夏季までの勝利の連続でスターリングラードまで到達したドイツ第6軍、 街を包囲したはずの彼らが、伸びきった前線を易易と突破され、 酷寒の冬には逆にソ連軍によって孤立包囲される。 更には南方から援軍がやってくるものの、ヒットラーの愚劣な命令に縛られて包囲を突破できないまま かって精鋭であったドイツ軍10万人の兵士らが全滅していく、歴史を転換させた大敗戦であったわけです。 ドイツ軍のソ連侵攻の主たる目的は黒海周辺の石油油田であり、 その北方、ボルガ川沿いにあるスターリングラードはその地理交通的関係で 決戦場になったことを知りました。 ヒットラーの罪深さ、それは自国民の青年を大量、無造作に、まるで消耗品のごとく 無意味な死に追いやってしまった、 現場からの声から真摯に学ぼうとしなかった、 あくまで自説に固執し続けた、 周囲もそれを諫めなかった、 これは独裁者スターリンも同様なのですが。 独裁者にありがちな根拠のない楽観主義、相手を過小評価し、自軍の戦力には過剰な自信を持つ、 この点では猜疑心が強く臆病なスターリンは、 ヒットラーよりも遥かにましだったのかもしれません。 極東で平和を安閑と享受する今日の日本人は、目をそむけがちな人類の負の歴史に対して 真摯に見つめ直さねばなりませんし、我々自身の60年前の大敗戦の失敗と教訓、 そして将来に対する備えの覚悟も必要だと思った次第です。
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面白い
誰でも知ってる戦いですが、さらなる角度の証言検証等があり楽しめます。
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みんな言っているが読みづらい
独ソ戦において最も重要なスターリングラードを題材にした貴重な作品故にかなり勿体ない。他の方も書かれているように訳者のせいであると思う。難しすぎる言い回し、変な日本語、主語や述語の入り乱れ等、600ページもある事を考えれば読むのが苦痛になる。 原文に忠実なのかもしれないが少しは我々日本人にとって自然的な日常的な言い回しに変換し、原作の内容から逸脱しないように訳すのが訳者の仕事ではないか。時折、独ソどちらの軍について述べているのか訳が分からなくなり、何度もページを戻って探し、考える事が非常に多かった。 著者はイギリス人であるから欧風なジョークがチラホラあるのだろうがそれを直訳されても日本人が笑えるわけが無い。むしろ意味がわからず内容が入ってこない。 戦記物、大戦ノンフィクションは数々読んできたが外国人著者が記し、日本人訳者が日本語訳して出版したカテゴリーの中では過去類を見ないほど分かりにくい。非常に残念。 別の訳者に翻訳をお願いして改めて出版して欲しいと切実に思う。 時系列はいささか分かりにくいが、兵士の日記や手記等貴重な情報が記されているためイライラに耐えられるなら読んでみてもいいのでは無いだろうか。ただ覚悟はしておいて下さい。