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城砦〈上〉

ナショナル・ブック・アワード

城砦〈上〉

A・J・クローニン

若い医師が医療倫理と商業主義のはざまで揺れる姿を描き、制度の不正や妥協を鋭く告発する小説。個人の良心を軸に社会の病理を描き出す点が、長く読み継がれてきた理由になっている。

医療倫理社会問題職業葛藤

作品情報

若き医師の葛藤から、医療と社会の病理が浮かび上がる。

『The Citadel』は、医師としての理想と現実の折り合いに苦しむ青年を通して、医療が抱える構造的な歪みを描く長編小説。社会派作品としての鋭さと、ドラマとしての読みやすさを兼ね備えている。

レビュー要約

  • 医療制度の不正や功利主義を真正面から描く力が高く評価される。現在読むと古風な部分はあるが、問題提起の鋭さは今なお失われていない。

書籍情報

出版社
日経BP
発売日
2024-07-25
ページ数
408ページ
言語
日本語
サイズ
18.8 x 12.8 x 2.5 cm
ISBN-13
9784296204502
ISBN-10
4296204505
価格
1980 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/英米文学

忘れられた名著であるA.J.クローニンの「城砦」が夏川草介氏の新訳でよみがえりました。英国の医師であり小説家だったクローニンと、日本の医師である「神様のカルテ」シリーズの著者である夏川草介氏。この時代を越えたコラボで新たに誕生したのが「新訳 城砦」です。 本書は、医師の仕事に情熱を燃やす若き医師アンドルーが様々な苦難に立ち向かう半生を描いたものです。ある時は、医療制度に立ち向かい、ある時は、富や名声への渇望という自らの欲望に足をさらわれそうになりながら、希望の灯を絶やさない心の軌跡が描かれています。「何のために生きるのか?」「何のために働くのか?」そんな人生の難問に出逢った際、きっと本書から得るものがあるはずです。いつの時代であっても生きていればかならず遭遇する苦難や人生の落とし穴。あなたはどう対応しますか。 ■目次 <第一部> 第一話 鉱山の町 第二話 初めての患者 第三話 腸チフス 第四話 デニーの荒療治 第五話 クリスティン 第六話 「隠れ家荘」の夕食会 第七話 星明かりの下で 第八話 慎重に、ゆっくりと、確実に 第九話 カーディフの学会 第十話 過酷な夜 第十一話 ジョーの五ギニー 第十二話 急転 第十三話 二通の推薦状 第十四話 帰宅 <第二部> 第一話 アベララウ 第二話 ルウェリンの歓迎 第三話 ロンドンへ 第四話 西部診療所 第五話 暗転 第六話 夜更けの訪問者 第七話 ヴォーン家 第八話 旧友の来訪 第九話 赤髭の歯科医 第十話 王立医学会会員 第十一話 第三坑道 第十二話 クリスマス・イブ 第十三話 丸木橋 第十四話 学位論文 第十五話 審問会 第十六話 出立の日

レビュー

  • きれいな本で、とても読みやすい本です

    中古本なので、どの程度なのか心配していましたが、新品同様のきれいな本が届いたので、安心しました。早速、最後まで気持ちよく読んでしまいました。

  • 年代物原作とは思えない、是非読んで。

    細かい治療の描写があるわけではないが、物語にはすぐ引き込まれて非常にテンポもよく、サクサク読める。これが古い年代物原作とは思えない。 前編は成長期と出会いである。

  • 医者の心構え

    まだ上巻を読み終えたばかりですが、医師・研究者の端くれとして共感できる物語でした。 昨今、医療者に対する世間の風当たりは強く、また一部には営利を第一に考えて根拠に乏しいエセ医療行為で金稼ぎに走る者もいますが、本来の医師はアンドルーのように目の前の患者のために奔走し、更に公衆衛生の向上のためならば身を削って研究を行う人たちです。今でもアンドルーのように患者のために全力を尽くす医者は多く存在します。 アンドルーは極端な例かもしれませんが、この作品を通して医者がどういったマインドで医療に向き合っているのかが多くの人に伝わることを願います。

  • 多くの医学生に読んで欲しい

    54年前の大学入学間もない頃に、寮の先輩に紹介されてこの小説を読んだ記憶がある。 年月の経過で内容はほとんど忘れていたが、デニーが1週間泥酔した場面と、馬鹿な医師が嚢胞摘出手術時にメスで切開し 失血死させた場面だけ記憶に残り、時々断片的に思い出してはいた、当時はそれだけ衝撃的だったのだろうと思う。 嚢胞ではなく、食道静脈瘤か腹部大動脈瘤の手術と記憶していたのだが。白い巨塔はその1年後に読んだ。 医師不足による医療の貧困化、地方都市の医療の崩壊や、負担の大きい診療科目からの医師離れ等、現在でも大きな問題となっているが、それらを踏まえて、今回半世紀ぶりに新訳で読み直してみて考えさせられることが多く、この小説が名著であることを改めて実感している。読みながら何度も何度も泣いてしまった。 上巻の表紙絵は主人公のアンドルーと奥さんのクリスティンだが、下巻の表紙絵は墓地を歩く主人公、この絵を見るにつけ涙が 出てくる。

  • 読み継がれるべき名著

    夏川草介初翻訳と聞き 図書館に入るのを待ちきれず購入して読了 内容も翻訳も期待通り 元医師で作家のクロ-ニンが 1920年代にイギリスの鉱山の町で体験した自伝的小説が 夏川草介のわかりやすい新訳で甦り その内容は普遍的な意味をもって 心に訴えかけてくる 急いで下巻へ

  • 魂が揺すぶられる、素晴らしい翻訳医学小説!

    実は本のタイトル(じょうさい)さえも読めなかった私ですが、アメリカ人の夫に表紙見せたら、The Citadelというのは有名な小説だよと指摘されました。 アメリカでも映画化され、アカデミー賞にノミネートもされたそうです。 本書は翻訳がとにかく素晴らしいと感じました。 若く正義感の強いアンドルー医師のまっすぐな、患者と向かい合う姿に感銘を受けました。 彼のまっすぐな姿、そして妻のクリスティーの忍耐強さに、何回も感銘をうけ、涙が滲んできました。 いま、本が売れない時代と言われます。特に翻訳本が。 そんな時代において、やはり、本という物は、原作者のクローニンと直接、対話出来る、素晴らしい存在であると再確認できました。 この様な本格的な翻訳作品を世に出して下さり、ありがとうございます。 下巻を読むのが楽しみです。

  • リーダブルな翻訳

    初めてこの本を読んだのは23歳の5月だった。古本屋で購入した三笠書房の竹内訳で、当時独身だった自分は夫婦愛の描写に感激するしかなかった。いま読み返すと、マンスンはあまり良い夫とは言えない気もするが。 以来40年間にわたり、原書含め訳書は暗記するほど何度も読み返した。何より利発なクリスティンを素晴らしいと思ったが、後にレンタルビデオで借りて見た映画では、女優(ロザリンド・ラッセル)がスタイル抜群で美しすぎ、イメージが全然違った。クローニン博士の奥さんの写真を見たことがあるが、彼女こそクリスティンそのものの容姿で「なるほど」と感じたことである。 この夏川訳、とにかく読みやすい。竹内訳は彼ならではの文体で、ややクセがある。またクローニン愛が過度だ。ハマらないとき(おそらく竹内氏自身が「こんな展開ダメ」と感じた箇所)はズッコケるしかないが、夏川氏は安定している。中村訳のそっけなさには辟易したが、夏川氏は信頼できる。

  • 原作にはないエピソードが翻訳の際に勝手に付け加えられています

    訳者が、翻訳の際に原文にないエピソードを勝手に付け足したと「日経メディカル」の訳者インタビューにて発言しています。それは翻訳ではありません。出版社も、こういったことはやめてください。

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