作品情報
ドン・ファン神話を、近代史のうねりのなかで描き直した、断片的で濃密な長編。
世紀転換期のヨーロッパを舞台に、G と呼ばれる若い男の放浪と恋愛遍歴を追いながら、性愛、政治、革命、移動する都市の空気を重ね合わせる。人物の私的な欲望と歴史の大きなうねりが交差するたびに、作品は物語というより思考の運動として広がっていく。
レビュー要約
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賛否が分かれるが、欲望と歴史を重ねた断片的な構成や、性的経験を通して人物の孤独を浮かび上がらせる手つきに強い支持が集まっている。一方で、抽象度の高さや語りの飛躍に戸惑う声もある。
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人物への共感だけでなく、歴史や哲学の層を読み解くことを求める、骨太で意欲的な作品として受け止められている。断片化された場面の連なりに手応えを感じる読者がいる一方、軽く流せるタイプの小説ではないとも見なされている。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1975-01-01
- ページ数
- 337ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784105061012
- ISBN-10
- 4105061011
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/英米文学
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レビュー
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イギリスの作家がイタリアの歴史に材をとった現代文学
イタリアの今世紀初頭から近代までを一人の少年が成人して成長するのに合わせて描いた小説。 最初は主人公の生まれた経緯が語られ、その後青年になってからの様子が語られ、更には老いた現在が語られる過程でイタリアがどういう歴史的変遷を辿って今にいたるかが語られるとうい展開の作品。特に戦争や革命が背景になっている部分は、万国共通のもので、その中で述べられていくイタリアの苦悩の歴史が今まであまり聞いたことがない種類の話だったのでとても興味深く読めました。何処の国とも同じような苦労をイタリアという国も体験して現在に至るのだな、と思い、ここで述べられる歴史的変遷を殆どの国が辿ったと考えるとあまり気楽に読めないかも、とも思いました。そういう政治的な主筋の他にも飛行機乗りが山越えを挑む所や主人公のGの辿る人生模様も面白く一種のビルドゥイングス・ロマン或は冒険小説としても読めなくはないとも感じました。 何故、著者がイギリス人なのにイタリアに材をとった小説を書いたのかはよく判りませんが、一つの小説としてとても楽しい読書体験でした。
関連する文学賞
- ブッカー賞 第4回(1972年) ・受賞