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テン・カウント

アニスフィールド=ウルフ賞

テン・カウント

F.X.トゥール

ボクシングの現場を知り尽くした語り手が、リングの内側と外側にいる人々の緊張、誇り、損なわれやすい尊厳を描く短編集。6つの物語を通して、勝敗だけでは測れない闘いの重みが立ち上がる。

ボクシング短編集暴力と尊厳家族周縁に生きる人々

作品情報

リングの熱気と、その周囲にある痛みを同時に描く、鋭く人間味のある短編集。

F.X.トゥールのデビュー短編集。ボクシングの世界で生きるファイター、トレーナー、周辺の人々を、当事者ならではの細部と手触りで描き出す。各話は独立しながらも、リングを取り巻く現実の厳しさと、そこに残る人間らしさを共通の軸として結びついている。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2004-02-18
ページ数
339ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784152085467
ISBN-10
4152085460
価格
4180 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学

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レビュー

  • だが、稀にみる見事な一戦であったと、私は思う。

    状況がどうであれ、過度の暴力には反対だった。それでも彼は、政治家連中に怒りを覚えずにいられなかった。黒人も白人も、正義を声高に叫ぶ連中ーー正義が単なる合言葉のような白人の説得にしろ、黒人の暴力にしろ許しがたいことだった。(「ロープ・バーン」) 本著に収録されているのは以下六篇。プロローグという前書きだろうか、簡単な自己紹介のようなそれを含めるとすれば七篇とはなるが。「モンキー・ルックー猿顔」「ブラック・ジューー黒いユダヤ」「ミリオン・ダラー・ベイビィ」「フィリーでの闘い」「凍らせた水」「ロープ・バーン」。「ミリオン・ダラー・ベイビィ」は #映画 化されている。私は映画は観ていないが、なるほどクリント・イーストウッドが制作したかったことの理解できる佳品。短編であるはずなのに様々なもの(生い立ち、思い等)が圧縮され、それはボクサーとトレーナーとの絆もであり、濃縮されたそれに長編を読んだような思いを起こさせられる。さりながら私が一等好むのは「ロープ・バーン」。「ミリオン・ダラー・ベイビィ」に型としては似ている、というのか同じかもしれない。そこには、本著全篇に通底する人種間の問題が、しるく打ち出されてもいて。これもまた、大長編を読まされたような余韻を覚える。映像化するのであれば、こちらの方がおもしろいと思うのだが、ビジュアルとしても女性が活躍する方が目を惹くし、ヒューマンにしやすいであろうし、ロープ・バーンの方は特別つよく差別問題に切り込んでいるから難しいのかもしれぬ。愕くのは著者が永年ボクシングに携わっていた方で本著が初めてのものであり、最後のものとなったこと。文筆業はおよそ門外漢であったろうに、ここまで陰翳豊かで複雑な味わいの見事なものをなすとは。ボクシングとは知的な行為だということが記されてあり、それもあるだろうし、それだけ深く濃く関わり、とり組んだ証ということなのでは、と私は思った。可能であれば書きつづけてもらいたかったが、詮ないことか。本著だけでも幸いとせねば。著者は本著一冊をのこし、テン・カウントを聞き、立ち上がらなかった。人生というリングの上へとは。だが、稀にみる見事な一戦であったと、私は思う。

  • 面白いが暗くなる・・!?

    短編集ですが、どの物語も面白いです。 スラングや、教育を受けていない人たちの言葉が多々出てくるので、教科書英語にしか慣れていない人には読みづらいかもしれません。 Million Dollar Baby の結末は、自分が予想していたものと全く逆でしたが、ぐいぐいと話に引き込まれます。 自分としては、Rope Burns が一番好きですが、面白い半面、暗くなります。 現実の世界では、こういう事が多々起きているのだと思うと、自分がどれだけ恵まれているか思い知らされます。

  • 愚かな暴力が生み出す悲しみ

    ボクシング小説というのは常に暗い過去と破滅的な結末が同居する。前半の『モンキー・ルック』と『黒いユダヤ』は、ボクシングものにしては珍しく、非常にユーモラス溢れる爽快なストーリーに仕上がってる。前者は、老カットマンがシャブ中のイカれ野郎の陰謀に気付き、まんまと罠にはめる。全く裏切りは裏切りでやり返される典型だ。後者は、咬ませ犬である中堅ボクサーが若きスターファイターを見事に下し、腹黒いプロモーターを見返す。見下す野郎は誰であれ唯じゃ済まない。悪徳プロモーターとの確執もファイトの一部なのだ。 『ミリオンダラー・ベイビー』以降の4作は、全く悲し過ぎる結末だ。『フィリーでの闘い』は、ボクシング内部に奥深く蔓延する腐敗に満ちた世界を描く。『凍らせた水』では、ボクシングというものがタフなハートがなければ、ファイトすらままならないし、ハードな魂があっても、クレバーに振る舞わなければ大怪我をする。この世界は危険すぎるし、特別なのだ。 『ロープ・バーン』はこの本のメインストーリーで、”愚かな暴力とその結末が生み出す悲しみ”を露骨に描く。典型のアメリカ移民の闇の中の葛藤をダイレクトに曝け出す。ボクシング好きには必見だし、スポーツ好きには非常にも残酷にも映るだろう。ま、個人的には、『モンキー・ルック』『凍らせた水』が、浪花節的で情に脆く、印象に残った。全体的にやや暗いかなってとこで星4つ。

  • 大満足のボクシング小説。映画ミリオンダラー・ベイビー原作も

    クリント・イーストウッドが出演、監督などをこなしてゴールデングローブ賞、アカデミー賞で多数ノミネートされている「ミリオンダラー・ベイビー」(Million Dollar Baby)の原作が収録されている、素晴らしいボクシング小説である。 訳者は用語、スラングなどに苦労しながら日本語訳をしたというが、上手に翻訳されており、もちろん、ボクシングをそれほどよく知らない私でもどっぷりと楽しめた。「どっぷり」というのがこの本にはふさわしい。 6編の小説が入っていて、どれもまさに大人の鑑賞に堪えうる本物の世界が描かれている。甘い、子供向けの本ではない。ほろ苦さでとどまる作品もあるが、それはあとで思えばむしろ微笑ましいぐらい。映画化された「ミリオン・ダラー・ベイビィ」も、この中では最も長い「ロープ・バーン」も、強烈な印象を読者に残す。それは、生身の人間、社会環境、個人ではどうにもならない世界をつき付け、読者を戦慄させる。 ただし、読後、その戦慄は感動であることに気付く。そう、私たちはこうした社会で生きている。生きるというのは、こういうことであり、だからこそ、毎日が素晴らしい。 作者は登場してくるいいやつも悪いやつも、完全には見放していない。そしてその中に巻き込まれたとき、私はどう動き、どう感じるか。そのドラマをみごとに描き出している。

  • What makes these six boxing stories so great is their authenticity. F. X. Toole, the pen name of Jerry Boyd, worked for years in the ring as a trainer and cut man. What it takes to be a successful fighter, both mentally and physically, how to inflict damage on an opponent, the shady managers and crooked promoters, all this rings true. "Million Dollar Baby" is the heart wrenching tale of a female fighter, adapted into an award winning movie. "Rope Burns" is a crime story set in Los Angeles during the Rodney King riots, violent and bloody. This is a great collection of boxing and writing skills.

  • Great book. Great writing. I bought 3 paperbacks of this book for gifts after I read this on my Kindle. Every one of these stories can stand alone. The story that inspired the movie "Million Dollar Baby" was good, but many of the other stories are better. If you like boxing, you have to read these stories. If you don't care about boxing, you have to read these stories. If you don't like boxing, then I don't care what you do.

  • Good reading

  • very nice book, i like the very down to the earth language, the poetic way it describes body functions such as breathing under pressure and bleeding. I knew nothing of boxing, but this book made me want to explore it further :)

  • Excellent ! Tout le milieu de la Boxe vu de l'intérieur, avec ses joies et ses drames. On sent que c'est du vécu, pas un roman écrit sur un sujet sur lequel l'auteur s'est documenté. Vraiment une découverte à ne pas laisser passer.

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