ニッケル・ボーイズ
1960年代フロリダ州の少年院ニッケル・アカデミーを舞台に、無実の罪で送られたエルウッドと、現実主義者のターナーの友情を軸に、制度化された暴力と人種差別が若者の人生を押しつぶしていく過程を描く長編。実在の改革学校の歴史を下敷きに、個人の尊厳と生存の判断を鋭く問う。
作品情報
少年院の壁の内側で、信念と生存のどちらを選ぶのかが突きつけられる。
『ニッケル・ボーイズ』は、正しさを信じる少年と、現実を見抜く少年が、閉ざされた施設のなかで友情を結びながら生き延びようとする物語である。制度の暴力が日常として扱われる場所を通して、白人至上主義と国家の責任が静かに、しかし逃げ場なく照らし出される。
レビュー要約
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真実の事件を下敷きにした暴力の描写が、物語に重い切迫感を与えている。理想主義と現実主義の対立が、単なる生存劇ではない倫理的な緊張として立ち上がる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2020-11-19
- ページ数
- 272ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.9 x 2.3 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784152099785
- ISBN-10
- 415209978X
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
1960年代アメリカ。アフリカ系アメリカ人の真面目な少年エルウッドは、無実の罪により少年院ニッケル校に送られる。しかし校内には信じがたい暴力や虐待が蔓延していた――。実在した少年院をモデルに描かれた長篇小説。ニューヨークタイムズ・ベストセラー。
レビュー
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心が揺さぶられる
この小説はもちろん,遠いアメリカが舞台の、僕は見たことも深く考えたこともない社会についてのフィクションである。だから,BLMとか公民権運動とか興味ないし関係ない(僕のような)読者が,ふと手に取ることはないかも知れない。むしろ避けるだろう。 でも読んでしまった僕はまだ読んでないあなたに,どうしても薦めたくてレビューを書くことにした。「1960年代,アメリカ。黒人の高校生が無実の罪で送られた少年院は,地獄だった。」という帯の文句から想像もつかないソウルフルな小説。作者は「地下鉄道」のコルソン・ホワイトヘッドなので,ストーリーテリングの巧みさ,息もつかせない展開,時間軸を自由自在に行き来するダイナミックな構成,ラストの頁までまったく隙なし。でもなによりも,ひどく静かで、シリアスで,つらくて,泣きたいくらい優しく暖かくて、希望と絶望どちらもが読む人の心をひどく揺さぶる。まさに感動的な傑作。 あまり長くないので,週末の読書でじゅうぶん読める。忘れられない週末になることでしょう(きっと)。
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いつまでもなくならない人種差別
この作品の作者は、ハーバード大学を出ている。そういう高学歴の人が、アフリカンアメリカンにもいるのは、嬉しいことである。 作品の時代が、1960年代であることや、ニッケル校の教師たちが、(モデルになった学校の教師たち) 取調べを受けても、一人も有罪になっていないというあとがきを読んで衝撃を受けた。 今は、アジア系アメリカ人への差別、ヘイトクライムが起きている。差別は終わりがないのだろうか。 多くの人に読んでもらいたい本である。
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小説としての面白さがほとんどなかったです。
社会復帰のための教育を目的としたドジアー校というアメリカの学校で実際に起きた虐待を元にした小説になっています。実際の事件を元にしたリアリズム小説になっているのですが、小説としての面白さは全くありませんでした。やはり私自身が日本人ということもあって、共感できる部分が少なかったです。
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小説を読む楽しさに加えて、現代アメリカ社会の分断の一因を描写している良書
1960年代、アメリカ南部の少年院における実話を基にした小説。主人公の黒人少年は、無実の罪で少年院に送られ、壮絶な暴力と理不尽な扱いをうけることになる。高校の世界史の授業で、キング牧師による公民権運動などを表面的に習った覚えがあるが、このような過酷な差別の実態があることまでは知らなかったので、本書によって大変考えさせられた。昨年発生した「ジョージ・フロイド事件」から発生したBLM(Black Lives Matter)運動などを見るとアメリカ社会は依然としてこの問題の解決には程遠い状況であるようである。 主人公はどうやって少年院(ニッケル校)から脱出できたのだろうか。回想から始まるプロローグを受けて、この物語には思わぬ結末が予定されている。小説を読む楽しさに加えて現代アメリカ社会の分断の一因を描写している良書である。
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