PENヘッセル=ティルトマン賞
ぺんへっせるてぃるとまんしょう
歴史的内容のノンフィクション作品に贈られる、English PEN主催の年次賞。対象は全歴史時代(伝記・学術書・軍事中心作品を除く)。
- 創設年
- 2002
- 主催
- English PEN
- カテゴリー
- ノンフィクション・記録文学
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 12月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
PEN Hessell-Tiltman Prizeは、歴史的内容のノンフィクション作品に対して授与される賞で、対象とする歴史時代に制限はない。対象作品は高い文学的価値を備え、一般読者向けに書かれていることが求められ、歴史伝記・学術書・軍事色の強い作品は対象外となる。英国で初版出版された英語作品のみが対象で、翻訳作品は不可。1999年にMarjorie Hessell-TiltmanがPEN Literary Foundationに£100,000を遺贈したことを受けて設立され、2002年に開始された。主催はEnglish PENで、受賞者には£2,000の賞金が授与される。
賞品
- 主賞品
- 受賞者には賞金と英語PENによる広報・認知が与えられる
- 賞金
- 2,000 GBP
- 受賞・ショートリスト掲載による広報(English PENの発表・プレスリリース)
- 過去には共同受賞やhonourable mentionがある場合あり
- 設立はMarjorie Hessell-Tiltmanの寄付による基金
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 応募/推薦受付 | 出版社・著者等からの応募/推薦を受け付け(英語PENの規定に従う) | 不明 | 応募締切や受理は英語PENの案内に従う |
| ショートリスト選定 | English PENが任命する審査員団(年度ごとに変動) | 不明(通常数点がショートリストに選ばれる) | ショートリストは英語PENのウェブサイトとプレスで発表される |
| 受賞者決定 | 同上(ショートリストから最終選考) | 不明 | 受賞者は英語PENが公式に発表し、プレスリリース等で公表される |
選考基準
- 第二次世界大戦まで(含む)の歴史的内容を扱っていること
- 高い文学的・叙述的価値を備えていること
- 主に学術向けの専門書形式(学術論文集や細密な注記中心)ではないこと
- 受賞対象年に出版された作品であること
- 研究に裏付けられた独自性・新規性と一般読者への伝わりやすさの両立
応募のヒント
推奨
- 対象期間(第二次世界大戦までを含む)に該当する歴史的ノンフィクションであることを確認する
- 出版年が応募対象の年であることを確認する
- 学術的な脚注や注釈はあっても、一般読者に読まれる文体・叙述性を重視する
- 英語PENの公式応募要項(英語)を事前に確認し、規定に沿って応募する
- 書評やメディア掲載など、作品の評価を示す補助資料がある場合は整えておく
注意
- 主に学術論文や専門的研究書の体裁のみの作品を応募しない(学術性のみを重視する応募は不向き)
- フィクション作品や対象期間を超える作品を応募しない
- 応募規定を無視した形式で提出しない(提出形式・締切を確認する)
審査員から
- 歴史研究の確かさと同時に、読み物としての語り口・文体の良さを重視する
- 独自の視点や新しい解釈、豊かな一次史料の活用は評価される
- 一般読者にも伝わる明瞭な文章と構成を心がけること
関連の賞
- English PENの他の賞(例:PEN Ackerley Prize等)
- PEN Internationalが支援する各国のPEN賞
- 英国の歴史賞一覧(List of history awards)
- 英国のノンフィクション文学賞
公式情報
https://www.englishpen.org/prizes/pen-hessell-tiltman-prize/過去の受賞者
イラクでのユダヤ人としての幼少期、イスラエルでの経験、英国での学術的経歴という三つの世界を通じて自身の生い立ちと中東政治史を重ね合わせる回想録。個人的記憶と歴史的分析を織り交ぜ、国家・アイデンティティ・記憶の交錯を描き出す。
中東史を専門とする歴史家。イスラエルとアラブ世界の関係に関する批判的研究で知られ、ニュー・ヒストリアンズの一員としても認識される学者・著者。
帝国の終焉後における英国と旧植民地の関係、富と資源の移動、政策の継承とその社会的帰結を経済史・社会史の視点から検証する一冊。植民地主義が残した構造的影響と現代の不平等の源泉を追う。
英国を拠点に執筆・研究を行う著者。植民地帝国の遺産とその経済的・社会的影響に関する研究・著作で注目される。
古代イスラエルと近東における「神」の概念の形成と変容を、聖書テキストや考古学、文化史の証拠を用いて検証する書。神像が宗教・政治・日常生活の文脈でどのように構築され、社会に影響を与えたかを明らかにする。
古代イスラエルと近東の宗教史を専門とする研究者。聖書テキストと考古学的資料を併用した社会史的分析で知られ、学界の執筆活動とメディア出演も行っている。
ネアンデルタール人の生活、社会、象徴表現を考古学的証拠と最新研究から再評価する著作。狩猟・道具製作・埋葬・表現行為を詳述し、彼らの複雑な社会性と文化を提示して近年の偏見を覆す。
古人類学と考古学を専門とする研究者・作家。ネアンデルタール研究の普及と学術的再評価に貢献している。
1919年のジャリアンワーラバグ虐殺とそれを巡る歴史的余波を扱い、復讐を遂げた人物の生涯と動機を丹念に追う。植民地時代インドにおける暴力、正義、記憶の問題を詳細に描き出すノンフィクション。
ジャーナリストで歴史ノンフィクションの著者。帝国期の事件や植民地体制の暴力を掘り下げる作品で知られる。
初期近代の書物と図書文化を、海難や失われた蔵書の物語を手掛かりに再構成する研究。書物の移動や喪失がいかに知の形成に影響したかを追い、ルネサンス期から大航海時代にかけての図書流通と知の国際性を描き出す。
初期近代史や書誌学を専門とする歴史学者。書物と知の流通が社会史に与える影響を研究している。
1890年代から1928年までを通史的に扱い、帝政の危機、第一次世界大戦、革命、内戦、ソヴィエト体制成立という一連の変化を政治・社会・経済の観点から総合的に分析する。地域差や帝国的要因を重視して革命の全体像を示す。
ロシア革命と近代ロシア史を研究する歴史家。帝政末期からソヴィエト体制成立に至る変動を総合的に分析する著作で評価される。
英国における黒人の歴史を古代から現代まで長期的視野で再検討する。移民や帝国の文脈、法制度や社会的差別の変遷を資料豊富に辿り、従来の英史から除外されてきた物語を回復して提示する。
英国の歴史家・作家。テレビ番組の司会や一般向けの歴史普及活動で知られ、植民地主義や人種の歴史の再解釈に貢献している。
第二次世界大戦におけるドイツの国内体験を庶民の視点から描いた研究。戦争への広範な支持や動員、占領地での行為、国民意識の変容、そして個人と国家の責任を膨大な証言と資料で検証することで、『国民戦争』としての側面を明らかにする。
歴史学者・作家。ドイツ社会と第二次世界大戦に関する社会史的研究で知られる。
エリザベス朝期の宗教対立と政治的陰謀を史料に基づいて再検討する。カトリックの抵抗運動や国家による弾圧、信仰をめぐる暴力と政治的動機の交錯を描き、当時の社会と政治の複雑さを明らかにする。
イギリスの歴史家。エリザベス朝期の宗教と政治の交錯を扱う研究で評価される。
第一次世界大戦が20世紀の政治、文化、国際関係に及ぼした深い影響を長期的視点で分析する。戦争が国際秩序や国内政治、記憶文化に及ぼした帰結を多面的に検証し、戦争の『長い影』が如何に世紀を形作ったかを論じる。
イギリスの歴史家。第一次世界大戦が20世紀にもたらした長期的影響の研究で知られる。
第二次世界大戦終結後のヨーロッパ各地で生じた暴力、復讐、民族的対立、社会崩壊を詳細に描写する。戦争が公式に終わった後も続いた私的報復や混乱の実相を、多数の証言と地域比較を通じて明らかにする。
イギリスの歴史家。第二次世界大戦直後のヨーロッパで続いた暴力と社会的混乱を扱った研究で知られる。
情報の起源から現代のデジタル時代までを俯瞰する大著。古代の記号や写本、印刷術、電信、クロード・シャノンの情報理論、コンピュータとインターネットに至るまで、情報という概念が科学・文化・政治に及ぼした影響を歴史的かつ学際的に描き出す。
アメリカの作家・サイエンスライター。科学史や技術の一般向け解説で知られ、『The Information』により情報の歴史と理論を広く紹介した。
古代エジプト文明の興隆と衰退を王朝史、宗教、経済、外交など多角的に概観する総合史。長期的視野で政治的変動と文化的継承を描き、文明史としてのダイナミズムを提示する。
古代エジプト史を専門とする英国の学者で、王権や文明史を平易に解きほぐす著作で広く知られる。
古代から近現代に至るキリスト教の歴史を包括的に俯瞰する大著。教義や制度、文化的実践、権力との関係を長期的に追跡し、キリスト教が世界史に果たした役割を総合的に論じる。
キリスト教史を専門とするイギリスの歴史家。長期的視野に立った宗教史の大著で国際的に知られ、学術と一般向けの両面で活躍する。
第一次世界大戦のイタリア戦線における山岳戦や極限環境下の戦闘・生活を克明に描く。兵士の日常、補給と戦術の困難、地域社会への影響を通して戦場の実相を記録する。
軍事史や戦争記録の分野で著作を持つ歴史家。戦場の現実と兵士の生活に関する詳細な記述で評価されている。
第二次世界大戦期に中立を掲げたアイルランドの文化・社会生活を精密に描写する。検閲や国家政策、日常の工夫や国際関係が人々の経験や文化表現にどう影響したかを考察する文化史。
アイルランド文化史を専門とする研究者で、戦時期の文化と日常生活に関する詳細な叙述で知られる。
18世紀ロンドンにおける笑い、風刺、性に関する文化的表現を通して都市社会の価値観や権力関係を考察する。広範な一次資料を用い、風俗と公共圏の相互作用を明らかにする文化史的研究。
イギリスの文化・社会史家。18世紀ロンドンの風俗や文学、ユーモア文化を掘り下げた研究で知られる。
西ローマ帝国の崩壊による経済・社会の変容を考古学資料と文献史料の両面から再検討する。都市の衰退、交易網の断絶、技術・生活様式の変化を通じて『文明の終焉』の実像に迫る。
古代後期の考古学研究を通じてローマ帝国の崩壊とその影響を考察しているイギリスの歴史家・考古学者。考古資料と史料を統合した分析が特徴。
第二次大戦末期の北西ヨーロッパ戦線におけるアメリカ歩兵の経験を描き、若年兵の生活・心理・戦闘の実相とそれが戦後の記憶や文化に与えた影響を考察する。現場の視点を重視した軍事文化論的記述。
アメリカの文化史家・文学批評家。戦争と文化、軍事経験の文学的表象に関する論考で知られる。戦争の現実とその記憶の扱いに関心がある。
ヒトラー時代のドイツとスターリン時代のソ連を比較史的に検討し、指導者政治、抑圧機構、戦時体制の形成と運用が社会に及ぼした影響を明らかにする。全体主義を比較することで共通点と差異を浮き彫りにする。
イギリスの歴史家。第二次世界大戦および全体主義体制の比較研究で高い評価を受けており、戦争期の政治・社会構造の分析で知られる。
共和政末期のローマにおける政治闘争と軍事的台頭を描き、カエサルらによる権力掌握と共和制崩壊の過程をドラマチックに再構成する。社会構造と個人の野心が共和国を如何に変えたかを論じる。
古代史を専門とするイギリスの歴史家・作家。学術的な裏付けを保ちつつ一般読者向けの読み物として歴史を再構築する作風で知られる。
18世紀イングランドで活動した科学者や思想家の仲間『ルナ・メン』を軸に、知識人の交流がどのように技術革新と社会変化を促したかを描く。個人史と文化史を織り交ぜた叙述が特徴。
イギリスの伝記作家・歴史家。18世紀の人物や文化を題材に、一般読者にも親しみやすい伝記や文化史を執筆している。
1919年のパリ講和会議を詳細に描き、各国指導者や外交官の決断過程とその意図、対立、妥協を追跡する。講和の成立と限界が20世紀の国際秩序や後続する紛争に与えた影響を一般向けに示す。
カナダ出身の歴史家で、国際関係史や戦争史を専門に一般向けの歴史書を多数執筆。講和会議や外交史の研究で知られ、学際的な視点で20世紀史を解説する。