デイヴィッド・ハイアム賞(フィクション)
デイヴィッド・ハイアムしょう(フィクション)
1975年創設のデビュー長編小説または短編集を対象とした文学賞。コモンウェルス等の市民が対象で、1999年に廃止された。
- 創設年
- 1975
- 主催
- David Higham
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 選考
- 受賞対象
- 新人
- 開催頻度
- 年1回
- 賞のステータス
- 終了
説明
1975年にデイヴィッド・ハイアムの80歳を記念して創設された文学賞。コモンウェルス、アイルランド共和国、パキスタン、南アフリカの市民による処女長編小説または短編集を対象に毎年授与された。1999年に「受賞者が十分な注目を受けられなかった」ことを理由に廃止された。1975年から1998年までの受賞者にはジェーン・ガーダム(1975)、ジム・クレイス(1986)、ヴィクラム・チャンドラ(1995)などがいる。
賞品
- 主賞品
- デビュー長編小説または短編集を表彰する賞
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 選考・受賞者決定(年1回) | 選考委員会(詳細不明) | — | 受賞者は各年に発表 |
選考基準
- 処女長編小説または短編集であること
- 応募者(受賞対象)はコモンウェルス、アイルランド共和国、パキスタン、南アフリカの市民であること
- 文学的価値(文芸性)
過去の受賞者
消費社会を背景に、都市に生きる若者たちの欲望と孤独、日常の断片を通してアイデンティティの揺らぎを描く。ショッピングや人間関係を通じた自己探求と、現代都市がもたらす疎外感が主題となっている。
イギリスの作家。デビュー作『Shopping』で1998年のDavid Higham Prizeを受賞。都市生活や消費文化、若者の心理を鋭く描き、現代社会の空虚さや関係性の機微を捉える作風が特徴。
科学的視点と人間の感情を交差させながら文明や倫理を問う長編。技術や知識がもたらす恩恵と危険、個人と社会の関係性を描き、未来や過去への洞察を通して文明の継承と崩壊を考察する物語。
カナダ出身の作家・文化評論者。文明史や人類学的な視点を取り入れたエッセイや小説で知られ、文明の脆弱性や歴史のパターンを問う作品を多数発表している。『A Scientific Romance』で1997年に受賞した。
リヴァプールなど英国内の地域社会を背景に、家族関係や世代間の断絶・再生を描く長編。個人の記憶や移動の歴史を通じて、文化的・宗教的アイデンティティの綾を丁寧に掘り下げる。
イギリスの小説家。地方都市やユダヤ系コミュニティを題材に家族史や記憶、アイデンティティを繊細に描く作風で知られる。『The Cast Iron Shore』により1996年のDavid Higham Prizeを受賞した。
植民地期の記憶と民間伝承を織り交ぜた長編。主人公が家族に伝わる資料や土地の歴史を辿ることで、過去と現在が交錯し、個人史と社会史、神話的要素が絡み合ってアイデンティティが浮かび上がる。
インド出身の小説家。神話や歴史を織り交ぜた作風で知られ、1995年に長編『Red Earth and Pouring Rain』でDavid Higham Prize for Fictionを受賞した。後に国際的に評価される作品を発表している。
18世紀アメリカ南部の奴隷制を多視点で描いた長篇。記憶と痛み、親子の絆や暴力の構造を通じて歴史的トラウマを問い直し、抑圧された声を浮かび上がらせる。
ガイアナ系の英語作家で詩人。歴史、記憶、人種や奴隷制に関する主題を力強く扱う作品で国際的に評価されている。
風変わりな人物たちを通して現代社会や人間関係の歪みをブラックユーモアを混えて描く長篇。孤独や共感の可能性を独特の視点で探る作品。
イギリスの小説家。独特のユーモアと風変わりな登場人物描写で知られ、社会の周縁にいる人々を描くことが多い。
スコットランドを背景に家族の記憶と郷愁を繊細に描いた長篇。土地の歴史と個人史が重なり合い、過去が現在の関係性や自己理解に影響を与える様を描写する。
スコットランドにゆかりのある作家。土地と家族の記憶を繊細に描く作品で評価される。
存在や信仰、個人と共同体の境界をテーマに据えた作品。登場人物の内面変容や関係性の緊張を通して、人間の孤独と連帯を照射する文学的試み。
軍隊や戦場を背景に、倫理と責任、罪と無垢の喪失を問う作品。兵士たちの視点を通して暴力の構造と個人の良心の葛藤を描く重厚な小説。
イギリスの作家。戦争や倫理、個人の良心を主題にした硬質な作風で知られる。
故郷への郷愁と帰属意識を主題にした作品。家族史や国民性、世代間の溝を通じて個人のアイデンティティを問い直す情感豊かな物語。
階級や家庭の葛藤を背景に、個人の欲望と社会的制約を描く物語。都市や屋敷を舞台に登場人物の内面を細やかに描写し、日常の矛盾を浮かび上がらせる。
イギリスの小説家。日常の機微や人間関係の複雑さを捉える作風で知られる。
移民や故郷、家族にまつわる秘密をめぐる物語。ポストコロニアルな文脈で文化の断絶と世代間の緊張を描き、個人の記憶と地域の歴史が交錯するドラマを展開する。
パキスタン出身の作家(英語で執筆)。移民やポストコロニアルな主題を扱い、文化的摩擦や家族の記憶を描くことが多い。
短い章で構成された連作的作品。旅や遭遇、文化の断絶を通して個人の孤独や共同体の脆さを寓話的に描写する。抒情的な風景描写と簡潔で象徴的な語りが特徴。
イギリスの小説家。抒情的な文体と寓話的/連作的な構成で知られ、風景や人間関係を繊細に描く作風が特徴。
家族に伝わる神話や噂が個々の人生や関係性にどのように影響するかを描く作品集(または長編)。記憶と作り話、世代間の軋轢と和解を通してアイデンティティと家庭の力学を探る。
『A Parish of Rich Women』は、ある共同体における女性たちの生活と権力構造を描く長篇。富や階級、ジェンダーが交錯する中での人間模様や倫理的問いを掘り下げ、社会批評的な視点で個人と共同体を描写する。
スコットランド出身の作家・ジャーナリスト。政治や歴史を題材とした小説で知られる。
『The Notebook of Gismondo Cavalletti』は、日記や書簡の形式を借りて、架空の人物ギスモンド・カヴァレッティの内面と生涯を追う作品。歴史的背景や文化の衝突、愛と罪の葛藤が織り交ぜられ、文学的実験性を持つ。
『Where I Used to Play on the Green』は、幼少期の記憶と故郷への郷愁を主題とする作品集。地域社会の変化や人間関係のうつろいを繊細に描き、過去の遊び場が象徴する喪失感と成長の物語を静かに紡ぐ。
イギリスの作家。郷愁や地域性を題材にした作品で知られる。
『A Separate Development』は、南アフリカ社会の分断や政治的状況を背景に、個人と国家の関係を問い直す長篇。アパルトヘイト下の矛盾や人間の倫理的選択を鋭く描き、歴史的現実と個人の葛藤を重層的に提示する。
南アフリカ出身の作家。アパルトヘイト期の社会問題や個人の内面を扱った作品で知られる。
『Keep On Running』は、逃避や再出発を巡る物語で、主人公の試練と成長を追う。都市や旅路の描写を通じてアイデンティティの探索や社会的圧力への抵抗をテーマにし、緊張感のある展開と内省的な描写が特徴。
『The Plate Shop』は、小さな商店や工房を舞台に、人々の暮らしと労働が生む葛藤を描く作品。職人技や商売の現実、経済的な困難が人物関係を複雑にし、日常の出来事が登場人物の選択を試す。
『Sliding: Short Stories』は、ウェールズの風景や日常の断片を丁寧に切り取る短編集。記憶や郷愁、家族関係がテーマとなり、詩的な言語で人間の細やかな感情を描写する。簡潔ながら深みのある短篇群。
ウェールズ出身の詩人・短編作家。郷愁や自然描写に富んだ作風で知られる。
『A Shadow of Gulls』は、海辺の風景とそこに生きる人々の孤独や記憶を主題とする物語。自然と人間の関係を詩的に描き出し、過去と現在が交錯することで人物の内面が浮かび上がる。静かな叙情性を持つ作品。
イギリスの作家。歴史や地域性を題材にした作品を手掛けることがある。
『The Stepdaughter』は、家庭内の緊張と心理的対立を主題に据えた長篇。継娘を巡る愛憎や秘密、親子関係の歪みが物語を牽引し、徐々に明らかになる過去が登場人物の行動を左右する。冷徹な観察と緊迫感のある文体が特徴。
イギリス(アングロ・アイルランド系)の作家。家庭内の心理や個人の暗い側面をえぐる作風が知られる。
『Black Faces, White Faces』は、イギリス社会の中で生きる人々の内面と相互作用を繊細に描いた作品群。階級や偏見、家族関係が複雑に絡み合い、登場人物の孤独や誤解が浮き彫りになる。ユーモアと哀感を伴う筆致で日常の瞬間から普遍的な人間像を照らし出す。
イギリスの作家。人間関係や社会階層を繊細に描く作風で知られる。
『Chalky』は、地方や労働現場を背景にした人間ドラマ。主人公の葛藤や友情、社会的制約が物語を動かし、日常の細部を通して個人と共同体の相互作用を描く。抑制された筆致で人物の心理を丁寧に掘り下げる。