ブラック・ノイズ
ラップを音楽技法だけでなく、都市文化や人種政治と結びついた表現として読み解く批評書。歌詞、映像、インタビューを手がかりに、ヒップホップがどのように社会批評の場をつくるかを検証する。
作品情報
ラップの音と文化を、都市と人種の政治から読み解く。
現代ブラックカルチャーの重要書として読まれてきた一冊で、ラップのリズムや言葉を、都市の現実、メディア表象、政治的緊張の文脈に置いて分析する。日本語版『ブラック・ノイズ』も刊行されており、英語原著と合わせて参照しやすい。
書籍情報
- 出版社
- みすず書房
- 発売日
- 2009-02-21
- ページ数
- 392ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784622074182
- ISBN-10
- 4622074184
- 価格
- 20803 JPY
- カテゴリ
- 本/アート・建築・デザイン/芸術一般/美術史/西洋美術史/キュビスム
1970年代初頭に誕生したラップ・ミュージックは、 音楽の一ジャンルを越えて いまや世界的な文化現象へと変貌した。 ヒップホップ・カルチャーの中核をなす この大衆音楽の背景をはじめて理論化し、 ヒップホップ・カルチャー研究の プロトタイプを作ったのが本書である。 労働市場からの排除、苛烈な取り締まり、 仲間への虚勢、女性の欲望、鬱屈と暴力、 子ども時代の記憶など、 アメリカ社会の周縁から発する声を 生き生きと集結するラップ・ミュージックは、 常に激しい批判の矢面に立ちながら発展を遂げてきた。 過激な歌詞は暴動を扇動するのか。 サンプリングの手法は独創性の欠如ではないか。 大音響の歪んだサウンドは音楽と言えるのか。 ラップは世界的な人気を得て大々的に流通する一方で、 犯罪予備軍の黒人の若者が叫ぶ「雑音」と見なされ、 取り締まりの対象とされてきた。 ローズはラップの文法と その背後にある複雑な力学を緻密に分析し、 ラップの思想性と政治性、音楽としての位置づけ、 社会的な葛藤の渦中から生まれる創造性を 明らかにしていく。 ラップという現象は スラムの犯罪性の表出でもなければ、 ポスト産業社会における音楽の一形態でもない。 それは人種差別と階層格差の只中で対話を続け、 公共領域を創造する表現の戦略なのだ。 本書は社会的・人種的対立に満ち、 矛盾を孕みながら文化を創造する、 ラップ・ミュージックの「ノイズ」を見事に理論化した。
レビュー
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後期資本主義理解のための1冊
ヒップホップ文化が生まれたのは、70年代の脱産業化の果てに荒れ果て、捨て去られたサウスブロンクスだった。黒人ブルーカラーを根絶やしにして、電子金融空間=ウォール街での資本主義生き残りを目指したアメリカ。このアメリカのインナーシティーで、ラップも、グラフィティーもブレイクダンスも生まれた。著者の分析は、バフチンの対話性に基づいたインタテクスチャリティーを、微細に徹底してあぶり出す、秀逸なもの。感じ入りました。