アンドリュー・カーネギー成人向けフィクションおよびノンフィクション優秀賞
地下鉄道
コルソン・ホワイトヘッドの長編小説。奴隷の少女コーラが地下鉄道を頼りに南部を逃れ、自由を求める旅の中で暴力と歴史の傷に向き合う。
作品情報
自由を求める逃走劇が、歴史そのものの輪郭を浮かび上がらせる。
コルソン・ホワイトヘッドの長編小説。奴隷の少女コーラが地下鉄道を頼りに南部を逃れ、自由を求める旅の中で暴力と歴史の傷に向き合う。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2017-12-06
- ページ数
- 395ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784152097309
- ISBN-10
- 4152097302
- 価格
- 2530 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/英米文学
ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞、カーネギー・メダル・フォー・フィクション受賞。 19世紀初頭のアメリカ。南部のジョージア州にある農園での奴隷少女コーラは、ある日、自由な北部を目指して農園から逃亡することを決める。轟々たる音を立てて暗い地下を走る鉄道、〈地下鉄道〉に乗って――。しかし彼女の後を、悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた。
1969年ニューヨーク市生まれ。ハーバード大学卒業。1999年にデビュー。第6長篇の本書はピュリッツァー賞、全米図書賞など5つの文学賞を受賞し、注目の若手監督により映像化予定。オバマ大統領が読んだことでも知られた。ニューヨーク在住。いま最も世界から注目されるアメリカ人作家。
レビュー
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アメリカらしい小説だ
タイトルから奇想天外な内容かと思っていたが違った。リアリティのある物語であった。読んでいて、展開はある程度、予想できるが、なんでこうなるんだ!、えぇ!などと、心を締め付けられながら一気に読み終わった。悲しく残酷なテーマだが、アメリカらしくもあり、面白い小説だ。
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最高だが、、、
黒人奴隷少女の悲惨であり力強い逃走劇だが、当時は存在しなかった地下鉄がそこにあったのなら、、、 とても読み応えがあり色々と人間のあり方について考えてしまいます。 ただ、翻訳がとても読みづらい。正直、翻訳がもっと現代的な解釈を持って分かりやすく訳されていれば数倍面白い作品となったのではないかと感じました。別の人の翻訳で改めて読んでみたいと切に感じました。
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アメリカの奴隷制度は長く続いた。
本屋で手に取って最初に読んだ本が「ハーレム・シャッフル」でした。遅ればせながら「地下鉄道」をAmazonで購入し読んで奴隷制度の長い歴史を再度考えさせられました。アメリカはイギリスより奴隷制度の撤廃が遅く、黒人は市民権を勝ち取るために大変でした。優生保護法のように黒人や障碍者が増えないようにした事やアンネのように逃げて屋根裏に身を隠した事など、もしかしたら人間は残虐性を持って歴史を繰り返しているのかも知れません。
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良心的な翻訳。
翻訳が悪いという意見が散見されますが、私の読んだ限り、読者の理解を意識した良心的な翻訳だと思います。 センテンスも長すぎずまとまってますし、直訳調でもない。 すごい良い翻訳ではないかもしれませんが、確実に及第点以上はあります。 翻訳が悪いと言われている方は、具体的に文を提示して、どこが悪いのか明示していただきたいです。 内容は少なからず複雑なので、整理する必要がありますが、複雑で理解できないのを翻訳のせいと責任転嫁しているのでは、と思ってしまいます。 この名作の普及において、根拠なき翻訳へのネガティブな批判が邪魔にならないことを願っています。
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翻訳が今ひとつ
翻訳が今ひとつ。とても読み難かった。解説で補足し内容を理解した。
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問われる正義
これほどまでに黒人が奴隷として(インディアンも)凄惨な弾圧を受けていたとは衝撃だった。 米国では人種差別が今もなお根深い問題として続いている。 アメリカ独立宣言でも聖書でも人は皆平等であるといいながら奴隷は人ではないとしている。 読み始めこそ翻訳のぎこちなさがみられたが総合的に翻訳を感じさせない素晴らしい翻訳であった。 著者は時折 絶妙なタイミングで登場人物の過去を回想させその背景をあぶり出してその人物に立体感と重量感を与えている。エンターテイメント&アドベンチャー的な要素も巧みに盛り込んで読後の暗い絶望だけの印象に終わらせず希望へとつなげている。 恐ろしい本である。 自分がコーラのように壮絶な逃亡を続けられるか 自分が白人であったとしても命がけで家族を巻き添えにしてまでも黒人をかくまえるか 逃げる手助けができるだろうか 首吊り用台車をはずす役を拒めるだろうか 常に自分に問いを突き付けてくる。
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全米を覆うレイシズムへの一撃
すみずみまで丹精で精緻さのみなぎる文章は、時折ハッとするほど美しかったり、唸らされる哲学的な機知に富んでいて、数ページに一度は美しい名文を摂取させてくれる稀有な作品。 だけど自分は、逃げた奴隷とそれを追う賞金稼ぎとのチェイスを期待しちゃって(だって地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)をめぐるロードノヴェルで、奴隷ハンターなんてものも出てくるんですよ!)、文学というよりも映画的なサスペンスドラマとしての期待感を寄せて読んでしまったので、その意味では食い足りなさもあった。あと翻訳の問題ではないと思うのだけれど、あと一言、置いておいてほしい言葉を置いてくれない、がためにリーダビリティが損なわれるという面がしばしばあった。例えば、登場人物のそれぞれが、白人なのか黒人なのか、という点。追跡者のリッジウェイは? 屋根裏に主人公を匿う夫妻は? 旅すがらで出会う人々は? きっちりと読んでいけば描写があるのかと思うが、たびたびあれどっちだっけ?とわからなくなり、それってけっこう明文化しておいてほしいところなので困った。そのあたりを暈かすところに著者の文学的な意図があったのかもしれないが、私にとっては妨げになってしまった。 とはいえ、文章は素晴らしいです。アメリカの裏面史、隠蔽されがちな真実を抉りだす鋭さや強度も申しぶんない。 こうした作品がピュリッツアー賞を受賞するというところが、アメリカという国の真の強靭さを裏打ちしているのだと思う。トランプの時代に文学が浴びせるカウンター、素晴らしく知的でクリティカルで、尊い。
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今年ベスト
文章は淡々として美しく、翻訳もよい。静謐な文章で凄惨な暴力が語られるのは、黒原敏行―コーマック・マッカーシーを思わせる痛快さ。 文体のリズムが良く、翻訳文学ならではの過度にローカライズしすぎないひねりのきいた味わいがある。この訳者にぜひ同じ作者のほかの作品も手掛けてほしい。 特に印象に残った一文を引用します。 「奴隷使役者たちが畑の畝に植えるよう命じたのは海島綿だが、その種のあいだには暴力と死の種も蒔かれ、この作物の成長は早かった。」 あと単なる好みですが、個人的に「洗い熊」という表記を選ぶのがなんだか奇妙でセンスある!と思いました。