アンドリュー・カーネギー成人向けフィクションおよびノンフィクション優秀賞
あんどりゅー・かーねぎー せいじんむけ ふぃくしょん および のんふぃくしょん ゆうしゅうしょう
アメリカ図書館協会 (ALA) が毎年授与する成人向けフィクション・ノンフィクション部門の優秀賞。受賞者各1名に賞金5,000ドルが贈られる。Booklist および参考調査・利用者サービス協会 (RUSA) が共催し、前年にアメリカ国内で出版された最優秀書籍を表彰する。
- 創設年
- 2012
- 主催
- アメリカ図書館協会 (ALA) / Booklist / 参考調査・利用者サービス協会 (RUSA)
- カテゴリー
- ノンフィクション・記録文学
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 1月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
アンドリュー・カーネギー成人向けフィクションおよびノンフィクション優秀賞は2012年に創設され、Carnegie Corporation of New York の支援のもとAmerican Library Association(ALA)により運営される。BooklistおよびReference and User Services Association(RUSA)が共同後援し、7名の選考委員会(チェア、Booklistの編集者/寄稿者3名、RUSA CODES Notable Books Councilの元メンバー3名)が候補作と受賞作を選定する。受賞者は各部門1名で、受賞作はALA年次会議等で発表される。
賞品
- 主賞品
- 各部門の受賞者(フィクション1名、ノンフィクション1名)に$5,000、各部門のファイナリスト2名に$1,500が授与される。
- 賞金
- 5,000 USD
- $1,500(各部門のファイナリスト)
- メダル/表彰および広報露出
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 選考委員会による候補作選出(予備選考) | 7名の選考委員会(チェア1名、Booklistの編集者または寄稿者3名、RUSA CODES Notable Books Councilの元メンバー3名)による予備選考と候補作抽出。 | null | 候補作の抽出は内部で行われ、後にALA/Booklistなどで候補リストが公表される。 |
| ショートリスト(ファイナリスト)選定 | 同じ選考委員会がショートリスト(各部門のファイナリスト)を決定する。 | ファイナリストから受賞者への比率は概ね約33%(通常ファイナリスト3名中1名が受賞) | ショートリストはALAのウェブサイトやプレスリリース、Booklist等で発表される。 |
| 受賞作決定・発表 | 選考委員会が最終決定を行う。 | 各部門1名(ファイナリストから選出) | 受賞者はALA年次会議などのイベントで発表され、プレスリリースで公表される。 |
選考基準
- 成人読者向けのフィクションまたはノンフィクションであること(米国内での出版が対象)
- 文学的価値・執筆の質(文体、構成、表現)
- 独創性および主題の重要性・社会的意義
- ノンフィクションでは調査の正確性と資料の堅牢性
- 全体として読者への影響力と普遍性
応募のヒント
推奨
- 対象年度に米国で出版された成人向け作品であることを確認する。
- 出版社を通じた推薦やALA/Booklistの案内に従う(個人応募は規程を確認)。
- レビューワー向けのプロフェッショナルな見本(ARC)や書誌情報を用意する。
- 原稿・版面の校正を徹底し、著者略歴や推薦コメントを揃える。
注意
- 対象外の部門(児童書など)や対象外の出版年の作品を応募しない。
- 規定に反する形での重複応募や誤った書誌情報を出さない。
- 校正不備や不完全な資料のまま提出しない。
審査員から
- 完成度の高いテキスト(構成、文体、一貫性)を重視する。
- 独創性とテーマの深さ、読者への訴求力が評価される。
- ノンフィクション作品は調査の厳密さと出典管理の確実さが重要。
関連の賞
- Dartmouth Medal(ALA)
- W. Y. Boyd Literary Award for Excellence in Military Fiction(ALA)
- Sophie Brody Award(ALA)
- Stonewall Book Award(ALA)
- Pulitzer Prize for Fiction
- Pulitzer Prize for Nonfiction
- ALA Notable Books
公式情報
https://www.ala.org/carnegie-medals過去の受賞者
2018年に起きたハート一家の悲劇を追いながら、アメリカの児童福祉制度が抱えるゆがみを掘り下げるノンフィクション。家族を引き離す構造、貧困と人種の不均衡、制度の無力さが、個々の証言を通して立ち上がる。
一つの悲劇を追うなかで、家族を分断する制度の歪みが静かに露わになる。
ジャーナリスト兼作家。家族の喪失や児童保護制度による子どもの取り上げといった社会問題を、自身の体験と取材を通じて描くノンフィクションで注目される。
1960年代のメイン州で起きた失踪を起点に、ミクマク族の少年ジョーと、別の場所で育つノーマの視点を交互にたどる小説。喪失、家族の記憶、アイデンティティの回復が、静かに重なり合う。
失われた子どもの記憶と、長い年月をかけて明らかになる家族の秘密が交差する。
作家。先住民コミュニティや家族の記憶を題材にした物語で評価を受ける。土地や季節の営みを織り込みながら個人史と共同体の記憶を描く作風が特徴。
動物ごとの感覚世界の違いを軸に、見えない電場や匂い、音、触覚の広がりをたどる科学読み物。人間中心の感覚の前提を揺さぶり、別の生きものが世界をどう受け取っているかを想像させる。
私たちが見落としている感覚の層へ、動物たちの眼差しを借りて入っていく。
科学ジャーナリスト。動物行動や生態学、微生物学などを一般向けにわかりやすく伝える著作で知られる。本書は動物の感覚世界を豊富な事例で紹介する代表作であり、高く評価された。
いつものプールに通う人々の静かな日常が、ひびの入った水面をきっかけに崩れていく。記憶が薄れていく母と娘の関係を中心に、喪失とケアの痛みを描く小説。
プールのひび割れが、家族の記憶のひび割れへとつながっていく。
日系アメリカ人の小説家。集合的記憶や移民経験、女性の視点を静謐な文体で描く作風で知られる。過去作に続き、本作でも繊細な視点で人々の内面を掘り下げた。
ブラック・パフォーマンスの歴史と個人的記憶を重ねながら、アメリカ文化の中にある表現の力をたどるエッセイ集。断片ごとの観察が、ひとつの大きな文化史としてつながっていく。
表現の一瞬に宿る歴史を、静かに強く読み解く。
詩人、エッセイスト、文化批評家。音楽やパフォーマンス文化に関する深い洞察と鋭い批評で知られる。本作はブラック・パフォーマンスの歴史と意義を再評価するエッセイ集として高く評価された。
中国系アメリカ人の暗殺者 Ming Tsu が、奪われた人生と愛した人を取り戻すために西部を横断する復讐譚。魔術的リアリズムと荒々しい西部劇の感触が、デビュー作の勢いを支えている。
西部劇を、復讐と亡失の物語として組み替えるデビュー長編。
小説家。歴史的素材や移民の経験を大胆に織り込み、復讐や暴力の主題を通して大河的な語りを展開する作品で知られる。本作でAndrew Carnegie Medal(フィクション)を受賞。
鯨を手がかりに海洋と人間の関係、文化史、科学史を横断的に考察するノンフィクション。生態学的視点と文学的考察を融合させ、海に対する人類の理解と倫理を問い直す。
鯨を手がかりに海洋と人間の関係、文化史、科学史を横断的に考察するノンフィクション。
オーストラリアの作家・科学ライター。自然史や人間と動物の関係を深く掘り下げる作品で注目を集める。
1969年のブルックリンを舞台に、銃撃事件をきっかけに交差する住民たちの人生を描く群像劇。ユーモアと同情をもって人種・貧困・赦しを描写し、地域社会の複雑な絆を照らす。
1969年のブルックリンを舞台に、銃撃事件をきっかけに交差する住民たちの人生を描く群像劇。
アメリカの作家でありミュージシャン。地域社会や人間関係を温かみのある筆致で描くことで知られる。
チェルノブイリ原発事故の発生とその背景を詳細に再構成したノンフィクション。技術的要因、人的判断、政治的隠蔽を一次資料と証言で描き出し、事故の全貌を明らかにする。
チェルノブイリ原発事故の発生とその背景を詳細に再構成したノンフィクション。
ジャーナリスト兼作家。調査報道に基づくノンフィクションで、技術史や大規模事故の詳細な再構成を行う。
家族旅行の形を借りて、メキシコと米国の国境で起きる移民問題や子どもの分離を扱う実験的長編。記録と物語の境界を問い、声の多層性と記憶の役割を探る。
家族旅行の形を借りて、メキシコと米国の国境で起きる移民問題や子どもの分離を扱う実験的長編。
メキシコ出身の作家。実験的な語りと社会問題への鋭い関心を持ち、移民や家族を題材にした作品で知られる。
重みのある身体、秘密、依存、家族の関係を軸に、黒人男性として生きることの圧力を率直に掘り下げた回想録。個人的な痛みを社会的な構造へと開いていく。
ひとりの身体に刻まれた記憶から、社会の重力を読み解く。
アメリカの作家。率直な個人的回想を通じて人種や家族、暴力の問題を掘り下げる作風で知られる。
1980年代のシカゴと現代のパリを往還しながら、HIV/AIDS 流行が残した喪失と友情、家族の断絶を描く長編小説。危機の記憶が現在にも影を落とす。
危機の時代とその後をつなぎながら、喪失の時間を見つめる小説。
アメリカの作家。友情や喪失を丁寧に描く作風で知られ、『The Great Believers』はエイズ危機をテーマに高い評価を受けた。
大恐慌期から第二次世界大戦下のブルックリンを舞台に、父の失踪を追うアナ・ケリガンが、海軍工廠で働きながら女性潜水士への道を切り開く歴史小説。港湾の闇社会、家族の沈黙、海への憧れが重なり、戦時下の都市に生きる人々の孤独と自由への希求を描く。
暗い海の底へ潜ることは、アナにとって失われた父と自分自身を探す行為でもあった。
アメリカの小説家。実験的な語りや構成で知られ、歴史と個人の物語を結びつける作品を発表している。
Matthew Desmondによる『Evicted: Poverty and Profit in the American City』。政治やlow-income housingを軸に、evictionまで射程に入れるノンフィクション。
政治のなかで、low-income housingが立ち上がる。
アメリカの社会学者・作家。フィールドワークに基づく都市貧困や住宅問題の研究で知られる。
コルソン・ホワイトヘッドの長編小説。奴隷の少女コーラが地下鉄道を頼りに南部を逃れ、自由を求める旅の中で暴力と歴史の傷に向き合う。
自由を求める逃走劇が、歴史そのものの輪郭を浮かび上がらせる。
アメリカの小説家。人種や歴史をテーマにした作品で知られ、『The Underground Railroad』で国際的な高評価を受けた。
写真家自身の家族史と創作を、写真とともに率直にたどる回想録。
アメリカの写真家。家族写真や風景を通じて記憶や死、時間を題材にした作風で知られる。写真集と回想録を通じて創作の倫理や私生活を語る。
サイゴン陥落後の亡命生活の中で、二重スパイの語り手が忠誠と分裂をめぐって揺れる。
ベトナム系アメリカ人の作家・学者。『The Sympathizer』でピュリッツァー賞を受賞し、戦争・亡命・アイデンティティをテーマにした鋭い語りで注目を集める。
冤罪と不当判決の現場から、米国の刑事司法制度と救済の可能性を描く回想録。
アメリカの弁護士・人権活動家。Equal Justice Initiativeを創設し、死刑や冤罪問題に取り組む。法廷での闘いと活動を通じて刑事司法の不公正を訴える著作で知られる。
第二次世界大戦下のフランスで、盲目の少女とドイツの少年の運命が交差する長編。
アメリカの小説家。繊細な描写と叙情性で知られ、受賞作は戦時下の人間のつながりと希望を描いたことで高い評価を受けた。
セオドア・ルーズベルトとウィリアム・タフトの協力と対立を通じ、20世紀初頭のアメリカ政治とジャーナリズムの役割を描く大著。改革運動や政界の権力構造を史料に基づき克明に分析する。
アメリカの歴史家・伝記作家。大統領や政治史を題材にした著作で知られ、学術的根拠に基づく一般向け史書を多数執筆する。
美術作品と少年の喪失を軸に展開する大河的長篇。博物館での事故で母を失った主人公が、盗まれた名画を巡る出来事を通じて自己と世界の関係を模索する。美術、愛、贖罪が交錯する叙事詩的作品。
アメリカの小説家。長い執筆期間と緻密な構成で知られ、『The Goldfinch』で広く国際的な評価を得た。
写真家エドワード・カーティスの人生と、先住民の文化を撮影によって残そうとした執念をたどるノンフィクション。個人史とアメリカ西部史が重なり合う。
写真の背後に、消えゆく文化を記録しようとした執念がある。
アメリカの作家・ジャーナリスト。歴史や文化を題材とするノンフィクションで知られ、精緻な取材と読みやすい叙述が特徴。
少年デル・パーソンズが家族の銀行強盗とその余波によって故郷を失い、カナダ国境の向こうへと流れ着く物語。暴力、喪失、越境が静かに積み重なる。
一家の犯罪が、少年の人生を境界の向こうへ押し流す。
アメリカの小説家。『Independence Day』でピューリッツァー賞を受賞するなど、家族や個人の弱さを克明に描く作風で知られる。
ロシアの女帝エカチェリーナ2世の生涯を、人物像と帝国の変化の両面から追う伝記。個人の意志と政治の重みが、読みやすい筆致で立ち上がる。
一人の女帝の肖像から、帝国の全体像が見えてくる。
アメリカの歴史作家。ロシア史に関する伝記で知られ、君主の人物像を豊富な史料に基づき丹念に描き出す。
結婚の破綻とアイルランドの景気崩壊が重なり合う中で、ひとりの女性の恋愛と後悔を描く小説。親密な視点から、私的な出来事が社会の変化と響き合う。
恋愛の余韻が、国全体の崩壊と重なっていく。
アイルランドの小説家。2007年に『The Gathering』でブッカー賞を受賞し、家族や個人の内面を鋭く描写する作風で国際的に評価される。