エル・シッド: 中世スペインの英雄 (叢書・ウニベルシタス 558)
11世紀カスティーリャの伝説的な戦士エル・シッド(ロドリーゴ・ディアス)の生涯を、神話と歴史的事実の間で丹念に読み解いた伝記的研究。史料を精査することで、敬虔なキリスト教の国民的英雄という通説的イメージを批判的に検討し、イスラム君主に傭兵として仕えた複雑な歴史上の人物像を明らかにする。中世スペインの政治・宗教・文化の動乱を背景に、英雄伝説がいかに形成されたかを解き明かす一冊。
作品情報
神話と伝説に覆われた英雄の歴史的実像に迫り、レコンキスタを生きた一人の人間の姿を鮮やかに描き出す。
スペインの国民的英雄エル・シッドは、イスラム勢力からキリスト教世界を守った無敵の騎士として語り継がれてきた。しかし著者リチャード・フレッチャーは、一次史料を丹念に読み解くことで、その伝説的イメージが11世紀の現実とはかけ離れていることを示す。歴史上のロドリーゴ・ディアスは、敵味方を問わずイスラム君主の傭兵として活動し、5年間にわたりムスリム君主のもとでキリスト教徒と戦った人物であった。本書は、英雄神話の誕生と変容をたどりながら、十字軍前夜の中世スペインがいかに複雑な文明の交差点であったかを鮮やかに描き出す。LA タイムズ図書賞受賞作。
レビュー要約
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概ね好評。前半がエル・シッドの時代背景の解説に多くのページを割くため、伝記としての読み応えを期待する読者には回りくどく感じられることもある。一方、後半でエル・シッドの実像に迫る部分は読みやすく、日本語でこの人物を知るうえで他に代え難い書として評価されている。
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英語圏の読者からは、史料批判の厳密さと明快な文体が高く評価されている。史料分析の比重が大きく、伝記的な叙述に比べると学術的な部分が目立つという指摘もあるが、中世スペイン史の入門書としての価値は広く認められている。
書籍情報
- 出版社
- 法政大学出版局
- 発売日
- 1997-03-01
- ページ数
- 395ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784588005589
- ISBN-10
- 4588005588
- 価格
- 2899 JPY
- カテゴリ
- 本/ノンフィクション/歴史・地理・旅行記/歴史/西洋史
イスラム諸国家を相手にレコンキスタ(国土回復運動)を遂行したとされる中世スペインの英雄エル・シッド――神話と伝説に覆われたその歴史的実像を明らかにする。
レビュー
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英雄の冒険奇譚だと思って読むと心が折れます。
所謂ターイファ諸国の時代をエル・シッドを通して解説した書。この時代はキリスト教国とイスラム教国が相まみえた時代なので、とても複雑。登場人物や国家、その関係も複雑で「こいつ誰だっけ?」中華の三国志並に多いので、心して読まないと心が折れます。が、他に例をみない好著であると思います。
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ロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール
日本でエル・シッドを知るならこの本を読むに如くはない。 ピダルの名著『エル・シッド・カンペアドル』のシッドはまるで無謬の英雄のように描写されていたが、この本はピダルに尊敬を捧げながらも批判を加え、英雄視を抑えて冷静な筆致でエル・シッドの生涯とその時代を描写している。 前後を知るためにレコンキスタに関する本を併せて読むといいのではないだろうか。
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不毛な前半と本題の後半
本のタイトルはエルシッド。 しかし彼について記されるのは後半1/2のみ。 前半180ページは、彼と同時代の詩人の作品を紹介してみたり、食事や収入、文化、宗教を延々と述べたりなど、 話があまりに飛び飛びで全く頭に入ってこない。 個人名をタイトルに掲げた本でよくここまで本筋と関係の薄い話を続けられるのか不思議である。 一方、エルシッドに焦点を当てた後半はわかりやすく、かつ読んでいて面白い。後半だけで定価の価値はある。 上記より、前半星一つ、後半星五つの平均値で星三つとした。