コモンウェルス短編小説賞 こもんうぇるすたんぺんしょうせつしょう
Edition 7 (2018)
Winners
5 peopleラゴスに暮らす十三歳の少年が、母に促されて教会へ行き、牧師の語る「本当の幸福」に疑問を抱く。家庭の貧しさ、宗教的な言葉、子どもの率直な怒りが重なり、幸福とは誰が決めるものなのかを問いかける短編である。
少年の素朴で鋭い語りが、信仰と貧しさのはざまで語られる幸福の意味を揺さぶる。
ナイジェリア出身の作家。2018年のCommonwealth Short Story Prize(アフリカ地域)受賞者。
インドの十二歳の少女の妊娠をめぐる出来事を、信仰、家族、社会的圧力が絡む寓話的な短編として描く。身体をめぐる不可解な出来事が、共同体の期待や抑圧を映し出す物語である。
少女の身体に起きた出来事が、信仰と共同体の欲望をあぶり出していく。
インド出身の作家。2018年のCommonwealth Short Story Prize(アジア地域)受賞者。
『Ghillie's Mum』は、母と子、家族の期待、ケアの重さをめぐる短編として2018年のカナダ・ヨーロッパ地域を受賞した。日常の家庭的な場面を通じて、親密な関係のなかにある見えにくい不安と責任を描く。
家庭の近さのなかで、愛情と不安がほどけにくく絡み合う。
イギリス出身の作家。2018年のCommonwealth Short Story Prize(カナダ・ヨーロッパ地域)受賞者。
中年の危機を抱えた主人公が、謎めいた女性を探して荒野へ向かい、聞いた物語の不穏さのなかへ自ら入り込んでいく。文明と野性、語りと現実の境界がずれ、最後には予想を裏切る形で物語の代償が現れる短編である。
酒場で聞いた奇妙な話が、荒野へ向かう男自身の運命を変えていく。
トリニダード・トバゴ出身の作家。2018年のCommonwealth Short Story Prize(カリブ地域)受賞者。
サモアの結婚式当日、家族と村の期待に囲まれたマタラシは、自分の性自認と押しつけられた花嫁像のあいだで息苦しさを覚える。伝統、家族の名誉、身体への規範が、ひとりの人間の生存感覚を圧迫する短編である。
華やかな結婚式の支度の内側で、マタラシは自分を消していく儀式に向き合う。
サモア出身の作家。2018年のCommonwealth Short Story Prize(パシフィック地域)受賞者。