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私たちにできたこと 難民になったベトナムの少女とその家族の物語

アメリカン・ブック・アワード

私たちにできたこと 難民になったベトナムの少女とその家族の物語

Thi Bui

ベトナム戦争と難民としての移住を、家族の記憶からたどるグラフィック・メモワール。出産を機に親の過去へ向き合う語り手が、家族史、喪失、移民としての居場所を静かに描き出す。

ベトナム難民家族史グラフィックメモワール移民

作品情報

家族の沈黙をたどる線が、難民として生き延びた時間を浮かび上がらせる。

個人的な家族史を、戦争、亡命、母娘関係の記憶と重ねるノンフィクション・グラフィックノベル。日本語版も刊行されている。

レビュー要約

  • 絵と言葉の抑制された力、家族の記憶をたどる誠実さが高く評価されている。歴史を個人の身体感覚に引き寄せる点が強い読後感を残す。

書籍情報

出版社
フィルムアート社
発売日
2020-12-15
ページ数
352ページ
言語
日本語
サイズ
17 x 2.6 x 22.9 cm
ISBN-13
9784845919260
ISBN-10
4845919265
価格
3960 JPY
カテゴリ
本/ノンフィクション/歴史・地理・旅行記

第25回 文化庁メディア芸術祭 マンガ部門優秀賞受賞!! 親を愛することは、こんなにも簡単なのに どうしてこれほどまでに難しいのだろう? ボートピープルとしてアメリカで育った少女ティー・ブイ。 母になった彼女は、両親との溝を埋めるため、祖国ベトナムと再び出会う。 それは、両親の苦悩や痛みと向き合うことでもあった…… 「分断」の時代に生きる私たちを照らすノンフィクション・グラフィックノベル。 ビル・ゲイツが年間ベスト・ブックに選出 アメリカン・ブック・アワード受賞 ベトナム系アメリカ人であるティー・ブイは、母になった。アメリカで新しく家族を築いていくこと、そして子供を育てるという不安の中で、彼女は心が離れてしまった両親と向き合う決意を固める。 フランス、日本、アメリカ……さまざまな国に占領され、貧困と混乱が続いたベトナムを生き抜いてきた両親とその家族。「自分たちの人生を歩んでいきたい」という思いから難民になることを選んだ両親は、新天地アメリカで差別や思い通りにならない現実を前にしながらも、子供たちのために自分たちができる精一杯のことを行なっていく。 歴史に翻弄された両親の歩みにふれることで、ティー・ブイの中に変化が生まれていく……。 作者のティー・ブイが、2002年に制作した自身の家族のオーラル・ヒストリーが出発点となった本作は、5世代にわたるベトナム人家族の歩みを描いたノンフィクション・グラフィックノベルである。 第二次世界大戦や第一次インドシナ戦争、ベトナム戦争といった大きな歴史の中で、難民になりながらも必死に生き抜こうとする小さな家族の姿を、独特な絵や色彩、個性的なコマ割り、練られたモノローグによって描き出している。 ティー・ブイはデビュー作となる本作によって、アメリカン・ブック・アワードを受賞。ほかに全米批評家協会賞やアイズナー賞にノミネートされるなど高く評価された。 過酷な歴史に翻弄される個人を描いたノンフィクションである本作。『マウス――アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語』や『ペルセポリス』といった優れた自伝的作品と同様、個人的だからこそ普遍的な物語が紡がれている。 なお、日本版には神田外語大学アジア言語学科ベトナム語専攻の教授を務める岩井美佐紀の解説小冊子付き。 【現地書評で大絶賛!!】 言葉のみで表すのが難しい感情を伝える複雑な物語。その物語を独創的に語るという点において、『私たちにできたこと』はマンガとして最良の本である。これはまさに今、広く共有されるべき物語だ。 ――雑誌『ブックリスト』 激しく心揺さぶられる覚悟で読んでほしい。円環する物語と示唆に富む描写に、満足のいく読後感を得られるだろう。10代と大人にお薦め。読者会に最適な1冊。 ――雑誌『ライブラリー・ジャーナル』 ブイは戦争の“鉄"を苦闘の末“金"に変えた。喜劇と悲劇、家族の愛と崩壊が混在する中に、彼女は美を見出している。 ――雑誌『パブリッシャーズ・ウィークリー』 魅力的なストーリーに息を呑むほど優美な絵、そして繊細な色使いと表情豊かに美しく描かれたキャラクターが、この作品を特別なものにしている。 ――雑誌『スクール・ライブラリー・ジャーナル』 視覚的に刺激的、そして感動的な作者個人の物語と、難民としての経験への洞察が、波乱に富んだベトナムの歴史と共に描かれている。 ――ニュースレター『シェルフ・アウェアネス』 この本は美しい。複数の国、国境、そして世代を超えたひとつの家族のそれぞれの人生の歴史を描きながら、私的で瞑想的であり、かつとても有益である。 ――Webサイト『ボーイング・ボーイング』 ブイのミニマリスト的なアプローチは、彼女の家族が経験した移民としての厳しい現実から読者の目を逸らせることはない。しかし、同時に、すべての家族が経験する普遍的な苦難や喜びを見逃すことも許さない。マルジャン・サトラピの『ペルセポリス』のファンは、現代的テーマを持つ本作も読んだほうがいい。 ――雑誌『ブックページ』 ブイはこの本に何年も取り組んでいたが、その出版は、今日の渡航禁止令や増大する難民危機のただ中では、切迫した必要性が感じられる。 ――新聞『ボストン・グローブ』 『私たちにできたこと』は感動的な回想録であり、トランプ時代の外国嫌いを中和する作用がある。 ――Webサイト『コミックス・ブルティン』 『私たちにできたこと』は、豊かで複雑なテーマを持ち、悲哀と希望、個人と政治、家族と国家を絡み合せて描いた。重要で思慮深く、愛すべき本である。 ――雑誌『コミックス・ジャーナル』 タイムリーで、心を打つ。 ――雑誌『エンターテインメント・ウィークリー』 アメリカにおける現代の移民体験に向けられた力強く本質的なまなざし。 ――オンラインマガジン『ICv2』 ベトナム戦争の歴史とその戦争の及んだ範囲をより多く理解したいなら、そして過去移民たちが何に耐え、かつ今何に耐え続けているのかをより多く理解したいなら、これ以上の本はない。 ――新聞『スター・トリビューン』 ブイは、歴史的、政治的な物語を個人的なサーガへと編み込んだ。世代から世代へと続く怖れと哀しみと希望の糸を辿ることによって、ブイはあらゆるところに存している難民の人生に説得力のある背景を与えている。 ――雑誌『ニューヨーク・タイムス・ブックレビュー』 アート・スピーゲルマンの傑作『マウス』のように、ブイの回顧録は、ペンとインクで描かれた素朴な絵から複雑な感情を導き出す。 ――新聞『サンフランシスコ・クロニクル』 見事に作られた作品。 ――オンラインマガジン『ティーン・ヴォーク』 ブイが『私たちにできたこと』を2005年に取り組み始めた時、彼女は2017年に本作が出版された時に持つ重要性を予見することはできなかっただろう。しかし、既に出版された今、この本はトランプ時代における社会的テーマを持ったマンガの初期の偉大な1冊であると思う。ブイは、知的に入念で、なおかつ視覚的に魅力的な繊細な物語として、このサーガを作り上げた。 ――Webサイト『ヴァルチャー』 ティー・ブイは素晴らしい手際でストーリーと絵を操り、戦争がもたらすもの、そして世代から世代へと受け継がれるものを描き出した。『私たちにできたこと』は、マルジャン・サトラピが『ペルセポリス』でイランに行ったように、ベトナムに対しても敬意をもってその姿を描き出している。 ――マキシーン・ホンキングストン(作家/『チャイナ・メン』『The Fifth Book of Peace(未)』) ブイの本に私は息を呑んだ。難民危機が続く今こそ、このメッセージが必要なのだ。 ――クレイグ・トンプソン(グラフィックノベル作家/『ハビビ』『Blankets(未)』) 圧倒的で光輝いている。 ――トム・ハート(グラフィックノベル作家/『Rosalie Lightning: A Graphic Memoir(未)』『The Art of the Graphic Memoir: Tell Your Story, Change Your Life(未)』作者) 人間の経験が詳細に、そして広範囲に渡って描かれる。『私たちにできたこと』に私は泣かされた。 ――リーラ・コーマン(グラフィックノベル作家/『Queen's Day(未)』『Unterzakhn(未)』) ブイの回顧録は、ベトナムの動乱の歴史を背景に、彼女自身の家族の経験を、戦争、貧困、混乱という、更に大きな文脈の中で描く。同時に、その後の日常生活にこれらの重い出来事がどのように影響するかも伝えている。 ――セシリー・ウォン(作家/『Diamond Heat:A Novel(未)』) ブイは一筆も間違えることなく何千ものコマを使い、大陸をまたがって3世代に渡るひとつの家族の肖像を描き出した。『私たちにできたこと』ほど優れたマンガはほとんどない。 ――ジェイク・ワイアット(グラフィックノベル作家、アニメーション作家/『Ms.マーベル――スマホ世代とか言われても』『Necropolis(未)』) 両親の歴史の影のもとで母親になることを考察した本作は、未来を描くために過去を描く作者自身の物語である。親になった子供である私にとっても、これは次の世代に引継ぐべきものについての、情緒的で内省的で教訓的な物語だ。 ――G・B・トラン(グラフィックノベル作家/『Vietnamerica: A Family's Journey(未)』) 『私たちにできたこと』は教えてくれる。どうやって、恐怖に「ノー」と言い、真実に「イエス」と言えばいいかを。 ――フェイ・ミエン・イン(作家/『骨』『Toward Rock(未)』) 『私たちにできたこと』は、戦争の記憶を覆う壊死した皮膚を焼き払い、その皮膚の下にあるものを明らかにする。それは、別の種類の戦争についての物語―母親、父親、息子、娘についての残酷なまでに私的であり、私的なまでに残酷な物語を表す生の肉―である。絶対読むべき本。 ――ローレンス・ミン・ビュイ・デイビス(雑誌『Asian American Literary Review』チーフ・エディター、スミソニアン・アジア・パシフィック・アメリカン・センター学芸員) これはとても個人的な物語だ。しかし、多くの点で普遍的であり、私たちの多くが感情移入できる、慣れ親しんだ喜びと苦しみで満ちている。 ――ペン・アメリカ(団体)

ティー・ブイ(Thi Bui) グラフィックノベル作家。1975年、南ベトナム生まれ。1978年、難民としてアメリカに移住。バード大学大学院にて彫刻、ニューヨーク大学大学院にて美術教育を学ぶ。大学院時代にオーラル・ヒストリーに関心を持ち、自身の家族の記憶をテーマにしたプロジェクトを始動。家族の軌跡を表現するのはグラフィック・ノベルが最適と考え、2005年より制作を開始し、2017年ついに『私たちにできたこと——難民になったベトナムの少女とその家族の物語』を刊行する。ティー・ブイはデビュー作となる本作によって、アメリカン・ブック・アワードを受賞。ほかに全米批評家協会賞やアイズナー賞にノミネートされるなど高く評価された。共著に『A Different Pond』(Raintree)、『Chicken of the Sea』(McSweeneys Books)がある。 椎名ゆかり(しいな ゆかり) 海外マンガ翻訳者。ボーリンググリーン州立大学大学院ポピュラーカルチャー専攻修士課程修了。海外マンガやマンガを対象にした論文の翻訳のほか、海外におけるマンガの状況についての紹介活動なども行なっている。主な訳書には『マンガ学——マンガによるマンガのためのマンガ理論 完全新訳版』(復刊ドットコム)、『アメリカン・ボーン・チャイニーズ——アメリカ生まれの中国人』(花伝社)、『ナンシー——いいね!が欲しくてたまらない私たちの日々』(DU BOOKS)、『ファン・ホーム——ある家族の悲喜劇 新装版』(小学館集英社プロダクション)などがある。

レビュー

  • 「ベトナム難民」とは何か?がマンガでよくわかる

    アメリカのマンガなので癖のある絵ですが、内容がしっかりしているので気にならなくなります。 ボートピープルとしてサイゴン(今のホーチミン市)からアメリカに渡った著者の自伝ですので、作り物にはないリアルな表現が「虐げられた側の視点」として、いつものベトナム共産党側からの視点とは違う歴史を教えてくれます。 例えば、日本の北海道がある日、過激な共産主義者にが政権を奪われ、徐々に徐々に自分の住んでいる街に迫ってきて、資産からなにから没収される、ということが起きたら自分も国外へ脱出するのかなぁ、、とか妄想してしまいました。

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