オーウェル賞 おーうぇるしょう
第26回(2019年)
受賞者
5名名のない北アイルランドの町で、十八歳の語り手が『ミルクマン』と呼ばれる男につきまとわれ、噂と監視の網に絡め取られていく長編。政治的分断、性的抑圧、共同体の沈黙を独特の語りで描く。
名前を持たない語りが、暴力の時代に生きる少女の息苦しさを刻む。
北アイルランド出身の小説家。独特の語り口と実験的な文体で国際的に評価される。
一九七二年にベルファストで起きた Jean McConville 拉致殺害事件を起点に、北アイルランド紛争の記憶、沈黙、政治的暴力の後遺症を追うノンフィクション。個人の証言を重ね、和平後も残る傷を描く。
語られなかった事件の記憶が、和平後の社会をなお揺さぶる。
調査報道を基盤にノンフィクションを執筆する作家。歴史的事件の深層を追う作風で知られる。
Suzanne Moore の受賞対象は、新聞コラムを中心とする継続的なジャーナリズムであり、単独書籍ではない。#MeToo 後の政治文化、記憶、Brexit 後の公共空間をめぐる鋭い論評が評価された。
日々の論評を通じ、政治を個人の感情と身体の問題として問い直す。
社会問題やジェンダー、文化に関する鋭い論評で知られるコラムニスト。公共の議論を喚起する筆致が特徴。
Steve Bloomfield の受賞対象は Prospect 誌などに掲載された一連の報道・論評であり、単独書籍ではない。外交、Brexit、政治指導者、調査報道の現在を扱う記事群が評価された。
政治の舞台裏を、取材に基づく冷静な報道として掘り下げる。
報道記者として社会問題や事件の取材・報道に従事する記者。詳細な現場報道で評価された。
Max Daly の『Behind County Lines』は、英国の薬物流通と若者の搾取を追った一連の報道であり、単独書籍ではない。地方へ拡大する犯罪ネットワークと、そこに巻き込まれる子どもたちの構造を明らかにした。
犯罪の仕組みの背後に、見過ごされてきた若者の被害がある。
若年者を巻き込む麻薬流通「County Lines」に関する調査報道で注目された記者。