世界・海外・国外の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
破壊された男 (ハヤカワ文庫SF)

ヒューゴー賞

破壊された男 (ハヤカワ文庫SF)

アルフレッド・ベスター

超能力者が監視する未来社会で、実業家ベン・ライクの殺人計画を追うSF小説。心理捜査と社会秩序の緊張が、奇妙な言葉遊びとともに進む。

未来社会超能力犯罪ミステリ心理戦

作品情報

思考が読まれる世界で、殺人だけがまだ未解決の犯罪として残る。

Alfred Bester の代表作として、ミステリの骨格にSFの設定を重ねた作品。未来社会の制度と個人の欲望が、テンポの速い語りでぶつかり合う。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2017-01-07
ページ数
384ページ
言語
日本語
サイズ
10.6 x 1.4 x 15.7 cm
ISBN-13
9784150121112
ISBN-10
4150121117
価格
880 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

時は24世紀、テレパシー能力をもつエスパーの活躍により、いかなる計画犯罪も不可能となり、殺人はすべて未然に防止されていた。だが、顔のない男の悪夢に悩まされるモナーク産業社長ベン・ライクは、エスパーを買収しその協力を得ることで、ライバル企業の社長殺害を決意する……ニューヨーク市警心理捜査局総監パウエルと、完全犯罪をもくろむ殺人者ライクとの息詰まる死闘を描き、第一回ヒューゴー賞に輝いた名作登場!

レビュー

  • あぁっ!こんなオハナシだったんだ!

    御多分にモレず、沼沢 洽治・訳の 創元SF文庫版『分解された男』 の方を先に読んで シマッタ!ってクチなんですが。 伊藤典夫先生の純正品にふれて はじめてちゃんとしたカタチで 第1回ヒューゴー賞を受賞した 伝説の長編SFに触れることができた気がします。 でも、こうして読み比べてみると アッチのひどさ加減に もしかして伊藤先生が雑誌『面白半分』に連載してた ”メチャクチャ翻訳”の 知られざる一篇なのでは? という思いも湧くな~。 あ~、”メチャクチャ翻訳”もこの際どっかで 単行本にならンものかねぇ?

  • 分解された男

    「虎よ!虎よ!」と合わせてべスターの2大お宝を保管用に。

  • 素人の感想として

    普段SFはほとんど読まない人間ですが、勧められて読みました。訳の良さや作者の別作品等は存じませんので、純粋に物語としてのレビューを書きます。 ストーリーはそれなりに面白かったです。良くも悪くも疾走感があります。 ただ普段洋書のSFを読み慣れないせいか、情報がごちゃついているように感じました。一言で言うと読みにくい。情報の取捨選択が上手くできず、イマイチ乗り切れないというか。そのせいで最後の真相もさほど衝撃がありませんでした(展開自体はそこそこ衝撃的ですが、それに衝撃を受けるための準備がこちらに整っていない)。 設定部分は数十年前の作品とは思えない新鮮さがありましたし、文体にも実験的な仕掛けが多々あって、それらは面白かったです。

  • 超能力者エスパー社会における、SFミステリ

    一読して、SFと言うよりミステリー風である。ラストの意外性、衝撃性は迫真にせまるモノがある。と同時に、ベスターはこのような作家だったのか、という感じがしないでもない。他の作品に期待しましょう。

  • 足ガクガクで立てなくなります

    新訳発売月に買って家で5年寝かして読んでみました。いやいや、これは賞とりますよ!確実に20代で読んだ本sf部門マイベスト10に入ります。すごい凄すぎるベスタぁぁー!!

  • 60年前に書かれたSFミステリ。コンテンポラリーとして読んだ読者が羨ましい。

    時は2301年。地球には他人の心を読み取る能力をもつエスパーが多数存在し、その異能を活用して犯罪を未然に防ぐ心理捜査局が設けられていた。 経営危機に陥ったモナーク産業の社長ベン・ライクは買収を計画したライバル会社ドコートニイ・カルテルの社長を殺害する。心理捜査局のエスパー総監リンク・パウエルはライクを容疑者とみて追及するが、確たる証拠を見つけることができない…。 ----------------------- 1953年に出版され、第1回ヒューゴー賞を受賞した古典SFです。寺田克也氏のおどろおどろしいカバーイラストを目にして、これがかなり怪異に満ちた小説なのだろうと構えた上で頁を繰り始めたのですが、私のこの予想を裏切る奇妙なユーモアが全編を覆っていることに早々に気づきました。 そもそもライクがコートニイを殺すに至る経緯が、ライクの勘違いにあります。冷静な読者であれば、なぜこれが殺害の動機になるのかと首をかしげたくなるほど迂闊な話で、私は一瞬、このくだりはひょっとしたらベテラン訳者・伊藤典夫氏の誤訳ではないかと思い込んだほど。ライクの粗忽者ぶりたるや苦笑を禁じ得ません。 またライクの凶器は古風な拳銃なのですが、銃というものがこの300年ほどで姿を消してしまった世界での殺人事件であるため、死因を特定できない捜査当局の会話がなんとも珍妙な展開を見せます。ここも思わず笑ってしまいました。 さらには、エスパー2人がテレパシーで交わす会話は、頁の上下で別れて当世風のLINEのやりとりのように記述されます。そのところどころに<笑っている馬のイメージ>だの<ウィンクした眼のイメージ>だのが挿(さしはさ)まれるさまは、現代の絵文字あるいはスタンプと全く同じ。サム・@キンズと書いてアトキンズ、ワイ&(原著ではWyg&)と書いてワイガンドと読ませるところもネット時代を先取りしていると言わざるを得ません。1950年代にこうした表現方法はポップかつクールこの上なかったことでしょう。 フィリップ・K・ディックの『マイノリティ・リポート』(1956年)よりも3年早く、超能力によって犯罪を未然に防ぐというプロットを構築している点でも、この小説が時代のかなり先を行った作品だといえます。 金星に人類が移住しているなど、さすがに現代の科学知識に照らすと無理のある設定が見られるのは仕方ないとして、完全犯罪を目指すライクの手管といい、物語の終盤でパウエルがライクを追い詰めていくSF的展開といい、SFミステリ劇としてなかなか読ませる作品に仕上がっています。 残念なのはこの作品を発表から60年を経過した古典としてしかもう私たちは読むことがかなわない点です。発表当時にコンテンポラリー(同時代)な作品として読むことができた読者は、時代の最先端を行く物語として楽しむことが大いにできたことでしょう。そうした読者が羨ましくなりました。 --------------------------- *97頁:「図太く」に「オーダシアス」とルビが振られていますが、英語の「audacious」の発音はカタカナ表記するなら「オーデイシャス」とするのが原音に近いといえるでしょう。 *176頁:「ライクは彼女を無視し、神経混濁銃を手に取るチューカの額につきつけた」とありますが、この場面では神経混濁銃を手に取っているのはライクです。ですから「ライクは彼女を無視し、神経混濁銃を手に取ると、チューカの額につきつけた」とするのが正しいと思います。 *192頁:「ジョン・F・ケネディ空港に連絡してくれ」とありますが、1953年に書かれたこの小説にどうして1963年に暗殺された大統領の名前がついた空港が出てくるのだろう、ひょっとして作者のベスターには未来予測の力があるのかと思って原著を調べたら、「Call Idlewild. (アイドルワイルド空港に電話してくれ)」となっていました。1963年にジョン・F・ケネディ空港に名称変更されるまであの空港はアイドルワイルド空港と言われていたわけです。ただ24世紀のアメリカを描いたこのSF小説の中で20世紀前半のアイドルワイルド空港という呼称が使われるのはおかしいと訳者の伊藤典夫氏は考えたのでしょう。 これも翻訳のひとつのありかたといえるのかもしれません。

  • 人間の心には、愛と信頼、勇気と思いやり、寛容と犠牲しかない。そのほかのすべては、無知がつくりだした障壁なのだ。

    半世紀ぶりについに復刊されたハヤカワ文庫版(伊藤典夫訳)の「破壊された男」。 創元SF文庫版(沼沢訳)の「分解された男」は流通していましたが、このハヤカワ文庫版は中古市場で高値がついて入手が難しかったため、今回の復刊は喜ばしいことです。 ハヤカワ版と創元版のどちらの翻訳がいいのかは、それぞれ個人の好みになろうかと思いますが、今回復刊されたハヤカワ版の伊藤典夫の翻訳には、ぐいぐいと引っ張るスピード感とテンポの良さを感じます。 たとえば、主人公ベン・ライクはしょっちゅう周りの人間に怒鳴り散らす場面がみられますので、そのうちのエスパー医師による診断場面をそれぞれ比較してみます。 創元SF文庫版 「馬鹿野郎、このぶったくり屋!おれの頭の中をのぞけば、すぐわかるじゃないか、そのくらい。いや、すまん。おれとしたことが、いささかはしたないな。」 ハヤカワ文庫版 「うすのろの寄生虫め!自分でのぞいてさがせ。いや悪いことをいった。わるかった。子どもみたいだな」 となっています。 本書は、1950年代に発表されたSFの古典ともいえる作品ですが、古びた感じは全くなく、むしろ新鮮な面白さを味わえます。 たとえば「サム・@キンズ」「ダフィ・ワイ&」「ジョー・1/4メン」といった登場人物名にアルファベット以外の記号を含ませるなど、とてもクールです。「@」なんかはネット社会の現在において必須の記号ですが、50年以上前の小説で「@」を名前に使うなんて、その発想の先進性に今更ながら驚かされます。 悪夢に悩まされる大企業社長ベン・ライクの暴走ぶり、ニューヨーク市警心理捜査局総監リンカーン・パウエルの冷静な行動、ライクのライバル会社社長の娘バーバラの謎の行動、質屋のジェリイ、心理ソング会社のダフィ・ワイ&などなど魅力的な登場人物に彩られたスピード感あふれるエンターテイメント作品の復刊に感謝。

  • 今ひとつ。

    当時としては斬新だったかもしれないが、今一つ入り込めなかった。

関連する文学賞