-
第29回(1948年) 受賞受賞作: The Age of Anxiety
『The Age of Anxiety』は6部構成の長編詩で、戦後の不安や孤独、アイデンティティの喪失を都市的舞台のもとに描く。対話的・叙事的な要素とモダンな詩的実験を通じて、時代の精神を探る野心的な作品である。
不安都市戦後アイデンティティモダニズム
W. H. Auden(W・H・オーデン)
だぶりゅー・えいち・おーでん
W. H. Auden
プロフィール
- 性別
- 男性
- 生誕
- 1907-02-21 (イングランド・ヨーク)
- 死没
- 1973-09-29 (オーストリア・ウィーン) 66歳
- 国籍
- イギリス, アメリカ合衆国
- 言語
- 英語
- 宗教
- 聖公会(アングロ・カトリック的影響)
- 居住地歴
- ヨーク(生誕) → ソリハル(バーミンガム近郊)で成長 → ロンドン/イングランド各地(学生・職歴) → ベルリン(1928–1929) → ニューヨーク・ブルックリン(1940年代以降、冬季) → イタリア・イシュキア(夏季滞在、1948–1957) → キルシュテッテン(オーストリア、夏季滞在) → オックスフォード(晩年、一時)
経歴
- 職業
- 詩人, 劇作家, 評論家・随筆家, リブレット作者, 大学講師・教授, 編集者
- 活動期間
- 1922年〜1973年
- 影響を受けた人物
- T. S. エリオット, ダンテ, ウィリアム・ワーズワース, トーマス・ハーディ, J. R. R. トールキン(古英語・北欧伝承への関心を深めた), キェルケゴール、ライネホルド・ニーバー(宗教的・倫理的思想)
- 影響を与えた人物
- ジョセフ・ブロツキー(評価者としての支持), ジョン・アッシュベリー, ジェームズ・メリル, アンソニー・ヘクト, マクシン・クミン
- ノミネート
- 1963年 ノーベル文学賞候補(スウェーデン王立アカデミーに委員会が推薦), 1964年・1965年 ノーベル文学賞候補として複数回推薦
学歴
| 学校 | 学部 | 学科 | 学位 | 期間 | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| オックスフォード大学 クライスト・チャーチ | 生命科学(奨学金)→ 英文学に専攻変更 | 英文学 | MA (Oxon) / BA (third-class) 相当 | 1925–1928 | イギリス |
受賞歴
| 年 | 賞名 | 対象作品 | 部門 | 主催 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1948 | ピューリッツァー賞(詩) | 『不安の時代』 (詩集/長詩) | — | ピューリッツァー委員会 | 受賞 |
| 1956 | ナショナル・ブック・アワード(詩) | 『アキレスの盾』 | — | ナショナル・ブック財団 | 受賞 |
| 1957 | フェルトリネッリ賞(Premio Feltrinelli) | — | — | イタリア国際学術財団 | 受賞 |
| 1942 | グッゲンハイム・フェローシップ | — | — | グッゲンハイム財団 | 受賞(取得したが一部は使用せず) |
受賞・候補エディション
-
第6回(1953年) 受賞受賞作: 生涯業績
政治・倫理・個人の葛藤などを主題に、多様な形式と豊かな比喩を用いて現代性を問う作品群が評価された。長短さまざまな作品を通じて人間と共同体の問題を探求した。
政治倫理個人と社会哲学
-
第2回(1966年) 受賞受賞作: The Age of Anxiety
戦後の不安と個人の内的葛藤を描いた長詩。都会化や孤独、精神的な不安を多声的な語りと哲学的省察で表現し、近代人のアイデンティティを問う作品。
不安社会批評近代人存在
-
第7回(1968年) 受賞受賞作: 詩作全体(生涯の業績)
政治的・道徳的主題を含む幅広い題材を技巧的に扱い、形式的熟練と思想的深さを兼ね備えた詩を発表した。英米双方の詩壇に影響を与え、20世紀の政治詩や倫理詩の重要な担い手となった。
政治倫理愛社会批評
-
第4回(1970年) 受賞受賞作: 生涯の業績(詩作)
W・H・オーデンの受賞は、その卓越した詩作と批評活動に対する顕彰である。抒情と思想を融合した作品群は広範な文化的影響を生み、社会や宗教を巡る洞察を詩に刻んだ点が評価された。
詩近代文学社会批評
-
第6回(1971年) 受賞受賞作: 生涯業績(Golden Wreath受賞)
本賞はオーデンの生涯にわたる詩作を称えるものである。彼の作品は形式の精緻さと倫理的・政治的な問題意識、個人的な感情表現の統合によって英語詩に大きな影響を与えた。
政治道徳個人と社会形式主義
作品
代表作
Poems
1930年 詩集初期の詩集。学校時代からの詩や短い劇詩を含む。Audenが広く注目されるきっかけとなった。
Another Time(『別の時』)
1940年 詩集『Funeral Blues』などを含む詩集。1930年代末からアメリカ移住直後にかけての作品を収める。
- [映画(抜粋の朗読)] 『フォー・ウェディングス…』での『Funeral Blues』朗読 / Mike Newell (1994)
- 『Another Time』(一部詩の邦訳あり)
The Age of Anxiety(『不安の時代』)
1947年 長詩 / バロック的エクローグ長編詩。戦後の「不安」を主題とする作品で、1948年にピューリッツァー賞を受賞した。
- [交響曲(音楽)] バーンスタイン:交響曲第2番『不安の時代』 / Leonard Bernstein (作曲) (1949)
- 『不安の時代』邦訳(長詩の日本語訳あり)
The Shield of Achilles(『アキレスの盾』)
1955年 詩集『Horae Canonicae』や自然と歴史に関する詩を含む中期の代表作。1956年にナショナル・ブック・アワード受賞。
About the House(『家について』)
1965年 詩集オーストリアのキルシュテッテンの家を題材にした詩群『Thanksgiving for a Habitat』を含む。
Epistle to a Godson(『ゴドソンへの書簡』)
1972年 詩集(晩年)晩年の詩集。言語・老い・宗教的主題に関する反省的な作品を収める。
全著作
- Poems (1930)
- The Orators (1932)
- Letters from Iceland (1937)
- Another Time (1940)
- The Age of Anxiety (1947)
- The Shield of Achilles (1955)
- About the House (1965)
- Epistle to a Godson (1972)
- Thank You, Fog (遺作, 1974)
翻案
- 映画『フォー・ウェディングス…』での詩の朗読(『Funeral Blues』の使用により詩の一般認知が向上)
- ストラヴィンスキー『The Rake's Progress』(台本協力)
- バーンスタイン:交響曲第2番『The Age of Anxiety』
作家による翻訳
- 『エッダ古詩』英訳(1969)
作品の翻訳
- 『不安の時代』邦訳あり
- 『Funeral Blues』等の詩は多数の言語に翻訳
作風・主題
- 文体
- 形式の多様性(叙情詩から長詩、叙事詩的形式まで)高度な技術性と技巧皮肉・アイロニーを用いる文体晩年は音節詩(シラビック・ヴァース)や短詩に傾注
- 頻出モチーフ
- 愛と喪失政治と公共性宗教的・倫理的問い風景(ペナイン、アイスランドなど)時間と歴史住まい・居場所
評価・遺産
20世紀英語詩を代表する詩人の一人として評価される。1930年代の政治的詩から宗教的テーマを扱う中期・晩年の詩まで幅広く影響力があり、『Funeral Blues』の映画使用などで一般的知名度も高まった。生前・死後ともに学術的評価と大衆的評価の双方を獲得している。
記念館・博物館
- キルシュテッテンのオーデンの家(要事前問合せで閲覧可) オーストリア・キルシュテッテン
- ウェストミンスター寺院(記念石) ロンドン 1974年開館
関連学会
- W. H. Auden Society(オーデン協会)
資料所蔵先
- ブリティッシュ・ライブラリー所蔵コレクション(資料あり)
- Auden Musulin Papers(オーストリア デジタル・エディション)
大衆文化への影響
- 映画『フォー・ウェディングス…』での『Funeral Blues』朗読により広く知られるようになった。
- 『September 1, 1939』は9.11後に再び広く引用・放送された。
引用
-
もし等しい愛があり得ないのなら、より愛する者になろう。
出典: 詩『The More Loving One』の一節
豆知識
- 1935年にエリカ・マンと便宜結婚を行った(ナチスを逃れるため)。
- 1946年にアメリカの市民権を取得し、イギリス籍を保持した(二重国籍)。
- 1973年にウィーンで詩の朗読会の後に心不全で急逝した。