社会における個人の自由に関するエルサレム賞
えるされむしょう
社会における個人の自由をテーマとした著作物を書いた作家に2年に1度授与される国際文学賞。エルサレム国際ブックフォーラムの開催にあわせて表彰される。
- Established
- 1963
- Organizer
- Organisers of the Jerusalem International Book Forum
- Category
- Literature and General Literary Arts
- Selection Method
- 推薦
- Target
- Professional
- Frequency
- 2 per year
- Announcement Period
- around May
- Status
- Active
Description
Jerusalem Prize(エルサレム賞)は、社会における個人の自由を扱った作品を発表してきた作家に対して隔年で贈られる国際文学賞で、エルサレム国際ブックフォーラム(旧:エルサレム国際ブックフェア)で授与される。受賞者は通常受賞時にアドレス(講演)を行う。初回は1963年にバートランド・ラッセルが受賞し、賞金は10,000ドルに設定されている。なお2023年は歴史上初めて授与が行われなかった。
Prize
- Main Prize
- Jerusalem Prize for the Freedom of the Individual in Society(社会における個人の自由に関するエルサレム賞)
- Cash Prize
- 10,000 USD
- 受賞式でのアドレス(受賞者による講演)
- 国際的な名誉と注目
- Jerusalem International Book Forumでの招待・参加機会
Selection
Selection Process
| Stage | Judges | Pass Rate | Announcement |
|---|---|---|---|
| 候補選定 | Jerusalem International Book Forumの運営・選考委員会による候補者リスト作成 | null | 非公開(候補は主催側で選定) |
| 最終選考・決定 | 選考委員会(主催者および外部選考委員による判断) | null | Jerusalem International Book Forum開催中に発表 |
Criteria
- 作品が社会における個人の自由を明確に扱っていること
- 文学的価値・表現の完成度
- 国際的影響力や長年にわたる業績
Application Tips
Dos
- この賞は選考(推薦)中心のため、出版社や国際的なフェスティバルでの露出を高める
- 自身の作品が『社会における個人の自由』というテーマにどう寄与しているかを明確にする
- 作品の英訳や国際流通を進め、国際的評価を得る
Don''ts
- 受賞を目的に短期的にテーマをねじ曲げること
- 政治的活動のみを目的として応募・宣伝を行うこと(作品本来の文学性を損なう)
- 経歴や実績の誇張
From Judges
- 主題の普遍性と文学的完成度が重要である
- 長年にわたる一貫したテーマ性や国際的な影響力を重視する
- 翻訳や国際的な読者との接点は評価に寄与することがある
Related Awards
- Nobel Prize in Literature
- Jerusalem International Book Forumでの登壇・参加
- Bernstein Prize
- Bialik Prize
- Brenner Prize
- Sapir Prize
- Prime Minister's Prize for Hebrew Literary Works
Official Resources
https://www.jbookforum.com/jerusalem-prize-winnerPast Winners
2025年の Jerusalem Prize は、Michel Houellebecq の小説、詩、エッセイ、映像作品までまたぐ業績全体に贈られた。人間存在の根本を見据えながら、老い、死、愛、性、そして自由の脆さを、挑発的で明晰な文体で書き続けてきた点が評価された。
現代人の孤立と欲望を、最も直接的な言葉で切り取ってきた作家への賛辞。
フランスの小説家。現代社会や孤独、性、宗教・政治の衝突をテーマにした挑発的な作風で国際的に知られる。代表作に『素粒子』(Les Particules élémentaires)や『服従』(Soumission)などがある。
2021年の Jerusalem Prize は、Julian Barnes の小説、短編、エッセイ、回想録を横断する業績全体に贈られた。記憶や真実の揺らぎ、芸術と言葉のニュアンスを精密に掘り下げる書きぶりが、自由な個人の経験をめぐる文学として評価された。
記憶と真実の揺らぎを、鋭い言葉の感覚で書き継いできた作家への賞。
イギリスの小説家・随筆家。記憶や歴史、道徳的選択をめぐる繊細な作風で知られ、個人の自由と責任を主題にした作品を発表している。
2019年の Jerusalem Prize は、Joyce Carol Oates の五十年以上にわたる膨大な業績全体に贈られた。暴力、悪、自己破壊、家族や社会の圧力を描く幅広い作品群が、鋭い心理描写と神話的な広がりをあわせ持つ文学として評価された。
人間の不安と欲望を、鋭い心理描写と神話的な視野でたどる作家への賛辞。
アメリカの作家。多作で知られ、暴力や道徳的葛藤、社会の暗部を鋭く描く作品群を発表している。
クナウスゴールの業績は、自伝的長編で日常の細部を克明に描写することで自己と自由を徹底的に問い直す点にある。私的経験を詳細に記録することで主体性や責任、言語による自己表現の限界を浮かび上がらせる。
クナウスゴールの業績は、自伝的長編で日常の細部を克明に描写することで自己と自由を徹底的に問い直す点にある。
ノルウェーの作家。自伝的長篇を通じて私的体験を詳細に書き連ねる作風で知られ、個人と自由、記憶の問題を深く掘り下げる。
イスマイル・カダレの文学全体に対して授与された賞で、単一の受賞作を特定する対象ではない。
個別の書籍ではなく、長年にわたる創作活動そのものが評価された。
アルバニア出身の作家。寓話的・象徴的な長篇で全体主義や権力の暴走を描き、歴史と記憶の問題を普遍的な視点で問い続けている。
ムニョス・モリーナの業績は、スペインの歴史と個人の記憶を精緻に織り込みながら、都市と家族を舞台に自由と責任の問題を探る小説群にある。公共性と私的領域の緊張を描いて歴史意識と個人の自由の関係を考察する。
スペインの小説家。歴史と記憶を題材にした作品で知られ、都市と家族の記憶を通じて社会と個人の関係を描く。
マキューアンの業績は、緻密な心理描写と倫理的ジレンマの探求にある。科学、政治、個人的選択が個人の自由と責任に及ぼす影響を題材に、短編・長編を通じて現代社会の良心を問う作品を発表し続けている。
イギリスの小説家。緻密な心理描写と倫理的ジレンマを扱う作品で知られ、個人の自由と責任の問題を繰り返し問い続けている。
村上春樹の作品群は現実と幻想を交錯させ、孤独や他者性、記憶と忘却、個人の選択と自由の問題を描き出す。音楽やポップカルチャーの引用を織り交ぜた語りで日常の裂け目に潜む不条理と解放を表現し、国際的な読者に共鳴を与える。
村上春樹の作品群は現実と幻想を交錯させ、孤独や他者性、記憶と忘却、個人の選択と自由の問題を描き出す。
日本の小説家。現実と幻想を融合させた独特の語りで国際的に知られ、孤独や記憶、日常の裂け目に潜む不条理を描く。
コワカウスキの業績は、マルクス主義と近代思想の批判的検討を通じて思想の自由と個人の尊厳を擁護した点にある。膨大なエッセイと歴史的考察で全体主義とイデオロギーの抑圧を暴き、自由な思考の重要性を理論的に示した。
ポーランドの哲学者・思想史家。マルクス主義に対する批判的検討やイデオロギー批判で知られ、思想の自由の擁護を中心に活動した。
アンチュネスの業績は、ポルトガル社会と個人の心理的軋轢を長大な小説群で描き出す点にある。植民地戦争や社会的混乱に伴うトラウマを背景に、内的独白と断片化された語りで個人の自由と記憶の複雑さを探り、権力と主体性の関係を深く問い続ける。
ポルトガルの小説家。植民地戦争や社会的混乱を背景に、内的独白と断片化された語りを多用する長大な作風で知られる。
ミラーの業績は、個人の良心と社会的圧力の衝突を主題とする戯曲群にあり、アメリカンドリームの挫折や家族関係の崩壊を通じて自由と責任の矛盾を描く。『セールスマンの死』『るつぼ』などで舞台表現を通じて倫理的問題や社会構造を鋭く批判し、現代演劇に大きな影響を与えた。
アメリカの劇作家。社会的圧力と個人の良心の葛藤を描いた戯曲群で知られる。代表作に『セールスマンの死』『るつぼ』があり、戦後演劇に大きな影響を与えた。
芸術を読むときの解釈の過剰を批判し、感受性と形式への注意を促す、スーザン・ソンタグの古典的エッセイ集。
批評のあり方そのものを問い直す、ソンタグ入門の定番。
米国の随筆家・批評家。文化や芸術、政治に関する鋭い分析で知られ、表現の自由や倫理、写真論などの分野で公共的議論に影響を与えた。
消費社会、メディア、死の不安を、大学教授一家の日常に重ねて描く、ドン・デリーロの代表作。
日常の騒音のなかに、現代社会の不安を凝縮した小説。
現代アメリカ文学を代表する作家。消費社会やメディア、テクノロジーが個人の自由やアイデンティティに与える影響を鋭く描き、社会的疎外を主題とする。
強制移送の列車でブーヘンヴァルトへ向かう若いスペイン人の記憶を描く、ホルヘ・セムプルンの自伝的長編。
移送の旅そのものを、記憶と証言の力で文学へ変える。
スペイン出身の作家・脚本家。レジスタンスや強制収容所体験を文学に取り入れ、記憶と歴史、個人の自由と責任をテーマに掘り下げた。フランス語で執筆する作品も多い。
ドミニカ独裁政権の崩壊を、帰郷する女性の記憶と並走させて描く長編。
暴君の時代と、消えない記憶がひとつの物語に重なる。
ペルー出身の小説家・随筆家。独裁や権力の構造、個人の選択と自由を鋭く描き、ラテンアメリカ社会の政治的矛盾を文学的に照射した。2010年にノーベル文学賞を受賞。
聖書のダビデ王の物語を、歴史記述と権力の虚構として読み替える、ステファン・ハイムの代表作。
古代史の語りを通じて、権力が物語をどう作り変えるかを描く。
ドイツ出身の作家。本名ヘルムート・フリーク(Helmut Flieg)。歴史的題材や政治的批評を通じて権力と個人の関係を描き、東西ドイツを含む歴史的文脈で社会批評を展開した。
倫理、責任、自己認識を問い続ける〈パン・コギト〉連作をまとめた、ズビグニェフ・ヘルベルトの代表的詩集。
寓意と現実感を兼ね備えた詩で、考える主体の姿を刻みつける。
ポーランドを代表する詩人。古典的な形式と倫理観を重視し、全体主義や暴力に対する静かな抵抗を詩的に示した。普遍的な人間観を通して自由の問題を探求した。
病的な執着にとらわれた画家の独白を通して、孤独と不信の深淵を描くアルフレド・サバトの心理小説。
一人の視点が世界を閉ざしていく過程を、鋭く不穏に描く。
アルゼンチンの小説家・随筆家。実存主義的観点で個人の孤独や暴力、歴史的記憶を描き、社会的・道徳的な問いを探求した作家である。
辺境の町の判事を通して、帝国の暴力と共犯関係を掘り下げる J・M・クッツェーの代表作。
静かな文章で、植民地支配の残酷さを容赦なく照らす長編。
南アフリカ出身の小説家。アパルトヘイトや権力の抑圧、人間の尊厳を冷徹に描き、倫理と自由をめぐる問いを作品に投影した。2003年にノーベル文学賞を受賞。
クンデラの代表作『存在の耐えられない軽さ』は、歴史的抑圧を背景に個人の選択と愛の重さ・軽さを対比し、自由の意味と政治的責任を哲学的に探る長編である。
チェコ出身の小説家・随筆家。個人と政治、愛と存在の問題を哲学的視点で扱い、自由と選択の意味を問い続けた。フランスで長く活動した。
Jerusalem Prize は単独書籍ではなく、V. S. ナイポールの文学的業績を顕彰する生涯功労の項目。
一冊ではなく、作家の全体像そのものが受賞対象。
トリニダード生まれの小説家・随筆家。植民地主義の遺産や移民体験、文化的疎外を鋭く描き、個人の自由と主体性を問う作品群で国際的評価を得た。
迫害下のメキシコで逃亡を続ける神父を追い、信仰、罪、救済の緊張を描くグレアム・グリーンの代表作。
政治と宗教がぶつかる極限状況のなかで、人間の弱さを見つめる小説。
英国の小説家で、信仰や良心、政治的圧力の中で揺れる人物像を描いた。道徳的ジレンマや責任の問題を通して個人の自由を鋭く描写した作品群で知られる。
自由の価値と政治思想の複雑さを、四つの論考で掘り下げるアイザイア・バーリンの代表作。
自由を単純な理念としてではなく、緊張をはらむ思想史の問題として考えさせる。
思想史と政治哲学の領域で活躍した思想家。自由の多様な概念を精緻に論じ、多元主義や市民的自由の複雑性を提示して政治的・倫理的議論に影響を与えた。
メキシコの歴史と国民性を、孤独、仮面、祝祭のイメージから読み解く、オクタビオ・パスの代表的な随筆集。
詩人としての感性で、ひとつの国の自己像を掘り下げた名著。
メキシコを代表する詩人・随筆家。文化と歴史、個の孤独を詩的かつ批評的に探求し、言語と存在の関係を深く考察した作品で国際的評価を得た。
女性の歴史的位置、身体、労働、愛、結婚、自由を広い視野で検証した、ボーヴォワールの代表的なフェミニズム思想書。
女性の歴史的位置、身体、労働、愛、結婚、自由を広い視野で検証した、ボーヴォワールの代表的なフェミニズム思想書。
実存主義とフェミニズムの重要な論者。『第二の性』を通じて女性の社会的地位や自由の条件を分析し、ジェンダーに基づく抑圧構造の解明を通じて個人の自由の再考を促した。
日常の町が突然〈犀化〉していく不条理を通して、集団同調と権威主義の圧力を描くイヨネスコの代表的戯曲集。
笑いと悪夢が同居する、演劇の不条理を象徴する一冊。
不条理劇を代表する劇作家。日常言語や慣習の崩壊を舞台で示すことで、個人の主体性や社会的規範の矛盾を浮き彫りにし、演劇を通じた社会批評を展開した。
鏡、迷宮、図書館、無限、分岐する時間をめぐる短編群を集めた、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの最重要作品集。
寓話、哲学、幻想をひとつの宇宙に束ねた、ボルヘス文学の入口となる一冊。
アルゼンチンの短篇作家・詩人。迷宮的モチーフや言語への問いかけを通じて現実と虚構、記憶と認識の問題を文学的に探求し、知的想像力に富む短篇群で国際的に高い評価を受けた。
ファシスト体制下のイタリア農村を舞台に、貧困と抑圧のなかで生きる人びとの現実を描く、イグナツィオ・シローネの代表的な反ファシズム小説。
権力に押しつぶされる村の生活を、簡潔で強い筆致で描き出す長編。
イタリアの作家。農村や労働者の生活を通じて権力や抑圧、抵抗を描き、社会的現実と個人の自由の交錯を問い続けた。反ファシズムの立場からの文学的実践が特色。
代表作『最後の正しい人(Le Dernier des Justes)』などでユダヤ人の歴史とホロコーストの記憶、倫理的責任を深く描いた。個人の尊厳と歴史的抑圧からの解放を巡る問いが、自由に関する普遍的な問題提起となっている。
代表作『最後の正しい人(Le Dernier des Justes)』などでユダヤ人の歴史とホロコーストの記憶、倫理的責任を深く描いた。個人の尊厳と歴史的抑圧からの解放を巡る問いが、自由に関する普遍的な問題提起となっている。
フランスの小説家。ユダヤ人の歴史やホロコーストの記憶を主題にした作品で国際的に知られ、倫理と記憶を通じて個人の尊厳や自由を問いかけた。
マックス・フリッシュの小説と戯曲を横断する業績を扱う項目。『スティラー』『ホモ・ファーベル』『Gantenbein』などを代表に、個人のアイデンティティ、責任、社会的疎外を問い続けた作家としてまとめる。
小説と戯曲を横断しながら、個人の自由と社会的制約の緊張を掘り下げた作家の全体像。
スイスの小説家・劇作家。個人のアイデンティティや責任、近代社会における疎外をテーマにした作品で知られ、文学と言語の実験を通じて社会と自由を問い続けた。
論理学・分析哲学の基礎研究とともに、多数の随筆や講演を通じて個人の自由、表現の自由、平和の重要性を訴えた。哲学的厳密さと公共的言説を結びつける著作群が、市民的自由に関する洞察と実践を提示し受賞理由となった。
20世紀を代表する英国の哲学者・論理学者。論理学や分析哲学の基礎研究に加え、政治・社会問題や反戦運動にも積極的に関与し、個人の自由や表現の自由を一貫して擁護した。