抱擁 1
二組の学者とヴィクトリア朝の詩人たちの往復を軸に、恋と研究、所有と憑依を重ねた文学ミステリー。
作品情報
過去の手紙と研究が、現在の二人の関係を少しずつ変えていく。
現代の研究者と過去の詩人たちを往復しながら、知の探求が恋へと変わる瞬間を描く。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1996-04-01
- ページ数
- 468ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784105324018
- ISBN-10
- 4105324012
- 価格
- 4663 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/英米文学
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レビュー
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虚実の綾が織り成す重厚な愛
ブッカー賞を受賞し,その後映画化された作品は,読んでも観てもハズレがない. 『抱擁』は,現代の文学者ローランドとモードが研究テーマを追うなかで偶然,手紙の下書きを発見し,調べるうちにヴィクトリア朝の著名な作家(アッシュとラモット)の秘められた関係が浮かび上がってくるというミステリー仕立て.現代の研究者たちの話,過去に交わされた書簡,そして二人の作家が残した詩や物語と,3つの構成から成っている. 妻だけに詩を捧げたアッシュ,フェミニストで同性愛者のラモット.彼らの不倫が明らかになれば,スキャンダルであるばかりでなく,文学史研究そのものが覆される. 実在の作家や作品,史実が如実に盛り込まれながら,アッシュとラモットはフィクション.虚実の綾が見事に織り成す,現代と古典の愛.
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現代の恋愛と過去の恋愛の諸相が輻輳する作品
ある文学研究者たちが、研究している作家の書簡を見つけ・・・というお話。 現代の研究者の恋愛模様と過去の文学者の恋愛模様が交互に反映されながら、過去の謎が解かれていく・・・というサスペンス風の恋愛小説に思えました。 少し前にリチャード・パワーズ氏の「黄金虫変奏曲」を読みまして、あの作品でも過去と現在の恋模様が交差しながら、様々な現象が描かれていて、この作品からの影響を感じました(単なる偶然かもしれませんが)。 著者のバイアットさんは、小説はまず面白くないといけない、という見識を持ってらっしゃる様ですが、日本の昔の評論家の吉田健一という人も文学は娯楽なので、勉強に使ったり真面目に接する物ではないと持論を持っていて、その理由にシェイクスピアが芝居の台本を書いていた頃、見に来ていた客は文盲の人が多かったという事で、今あまり残っていないシェイクスピアの同僚っぽかったクリストファー・マーロウなんかもそういう台本を書いていたそうで、文学という言葉が日本では荘厳で辛気臭い感じですが、実際はそういう意味だそうで、そういう意味ではこの作品も文学的という言葉が相応しいと思いました。 現代の恋愛と過去の恋愛の諸相が輻輳する作品。是非ご一読を。
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時空を超えた文学というものの意味を改めて考えさせる作品
18世紀の文学を踏まえた恋愛事件と現在のイギリスの学者の状況を往復させて語る、特異なジャンルの文学作品。 18世紀の従来の信仰とそれが醒めかけた間隙を縫って登場した心霊術の扱いには歴史的リアリチーがあり、20世紀後半の文献を巡る金銭と所有権をかけた闘争にはまた近代のリアリチーがある。ゆえに、この200年にまたがる物語には絵空事を超えた真実味がかもし出され、その点、見上げたものである。
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随分以前読んだのだけど
映画も見ました。イギリスの図書館(大英図書館ではないそうだ)の画像が素敵でした。そこで見つかった1枚の手紙が発端。文献学というのでしょうか。それをきっかけに血族と思われる女性研究者のところへ向かう主人公。 フェミニズムがかんできたり,恋愛物語でもあったり(かなり複雑),ともかくどんどん読めてしまいます。 読後感は「やったあ!」という満足。「ああおもしろかった」という満足。
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