ロサンゼルス・タイムズ ブック賞 ろさんぜるす・たいむず ぶっくしょう
第38回(2017年)
受賞者
13名ニューヨークを舞台にした短篇集。移民家庭の若者たちが直面する孤独や欲望を率直かつ鮮烈な文体で描き出す。
ニューヨークを舞台にした短篇集。
中国系アメリカ人の作家。短編やエッセイで若者の感情と文化を描く。
Laura Dassow Walls の『Henry David Thoreau: A Life』は、ソローの生涯と思想を自然主義や科学史の文脈から捉え直す伝記である。従来像よりも幅広い知的活動を示し、作家・思想家・自然観察者としての姿を立体的に描く。
ソローを、自然主義と思想史の両面から読み直す伝記。
思想史や伝記研究を行う学者・作家。哲学者や思想家の生涯研究で知られる。
Benjamin Taylor の『The Hue and Cry at Our House: A Year Remembered』は、ケネディ暗殺前後の一年を軸に、家族と個人的記憶をたどる回想録である。少年時代の体験を起点に、家庭、喪失、時代の空気が静かに重ねられていく。
ケネディ暗殺前後の一年をたどる回想録。
回想録や随想を手がける作家。個人的・文化的記憶を掘り下げる作品で評価される。
Nancy MacLean の『Democracy in Chains』は、急進的な自由市場思想がアメリカ政治に及ぼした影響をたどる研究書である。民主主義、資本主義、政策形成の関係を、歴史的な深さをもって検証している。
急進的な自由市場思想が民主主義に与えた影響を追う研究書。
現代アメリカの政治史や思想史を研究する学者。政治運動の構図を明らかにする著作で評価される。
Mohsin Hamid の『Exit West』は、戦火に包まれた都市からの脱出をめぐる寓話的な長編小説である。魔法の扉という幻想的な設定を使いながら、移民、避難、そして愛と共同体の変化を描く。
魔法の扉を通って避難する人々を描く寓話的長編。
パキスタン系イギリス人の小説家。移民や国際的テーマを扱う作品で知られる。
Leslie Stein の『Present』は、ニューヨークの街と記憶をたどるリリカルなグラフィック作品である。夜のバーテンダーの現在と、若い頃の記憶が重なり、日常の瞬間が柔らかくつながっていく。
街と記憶をたどるリリカルなグラフィック作品。
図像的詩情を持つ独立系漫画家。静謐な表現で個人の心情を描く。
Dan Egan の『The Death and Life of the Great Lakes』は、五大湖の環境史とその危機を追うノンフィクションである。外来種、汚染、開発政策の影響をたどりながら、水系の未来を考えさせる。
五大湖の環境史と危機を追うノンフィクション。
環境報道を手掛けるジャーナリスト。水資源や生態系に関する著作で知られる。
Joyce Carol Oates の『A Book of American Martyrs』は、宗教と政治が絡む暴力をめぐる長編小説である。対立する二つの家族を通じて、信念が衝突するアメリカ社会の断層を描き出す。
宗教と政治の暴力をめぐる二つの家族の物語。
多作なアメリカの作家。暴力や文化的衝突を描く力作で知られる。
Patricia Smith の『Incendiary Art: Poems』は、歴史的暴力と個人的な喪失を鋭く見つめる詩集である。黒人男性の身体への暴力や母たちの悲嘆を、多彩な形式と強い言葉で焼きつける。
歴史的暴力と喪失を焼きつける詩集。
パフォーマンス性をもつ詩作で知られる詩人。歴史と個人の交差を表現する。
Robert Sapolsky の『Behave』は、人間行動の生物学的基盤を幅広く探る大著である。ホルモン、脳、進化、社会環境をつなぎながら、私たちがなぜ善にも悪にも向かうのかを解き明かしていく。
人間行動の生物学的基盤を探る大著。
神経行動学を専門とする科学者。人間行動に関する広範な解説で知られる。
Jason Reynolds の『Long Way Down』は、兄を殺された少年が復讐へ向かう一分間のエレベーターの旅を描く詩小説である。短い場面の連鎖を通して、暴力の連鎖と感情の重さが浮かび上がる。
復讐に向かう一分間のエレベーターの旅を描く詩小説。
ヤングアダルトの若手作家。詩的な語りと社会問題を織り込む作風が特徴。
Glory Edim の Innovator's Award は、Well-Read Black Girl を通じて Black women readers のコミュニティを育て、出版の多様性を広げた活動をたたえる特別賞である。個別の新刊ではなく、読書コミュニティの構築そのものが評価対象となっている。
Well-Read Black Girl を育てた活動への特別賞。
読書会やオンライン読書コミュニティを通じてマイノリティ作家の可視化に寄与した人物。Innovator's Award受賞。
John Rechy の Robert Kirsch Award は、ゲイ文学とチカーノ文学をまたぐ長年の作家活動をたたえる生涯功績賞である。単独作品ではなく、都市の周縁に生きる人々を描いてきた文学的遺産全体が評価されている。
ゲイ文学とチカーノ文学を支えてきた作家への生涯功績賞。
アメリカの作家。カルチャーや都市のマイノリティを率直に描いてきた長年の功績が評価されRobert Kirsch賞受賞。