世界・海外・国外の文学賞

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V・S・ナイポール

ヴイ・エス・ナイポール

V. S. Naipaul

プロフィール

性別
男性
生誕
1932-08-17 (チャグアナス, トリニダード・トバゴ)
死没
2018-08-11 (ロンドン, イングランド) 85歳
国籍
トリニダード・トバゴ, イギリス
言語
英語
宗教
ヒンドゥー教(家族の出自)
居住地歴
チャグアナス(幼少期) → ポート・オブ・スペイン(成長期) → オックスフォード(留学) → ロンドン(長年の居住地) → カンパラ(在外研究、在勤期間)

経歴

職業
小説家, 旅行記作家, 随筆家
活動期間
1957年〜2010年
所属
王立アジア協会フェロー(FRAS)
所属団体
王立アジア協会(フェロー)
影響を受けた人物
ジョセフ・コンラッド, 父親(Seepersad Naipaul)による文筆環境
影響を与えた人物
パウル・セロー(Paul Theroux)など同時代の作家, ポストコロニアル文学の世代
ノミネート
1973年 ノーベル文学賞候補(Artur Lundkvist による推薦)

学歴

オックスフォード大学 ユニバーシティ・カレッジ
人文学部(英文学) / 英語学科
学位: BA(セカンドクラス)、B.Litt.(未取得)
期間: 1950–1953
卒業年: 1953
国: イギリス
トリニダード政府奨学金で渡英。B.Litt.は最終的に取得できなかった。

受賞歴

ジョン・ルウェリン・リース賞
1958
対象作品: The Mystic Masseur
主催: John Llewellyn Rhys Prize(運営団体)
結果: 受賞
サマセット・モーム賞
1961
対象作品: Miguel Street
主催: Somerset Maugham Award(運営団体)
結果: 受賞
ブッカー賞
1971
対象作品: In a Free State
主催: Booker Prize(ブッカー賞運営)
結果: 受賞
エルサレム賞
1983
主催: エルサレム賞(授与団体)
結果: 受賞
トリニダード・トバゴ三位一体勲章(Trinity Cross)
1990
主催: トリニダード・トバゴ政府
結果: 受賞
ナイト(ナイト・バチェラー)
1990
主催: 英国王室(New Year Honours)
結果: 叙爵(受章)
ノーベル文学賞
2001
主催: スウェーデン・アカデミー
結果: 受賞

受賞・候補エディション

  1. 受賞作: The Mystic Masseur

    トリニダードを舞台に、平凡な男が宗教的治療師(mystic masseur)として成功し、やがて政治の舞台に登るまでをユーモアと風刺で描く長編。植民地社会の階層や野心を描写する。

    ポスト植民地風刺移民社会階級
  1. 受賞作: Miguel Street

    トリニダードの一角、Miguel Streetの住人たちを描く短篇連作。ユーモアと哀愁を帯びた人物描写で、地域社会の生態と個人の夢や挫折を繊細に映し出す。ナイポール初期の代表作の一つ。

    カリブ海短編連作コミュニティユーモアと哀愁
Hawthornden Prize 1回登壇
  1. 受賞作: Mr Stone and the Knights Companion

    ナイポールの初期作品群に見られる、植民地社会の緊張と個人の孤立を描く物語。文化的摩擦や自己認識の問題を登場人物の内面を通して描写し、皮肉と洞察に富んだ語りで人間の複雑さを浮かび上がらせる。

    植民地主義アイデンティティ文化衝突個人の孤立
ブッカー賞 1回登壇
  1. 受賞作: In a Free State

    V. S. ナイポールの受賞作は、五つの連作を通じて、疎外、断絶、人種的緊張が渦巻く不安定な世界を描く。中心となるアフリカの旅の物語を軸に、自由や移動がむしろ居場所の喪失を深めていく感覚が浮かび上がる。

    自由の名の下で、帰属の不安がいっそう深まっていく。

    400ページ
    植民地独立後の世界疎外人種的緊張亡命暴力連作短篇
  1. 受賞作: India

    V. S. ナイポールがインド各地を訪ねて書いたノンフィクションで、歴史や宗教、社会の複雑な層を鋭く観察する。植民地主義の影響や近代化の矛盾、地域ごとの暮らしを個人的な視点と分析を交えて描き出す。

    インドをめぐる観察と省察が、ひとつの到達点にまとまる。

    521ページ
    旅行記インド歴史ポストコロニアル
  1. 受賞作: A House for Mr Biswas (『ミスター・ビスワスの家』)

    主人公ビスワスが自己の独立と尊厳を求めて家を手に入れようとする物語。植民地主義の残響と移民社会の中で個人が自らの居場所を築く苦闘を描いた代表作。

    主人公ビスワスが自己の独立と尊厳を求めて家を手に入れようとする物語。

    植民地主義アイデンティティ家族移民

作品

代表作

A House for Mr Biswas

1961年 小説(社会小説) 320ページ

トリニダードの小市民的な男ミスター・ビスワスの生涯と自立への希求を描く長編。ユーモアと悲哀を交えた社会描写で広く評価された代表作。

植民地社会自我と自立家族関係

In a Free State

1971年 短編小説集(中編含む) 160ページ

複数の短編とタイトル作の中編を含む作品集。脱植民地化後の混乱と疎外を主題にしており、本作でブッカー賞を受賞。

脱植民地化疎外暴力と不安定さ

A Bend in the River

1979年 小説(ポリティカル・フィクション) 320ページ

アフリカ内陸部の架空の地域を舞台に、独立後の混乱と個人の運命を描く作品。帝国の遺産と新興国家の困難を描写。

帝国の遺産歴史と個人ポストコロニアルの不安

The Enigma of Arrival

1987年 小説(自伝的要素の強い作品) 272ページ

長年の旅と移動、郊外の家での生活を通して作家としての成熟と記憶を描く作品。散文性と哲学的省察が特徴。

記憶旅と到着創作の行為

The Mimic Men

1967年 小説(実験的構成) 208ページ

脱植民地化期の架空の島国を舞台に、政治・個人史・自己欺瞞を交錯させる実験的な小説。

模倣とアイデンティティ政治的幻想記憶の断片化

Miguel Street

1959年 短編集(連作短編) 160ページ

ポート・オブ・スペインの街角を舞台にした連作短編。ユーモアと人間洞察に富んだ若き日の代表作。

コミュニティ成長と喪失コロニアルな生活

The Mystic Masseur

1957年 小説(風刺的) 192ページ

トリニダードの小さな社会を舞台にした風刺的デビュー作。出版により作家としての道が開けた。

ユーモア社会風刺野心と欺瞞

全著作

  • The Mystic Masseur (1957)
  • The Suffrage of Elvira (1958)
  • Miguel Street (1959)
  • A House for Mr Biswas (1961)
  • The Middle Passage (1962)
  • An Area of Darkness (1964)
  • The Mimic Men (1967)
  • In a Free State (1971)
  • A Bend in the River (1979)
  • The Enigma of Arrival (1987)
  • A Way in the World (1994)
  • Half a Life (2001)
  • Magic Seeds (2004)
  • The Masque of Africa (2010)

作風・主題

文体
簡潔で観察的な散文皮肉と冷静な視線ノンフィクションと小説の境界を往復する手法
頻出モチーフ
植民地主義とその遺産移動・旅と疎外個人の記憶と歴史の衝突

健康

  • うつ病/神経症的状態
    1952(大学在学中)
    オックスフォード在学中に一時的な精神不調を経験し、創作や生活に影響を与えた。

評価・遺産

植民地主義の遺産と移民社会を鋭く描いた作家として国際的に評価され、2001年にノーベル文学賞を受賞。一方でアフリカやイスラム世界に関する記述などで論争も招き、複雑な評価を受け続けている。

関連学会

  • 王立アジア協会(フェロー)

大衆文化への影響

  • ポストコロニアル文学の議論や大学の講義で頻繁に引用される存在。
  • 代表作は世界各国で翻訳され、研究対象となっている。

引用

  • かつて北部山脈の麓に湿地があり、土壁の泥小屋には中腹まで湿り気が見えた…今やそこはオランダの景観になっていた…
    出典: The Enigma of Arrival(1987) (1987年)

豆知識

  • 父 Seepersad Naipaul は英語紙の記者で、息子の文学志向に影響を与えた。
  • オックスフォード在学中に精神的に不安定な時期があった。
  • 1990年にナイトに叙され、2001年にノーベル文学賞を受賞した。