世界・海外・国外の文学賞

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アメリカン・ブック・アワード あめりかんぶっくあわーど

第12回(1991年)

文学賞多文化文学ジャンル不問(小説・詩・ノンフィクション等)

受賞者

18名
Southern Front

ニカラグア革命末期の戦場に集まった国際義勇兵たちを、ロサンゼルス出身のチカーノ青年ウリセスを軸に描く連作短編集。

国境の向こうで、革命と友情と暴力が交差する。

119ページ
ニカラグア革命チカーノ文学連作短編政治と戦争
bell hooks 受賞
Yearning: Race, Gender, and Cultural Politics

人種、ジェンダー、文化政治をめぐる論考を集め、ポストモダン批評と黒人解放の視点をつないだエッセイ集。

理論と政治が切り離せない場所で、hooks の声は切実さを失わない。

236ページ
文化批評人種ジェンダーポストモダン理論
Black Robes, White Justice: Why Our Legal System Doesn't Work for Blacks

ブルース・ライトが、法廷で見てきた人種的不公正をもとに、アメリカの刑事司法制度の偏りを鋭く批判する。

法の名の下に起きている不公平を、当事者の言葉で問い直す。

214ページ
司法批判人種差別法と社会ノンフィクション
Soldados: Chicanos in Viet Nam

チャーレイ・トルヒーリョがまとめたチカーノのベトナム帰還兵たちの証言集。従軍の経緯、前線の体験、帰還後の断層を通して、戦争が個人と共同体に残した傷と記憶を描く。

戦場の記憶を、帰還兵たち自身の声でつないだ記録。

187ページ
オーラルヒストリーチカーノ文化ベトナム戦争記憶
D. H. Melhem 受賞
Heroism in the New Black Poetry: Introductions & Interviews

D. H. Melhem が六人の黒人詩人への紹介と対話を通じて、ブラック・アメリカン詩の社会意識と美学をたどる研究書。詩人像、共同体、政治、宗教、フェミニズムが交差する地点を見せる。

六人の詩人の声から、ブラック・アメリカン詩の輪郭が立ち上がる。

288ページ
詩論インタビューブラック文学社会意識
Looking for Home: Women Writing About Exile

デボラ・キーナンとローズアン・ロイドが編集した、移住と離郷をめぐる女性詩人たちのアンソロジー。故郷喪失と帰属の揺れを、複数の声で重ねていく。

七十人以上の女性の詩が、故郷と追放のあいだにある感情を照らす。

288ページ
アンソロジー移住亡命女性詩
Dogeaters

マルコス時代のマニラを舞台に、映画スター、政治家、使用人、若者たちがすれ違いながら巻き込まれていく群像小説。ポップカルチャーのきらめきの下で、権力と暴力と階級の歪みが浮かび上がる。

マニラの喧騒と権力の腐敗を、きらびやかな語りで描き出す。

272ページ
フィリピン群像劇独裁政治ポップカルチャー
Philadelphia Fire

1985年のMOVE爆破事件に触発されたジョン・エドガー・ワイドマンの小説。作家カジュオが、焼け跡と記憶のなかで唯一の生存者を探しながら、都市の暴力と喪失に向き合う。

焼け落ちた都市の断片から、記憶と責任の問いが立ち上がる。

199ページ
都市小説人種記憶暴力
Joy Harjo 受賞
In Mad Love and War

ジョイ・ハルジョの初期詩集。クリークの視点から、愛、暴力、喪失、場所への帰属を、神話的でありながら身体感覚の強い言葉で結び直す。

激しい愛と戦争の感情が、土地の記憶と重なり合う。

65ページ
詩集クリーク暴力場所
Through the Arc of the Rain Forest

カレン・テイ・ヤマシタのデビュー長編。日本人男性、三本腕のCEO、ブラジルの農民など奇抜な人物たちを通して、アマゾン熱帯雨林の破壊とグローバル資本の滑稽さを風刺する。

奇想と風刺で、熱帯雨林の未来を大きく描き変える。

192ページ
風刺マジックリアリズム環境破壊グローバリゼーション
Lucia Berlin 受賞
Homesick: New and Selected Stories

1960年から1990年までの代表作を集めた初の主要短編集で、都市の暮らし、労働、依存、喪失が断片的で生々しい筆致で描かれる。

断片のような日常が、そのまま物語の強度になる。

280ページ
短編集都市生活喪失女性の経験
Mary Crow Dog 受賞
Lakota Woman

マリー・ブレイブ・バードが、ラコタ女性としての成長、アメリカ・インディアン運動への参加、ウーンデッド・ニー包囲戦での経験を綴る回想録。

個人の記憶が、部族の歴史と運動の記録へと広がっていく。

263ページ
回想録ネイティブ・アメリカンAIM自己形成
Harvest Song: Collected Essays and Stories

労働者階級の女性たちの生活、政治意識、日々の労苦を軸にしたエッセイと短編をまとめたコレクション。

仕事と生活の現場から、声を拾い集めた一冊。

244ページ
労働階級女性文学エッセイ集短編小説
Overtime: Punchin' Out With the Mill Hunk Herald Magazine

1979年から1989年にかけて刊行された『Mill Hunk Herald』誌の仕事と労働者の文学を集め、現場の声を本の形にまとめた一冊。

雑誌の外へこぼれた労働者の声を、そのまま束ねる。

207ページ
労働文学雑誌アンソロジー労働者文化記録
Haa Tuwunaagu Yis, for Healing Our Spirit: Tlingit Oratory

記録されたツリンギット語の語りを、英訳、注釈、写真、話者紹介とともに収めた、口承文学の本格的な出版。

声で受け継がれた物語を、書物として残す。

606ページ
口承文学先住民文学翻訳文化継承
Haa Tuwunaagu Yis, for Healing Our Spirit: Tlingit Oratory

Tlingit の口承伝統を記録し、翻訳と注釈を通して読者に開く共同編集書。儀礼の場で語られた言葉を写真や略伝とともに収録し、先住民の文化記憶がどのように受け継がれてきたかを立体的に伝える。

儀礼の言葉を、翻訳と注釈で次の世代へ手渡す一冊。

606ページ
チリンギット口承文学先住民言語の保存儀礼的スピーチ翻訳と注釈北西海岸文化
The Art and Imagination of Langston Hughes

ランストン・ヒューズの生涯と創作を、叙情性、政治性、劇性の層から読み解く批評研究。

ヒューズの想像力を、作品の奥からたどる。

149ページ
批評研究Langston Hughesハーレム・ルネサンス想像力
Terra Firma

デニス・レヴァートフに選ばれた第一詩集で、サンフランシスコ湾岸や内面の風景を通して、共同体感覚と日常の驚きを探る。

足元の地面から、詩は世界の手触りをひらく。

77ページ
詩集共同体日常サンフランシスコ