シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫 赤 543-4)
老学者シルヴェストル・ボナールが、希少な古文書を追ってパリからシチリアへ向かい、書物への愛着と良心のあいだで揺れる姿を描く日記体長編。静かなユーモアと皮肉の底に、知性と寛容をめぐる温かなまなざしが通っている。
作品情報
古書と良心をめぐって歩く、静かな知性の冒険。
アナトール・フランスの出世作として知られる日記体長編。セーヌ河畔で古書に囲まれて暮らす老学者が、希少な写本を追ってシチリアへ向かい、思いがけない出来事のなかで自分の誠実さと欲望を見つめ直す。伊吹武彦訳の岩波文庫版で、古典らしい落ち着きと読書家ならではの魅力が味わえる。
レビュー要約
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書物好きの主人公像と落ち着いた語り口が高く評価されている。派手さよりも、古典を読む喜びと静かな余韻を味わえる点が支持されている。
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気品のある文体と知的なユーモアが支持される一方で、物語の進み方は抑制的だと受け止める読者もいる。穏やかな語りの中に、長く残る読後感がある作品として読まれている。
書籍情報
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 1975-07-16
- ページ数
- 300ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784003254349
- ISBN-10
- 4003254341
- 価格
- 940 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/フランス文学
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レビュー
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名作
古さを感じさせず、しかも古典を読む喜びを味あわせてくれる、バランスの良い名作だと思います。
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何度でも読み返したい一冊
主人公のボナール氏は、本好き、特に古書ファンにはなんとも魅力的な人物です。幻の写本を追い求めて奔走し、古書目録に読みふけって時を忘れる姿。思いがけない経路で憧れの書を手にしたときの感激。自分の書斎を「本の都」と呼び、たいせつな娘のために貴重な本を売り払おうと決意しながらも、その都から、一冊、また一冊とこっそり自分用にとりのけずにいられないという愛すべき「罪人」のボナール氏。あたたかい、ときにはユーモラスな筆致から、この老学者は著者がなりたくてなれなかった理想の分身なのではという気さえしてきます。もちろん当時の社会問題も行間から伝わってきますが、主人公にあくまで穏やかに語り続けさせているのは、みごととしか言いようがありません。伊吹武彦の翻訳も素晴らしく、地味な筋ながら、何度でも読み返したくなるような心地よい本です。
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