アラン・ペイトン賞(Sunday Times CNA文学賞:ノンフィクション部門)
あらん・ぺいとんしょう
1989年創設の南アフリカの主要なノンフィクション文学賞。The Sunday Timesが主催し、受賞者にはR100,000が贈られる。
- 創設年
- 1989
- 主催
- The Sunday Times(主催)、CNA(2021年以降のスポンサー)
- カテゴリー
- ノンフィクション・記録文学
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 不問
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 10〜11月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Alan Paton Awardは1989年に創設された南アフリカのノンフィクション賞で、真実の表出("illumination of truthfulness")や思いやり、文章の優雅さ、知的・道徳的誠実さを示す著作を評価することを目的としている。2001年にはフィクション部門が設立され(後にBarry Ronge Fiction Prize として呼ばれることもあった)、2015年にフィクション/ノンフィクション両部門がSunday Times Literary Awardsとして再編され、賞金はR75,000からR100,000に増額された。2020年はCOVID-19の影響で一時中断があり、2021年はCNAがスポンサーになって再開された。
賞品
- 主賞品
- ノンフィクション部門の受賞者にR100,000(南アフリカ・ランド)が授与される
- 賞金
- 100,000 ZAR
- 受賞に伴う表彰と広報露出(The Sunday Times等での発表)
- 受賞歴としての認知・販促効果
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| ロングリスト(Longlist) | 選考委員会(年度ごとにThe Sunday Times等が公表) | — | 公式サイトやThe Sunday Times紙面でロングリストが発表される |
| ショートリスト(Shortlist) | 選考委員会(同上) | — | ショートリストはThe Sunday TimesやTimesLIVE等で発表される |
| 最終選考・受賞者決定 | 最終審査員団(年度ごとに発表) | — | 受賞者はThe Sunday Timesおよび関連メディアで発表される |
選考基準
- "the illumination of truthfulness, especially those forms of it that are new, delicate, unfashionable and fly in the face of power," and demonstrating "compassion, elegance of writing, and intellectual and moral integrity." / 真実を照らし出すこと(新しく繊細で不人気な真実を含む)を示し、思いやり、文章の優雅さ、知的かつ道徳的な誠実さを示す作品を評価する。
- "rare imagination and style... a tale so compelling as to become an enduring landmark of contemporary fiction." / フィクション部門では稀な想像力と文体、現代文学の永続的なランドマークになり得る魅力的な物語性が重視される。
応募のヒント
推奨
- フルレングスのノンフィクション作品であることを確認する(出版社経由の応募が必要な場合が多い)
- 厳密な調査と事実確認を行い、倫理的に正しい引用・出典を明示する
- 文章の明快さ・優雅さ(elegance of writing)を重視する
- 募集要項・対象出版期間(例:ある年は指定期間内の刊行物)を必ず確認する
- 過去の受賞作を読み、評価される傾向(真実の照明、知的誠実さ)を参考にする
注意
- 未出版の原稿を応募しない(賞は出版作品が対象)
- 事実の誇張や出典を示さないまま主張を行わない
- 応募要項やフォーマットを無視して不備のある応募を行わない
- 倫理的に問題のある資料の使用や許可のない引用を行わない
審査員から
- 作品は「真実を照らし出す(illumination of truthfulness)」力を持つことが評価される
- 思いやり(compassion)や文章の優雅さ、知的・道徳的誠実さが審査で重視される
- フィクション部門では稀有な想像力と文体が重要視される(審査基準に関する示唆)
関連の賞
- Barry Ronge Fiction Prize(Sunday Timesフィクション部門)
- Sunday Times CNA Literary Awards(総合)
- その他の南アフリカ文学賞(例:Sunday Times Fiction Prize等)
- CNA関連の出版・賞プログラム
公式情報
https://www.sundaytimes.timeslive.co.za/books/過去の受賞者
『The Bitterness of Olives』は、家族と歴史、記憶の交錯を扱う小説で、過去の出来事が現在の人間関係や世代間の確執にどのように影響するかを探る。登場人物たちの個人的葛藤と社会的背景が絡み合い、和解と対立の物語が展開する。
南アフリカのジャーナリストで作家。社会問題や犯罪取材などの長年の経験を背景に小説・ノンフィクションを執筆している。
『Winnie and Nelson: Portrait of a Marriage』は、ネルソン・マンデラとウィニー・マディキゼラ=マンデラの複雑な結婚関係を追い、私的な側面と政治的闘争を交差させて描く評伝的ノンフィクション。二人の関係性を通じて南アフリカの近現代史を浮き彫りにする。
南アフリカのノンフィクション作家・ジャーナリスト。社会問題や歴史を題材にした調査的な著作で国際的にも評価されている。
『How to Be a Revolutionary』は、政治的覚醒と日常生活の狭間を描く小説で、革命という大きな概念を個人の決断や家庭内の葛藤に照らして再考する。登場人物の選択を通じて権力、倫理、変化の実践を問いかける作品である。
南アフリカの作家・編集者。多文化的な視点を持ち、政治や個人の内面を織り交ぜた作品で知られる。
『My Land Obsession』は、土地に対する執着と帰属意識を巡る回想録で、著者自身の経験を通じて土地改革や植民地の遺産、家族史が個人のアイデンティティに与える影響を考察する。個人的視点と歴史的文脈を交えた自己探求の記録である。
『Junx』は、都市に生きる若者たちを通して友情、暴力、貧困、自己発見を描く長編小説。登場人物の関係性と選択が交錯する場面を通して、現代南アフリカにおける社会的排除と希望のともにある現実を浮き彫りにする。
『Bloody Sunday』は、反体制運動とそれに伴う暴力事件の背景を丹念に調査した歴史ノンフィクション。修道女の証言や当時の資料を基に、隠蔽された出来事の全容と政治的文脈、被害者の記憶・証言の意味を照らし出そうとする試みである。
『A Sin of Omission』は、過去の沈黙とその代償を巡る物語で、個人の選択が世代を超えて影響を及ぼす様子を描く小説。歴史的背景と私的な倫理が交錯し、登場人物たちの赦しと責任を問いかける構成をとる。
南アフリカの作家。児童文学や成人向け小説を含む幅広い創作で知られ、地方の歴史や記憶を題材にすることが多い。
『These Are Not Gentle People』は、現代南アフリカ社会における暴力や社会構造の成り立ちを追うノンフィクションで、事例や証言を通じて暴力の背景とその影響を検証し、社会的再建の課題を提示する。
ジャーナリスト/ノンフィクション作家。南アフリカ社会の歴史や事件を取材・分析した著作で知られる。
『The Theory of Flight』は家族の歴史と個人の記憶を軸に、南部アフリカに生きる登場人物たちの内面と過去の出来事が現在に及ぼす影響を繊細に描く長編小説。移民やジェンダー、世代間の確執を織り込みつつ、記憶の継承とアイデンティティの葛藤を詩的な文体で探る作品。
ジンバブエ出身で南アフリカ圏でも活動する小説家。記憶や家族、移動といったテーマを繊細に描く作風で知られる。
『Everyone is Present』は写真、家族、記憶を主題にしたエッセイ集で、写真という媒体がどのように個人と集団の記憶を形成し直すかを考察する。家族写真やドキュメントを手がかりに視覚文化と記憶の関係、喪失と継承の問題を掘り下げる。
写真と記憶、家族をめぐるエッセイを発表した著者。写真を通した記憶の表象や家族史の語り直しを主題とする作品で受賞。
ANC創設者ピクスリー・カ・イサカ・シーミの伝記。彼の生涯と思想、教育や組織形成の歩みを辿り、南アフリカの黒人政治運動初期における彼の役割と影響を整理する歴史研究である。
2012年のマリカナ事件を徹底取材した調査報道。現場証言や関係者インタビューを基に、労働争議、国家と企業の関与、暴力の連鎖という事件の構図を詳細に描き出す。
南アフリカに蔓延するレイプ文化を多角的に分析した社会批評。文化的・政治的背景や制度的欠陥を検証し、被害者の視点と社会変革の必要性を提起する重要な論考である。
アパルトヘイト時代の協力者(アスカリ)を巡る歴史ルポ。諜報や裏切りの実態、運動内部の倫理的複雑性を掘り下げ、反アパルトヘイト闘争の知られざる側面を明らかにする。
民主化から20年を経た南アフリカの現状を批評的に論じる政治評論。政策の成果と限界、腐敗や市民社会の役割を分析し、民主主義の課題と将来への提言を示す。
ジャーナリストによる治癒の物語。家庭内暴力やトラウマを乗り越える過程を赤裸々に描き、個人の再生とコミュニティの支え、癒しと希望を探る回想録的ノンフィクション。
反アパルトヘイト時代の友情と闘争を主題とした回想録。投獄や闘争を通じて築かれた絆や記憶を静かに綴り、個人史を通して和解と歴史の継承を問い直す。
反アパルトヘイト運動に関わった著者による自伝的作品。諜報活動や政治的経験、運動内部の葛藤や倫理的選択を当事者の視点から綴り、解放闘争の舞台裏を明らかにする。
憲法裁判所判事アルビー・サックスの回想録。亡命や負傷、帰国後の法的・哲学的思索を織り交ぜ、法律と個人の経験が交差する地点から正義と和解について考察する。
デルマス・フォー事件とその裁判の内幕を描くノンフィクション。反アパルトヘイト運動を巡る政治的弾圧や関係者の証言を通じて、司法の役割と南アフリカの転換期の複雑さを検証する。
タボ・ムベキの政治的経歴と思想を検証する伝記的政治評論。指導者としての政策、期待と失望、民主化後の南アフリカの課題を分析する。
南アフリカのジャーナリスト兼作家。政治や文化に関する硬派なルポルタージュや評論で知られる。
エッセイや短文を通してヨハネスブルグの日常や都市の風景、歴史的変化を綴る作品集。文学的観察と社会批評が織り交ざり、ポストアパルトヘイト社会を捉える。
南アフリカの作家。エッセイや小説で都市生活や記憶、社会の微細な変化を描く作品群で知られる。
南アフリカにおけるHIV/AIDSの影響を法的・社会的観点から論じるノンフィクション。差別や政策の課題を明らかにし、社会的対応の在り方を問う。
南アフリカの裁判官・人権活動家。HIV/AIDSや差別問題に関して公的に発言し続けている法曹人。
国際援助の現場を取材し、援助の実態とその政治的・社会的影響を検証するルポルタージュ。援助の矛盾や有効性を問い直す。
援助や開発に関する取材を行う作家/ジャーナリスト(詳細情報は限られる)。
ケープタウンのギャング文化と刑務所社会を通じて、個人のアイデンティティと暴力の構造を分析するノンフィクション。現場取材に基づく詳細な民族誌的記述が特徴。
南アフリカの作家・ジャーナリスト。社会の周縁にいる人々の物語に焦点を当て、精緻なフィールドワークを基にした書き下ろしで評価される。
TRCでの面談や証言を基に、加害者と被害者の対話や赦しの心理を探る。倫理、責任、癒しに関する深い考察を提供するノンフィクション。
臨床心理学者。真実和解委員会(TRC)での証言や加害者・被害者の心理に関する研究で知られる。
地域社会の変容を題材に、個人やコミュニティの物語を通じて現代南アフリカの社会問題を描くノンフィクション。経済・社会構造が人々の生活に与える影響を掘り下げる。
南アフリカの作家・ジャーナリスト。都市社会や犯罪、監獄などのテーマを丹念に取材したノンフィクションで国際的に評価されている。
戦場や紛争地域での医療現場を外科医の視点から描くノンフィクション。戦争が医学や人間の生き方に与える影響、医療倫理やトラウマを実体験を通じて語る。
外科医であり作家。紛争地や過酷な医療現場での経験を基にした著述で知られる。
作者の回想と歴史的観察を織り交ぜた作品。個人的体験を通して記憶、アイデンティティ、文化的背景を探るエッセイ風ノンフィクション。
オランダ出身の作家。南アフリカに関わる題材や個人的回想を扱う作品がある。
ネルソン・マンデラの生涯を本人や関係者への取材と資料に基づき詳細に描いた公認伝記。反アパルトヘイト運動から大統領就任に至る政治的軌跡と人間像を追う。
イギリスのジャーナリスト・伝記作家。政治や歴史を扱う著述で知られ、ネルソン・マンデラの公認伝記を執筆したことで広く認識される。
『Country of My Skull』は、真実和解委員会(TRC)の証言や著者の現場体験を通してアパルトヘイト期の暴力、責任、記憶と和解の問題を描いたノンフィクション。報告・証言と個人的回想を織り交ぜる。
南アフリカの詩人・ジャーナリスト。真実和解委員会(TRC)を扱った著作で国際的に知られる。TRCに関する記録的ルポでアパルトヘイト期の暴力と記憶を掘り下げた。
ブラム・フィッシャーの生涯と反アパルトヘイト運動における司法闘争を描く伝記。政治的抵抗や法廷での闘いを史料と証言で再構成し、個人の倫理と社会的責任を問う。
『Africa: A Biography of a Continent』は、地質学的起源から人類の移動、文明の興亡、植民地主義と独立運動まで、アフリカ大陸の長い歴史を総合的に概説する通史。自然史と人間史を統合した広範な視点が特徴である。
作家・ジャーナリスト。アフリカの自然史や環境に関する通史的著作で知られる。
『The Seed is Mine』は、ある黒人農民の生涯を丁寧に辿ることで、20世紀における南アフリカの土地関係、労働、法制度、抵抗の実像を浮かび上がらせる社会史研究。個別事例を通じて構造的な変化を明らかにする。
南アフリカの社会史研究者。労働史や土地問題など、日常の歴史を掘り下げた精密な研究で知られる。
『Long Walk to Freedom』は、ネルソン・マンデラ自身による自伝で、若き日からの政治活動、反アパルトヘイト運動への参加、27年間の投獄と釈放、そして民主化へ向けた闘いと和解の歩みを本人の視点で詳細に語る。
南アフリカの反アパルトヘイト運動の指導者、元大統領。国際的に著名な人権指導者であり、和解と民主化に寄与した。
『Return to Paradise』は、詩人ブレイテンバックが亡命、母国との断絶、芸術と政治の間で揺れる経験を詩や随筆で綴った作品。個人的な記憶と政治的文脈が交差し、創作と抵抗の関係を問う。
南アフリカ(アフリカーンス語)出身の詩人・作家。亡命や人権問題を扱った作品群で国際的に知られる。
『Scramble for Africa』は、19世紀後半に欧州列強がアフリカ大陸を分割した過程を、外交・探検・軍事の視点から総合的に描く大著。列強間の競合、現地への影響、国境線形成の政治的経緯を豊富な資料と地図で再現する。
イギリスの歴史家・作家。帝国史や植民地主義に関する大著で知られる。
『Soft Vengeance of a Freedom Fighter』は、アルビー・サックスによる自伝的回想録で、反アパルトヘイト運動への関与、国外亡命、爆弾事件で負傷した経験、その後の司法活動と和解への思索を率直に綴る。個人史と南アフリカの民主化史が交錯する重要な証言。
南アフリカの反アパルトヘイト活動家で弁護士。後に憲法裁判所判事となり、人権と和解に関する執筆で知られる。
『The Dead Will Arise』は、1856–57年にコーサ族の間で起きた「牛殺し」運動と預言者ノングワウセの影響を中心に、当時の社会的・経済的背景を詳細に再構築する歴史研究。植民地主義、伝統信仰、社会崩壊の絡み合いを豊富な史料で明らかにする。
南アフリカの歴史家。地域史や民族史を中心に研究・著述を行う。
『White Tribe Dreaming』は、南アフリカの白人コミュニティの集合的な夢やアイデンティティを掘り下げるノンフィクション。歴史的・社会的背景を分析し、植民地主義やアパルトヘイトが生んだ特権意識や矛盾を、現場の取材や証言を交えて批評的に描き出す。
南アフリカ出身のジャーナリスト・作家。社会問題や環境問題を扱うノンフィクションで知られる。