世界・海外・国外の文学賞

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W. G. セバルト(ヴィンフリート・ゲオルク・セバルト)

せばると だぶりゅーじー

W. G. Sebarudo (Winfried Georg Sebald)

別名: Max Sebald
ペンネーム: マックス・セバルト私的・友人間で好んで用いた呼称。晩年本人も好んで使用したとされる。

プロフィール

性別
男性
生誕
1944-05-18 (ドイツ、バイエルン州ヴェルタッハ)
死没
2001-12-14 (イングランド、ノーフォーク(ノリッジ近郊)) 57歳
国籍
ドイツ
言語
ドイツ語
居住地歴
ゾントホーフェン(幼年期) → ザンクト・ガレン(短期間) → ノリッジ近郊(在英時代、ウェイモンズハム/ポーリングランド) → ヴェルタッハ(出生地)

経歴

職業
作家, 大学教員(文学)
活動期間
1966年〜2001年
所属
イースト・アングリア大学(UEA), 英国翻訳文学センター(創設者・初代ディレクター)
影響を受けた人物
ホルヘ・ルイス・ボルヘス, トーマス・ベルンハルト, フランツ・カフカ, ウラジーミル・ナボコフ, ゴットフリート・ケラー, アダルベルト・シュティフター, ハインリヒ・フォン・クライスト, ジャン・ポール

学歴

フライブルク大学
独文学・英文学
国: ドイツ
フリブール大学(スイス)
文学
学位: Degree (graduated)
期間: 1964–1965
卒業年: 1965
国: スイス
学位取得(1965年)
イースト・アングリア大学(UEA)
比較文学/英独文学(博士課程)
学位: PhD
期間: 1969–1973
卒業年: 1973
国: イギリス
博士論文:『神話の復興――アルフレッド・デーブリンの小説の研究』
ハンブルク大学
文学(ハビリタツィオン取得)
学位: Habilitation
卒業年: 1986
国: ドイツ
1986年にハビリタツィオン取得

受賞歴

ハインリヒ・ベール賞
1997
主催: ハインリヒ・ベール財団等
結果: 受賞
インディペンデント外国文学賞(Independent Foreign Fiction Prize)
2002
対象作品: 『オースタリッツ』英訳版(Anthea Bell による翻訳)
主催: The Independent(賞組織)
結果: 受賞(英訳版に対して)

受賞・候補エディション

  1. 受賞作: The Rings of Saturn

    イギリス東海岸を歩く旅の記録を軸に、帝国主義の記憶と崩壊の気配をたどる散文。写真、引用、連想が重なり、風景の細部から歴史の重さが立ち上がる。

    歩くたびに、風景の底から歴史の影が立ち上がる。

    289ページ
    帝国主義記憶風景写真
  1. 受賞作: 生涯の業績(記憶と歴史をめぐる散文)

    『リング・オブ・サターン』や『オースタリッツ』など、旅と記憶を交差させる長篇で写真と文章を織り交ぜ、個人的記憶と歴史的事象の関係を探究した作品群が受賞対象。文学的実験と歴史認識への問いかけが評価された。

    記憶歴史散文

作品

代表作

『Schwindel. Gefühle』(英題:Vertigo)

1990年 プローザ(散文/小説的散文) 160ページ

旅行や回想を巡る短い散文集で、記憶と喪失、個人的なエピソードと歴史的断片が交差する。写真が挿入され、事実と虚構が曖昧に重なる作風を示す初期代表作の一つ。

記憶喪失歴史断片
翻訳
  • 英訳:Vertigo(Anthea Bell ほか)

『Die Ausgewanderten』(英題:The Emigrants)

1992年 プローザ(長編・連作) 176ページ

移民や亡命者たちの記憶と喪失を主題とする四編の長めの物語。個人史とヨーロッパ史が交錯し、ナボコフや他の作家への言及が散見される。

亡命記憶ユダヤ人の歴史
翻訳
  • 英訳:The Emigrants(Anthea Bell)

『Die Ringe des Saturn』(英題:The Rings of Saturn)

1995年 旅行記的散文(プローザ) 224ページ

イースト・アングリア地方を歩く旅の記録を起点に、歴史的逸話、自然史、個人的回想が連鎖して展開される。散文と写真が織りなす独特のモノローグ。

衰退歴史の断片化
翻訳
  • 英訳:The Rings of Saturn(Michael Hulse ほか)

『Austerlitz』

2001年 長編(小説/プローザ) 352ページ

記憶喪失の人物オースタリッツを巡る物語。個人の記憶とヨーロッパの虐殺史を織り交ぜ、丁寧な叙述と長い一文、多数の写真で構成された晩年の代表作であり国際的評価を確立した。

記憶ホロコーストの記憶アイデンティティ
翻訳
  • 英訳:Austerlitz(Anthea Bell)

全著作

  • Schwindel. Gefühle(1990)
  • Die Ausgewanderten(1992)
  • Die Ringe des Saturn(1995)
  • Austerlitz(2001)
  • Nach der Natur(1988)〔詩集〕
  • Unerzählt(2003)〔詩集/散文集〕
  • Luftkrieg und Literatur / On the Natural History of Destruction(1999)〔ノンフィクション〕
  • Campo Santo(2003)〔エッセイ集〕
  • A Place in the Country(1998)〔エッセイ集〕

翻案

  • ドキュメンタリー映像:『Patience (After Sebald)』(2011、監督:Grant Gee)

作品の翻訳

  • 『Austerlitz』英訳(Anthea Bell)
  • 『Vertigo』『The Emigrants』『The Rings of Saturn』など英訳多数(Anthea Bell, Michael Hulse ほか)

作風・主題

文体
事実と虚構を織り交ぜるモンタージュ的散文長く装飾的な文体(長文の多用)写真とテキストを対置する手法冷静で乾いたユーモア
頻出モチーフ
記憶と忘却衰退と崩壊旅と地理的記述写真・アーカイブ第二次世界大戦とホロコーストの記憶

健康

  • 先天的心不全(心機能不全)
    生涯を通じて認識していたが晩年に特に悪化
    自己認識として「早く去らねばならない」と語るなど創作と生活に影響。2001年に心臓発作のため運転中に死亡。

評価・遺産

W. G. セバルトは記憶、喪失、歴史の断片と個人的回想を独自の散文で結び付けた作家として国際的な評価を受けた。写真と文章の併置、長文の文体、ホロコーストや近代ヨーロッパ史への独特の位置づけによって、現代文学に強い影響を残した。

関連学会

  • 英国翻訳文学センター(British Centre for Literary Translation)

資料所蔵先

  • イースト・アングリア大学アーカイブ(関連資料所蔵)
  • 英国図書館(所蔵の英訳・資料あり)

大衆文化への影響

  • ヴェルタッハに作られた『セバルトヴェーク(Sebaldweg)』遊歩道
  • UEAキャンパスの『Sebald Copse』(記念樹とベンチ)
  • ドキュメンタリー『Patience (After Sebald)』(2011)

引用

  • 「私はドイツ人によって引き起こされた悲劇を、ただ一度きりの出来事とは見なしていない。それはヨーロッパの歴史から一定の論理で発展し、やがてヨーロッパ史に食い込んだのだ。」
    出典: 対話集『Auf ungeheuer dünnem Eis. Gespräche 1971 bis 2001』(抜粋) (2011年)

豆知識

  • 本人は私的には「マックス・セバルト」を好んで用いたとされる。
  • 『Austerlitz』の刊行(2001年)は国際的評価を決定づけた。
  • 晩年、先天的な心臓の問題を抱えており、2001年に心臓発作により他界した。
  • 作品中に黒白写真を配し、事実と虚構の境界を曖昧にする手法で知られる。