アメリカン・ブック・アワード あめりかんぶっくあわーど
第12回(1991年)
受賞者
18名ニカラグア革命末期の戦場に集まった国際義勇兵たちを、ロサンゼルス出身のチカーノ青年ウリセスを軸に描く連作短編集。
国境の向こうで、革命と友情と暴力が交差する。
人種、ジェンダー、文化政治をめぐる論考を集め、ポストモダン批評と黒人解放の視点をつないだエッセイ集。
理論と政治が切り離せない場所で、hooks の声は切実さを失わない。
ブルース・ライトが、法廷で見てきた人種的不公正をもとに、アメリカの刑事司法制度の偏りを鋭く批判する。
法の名の下に起きている不公平を、当事者の言葉で問い直す。
チャーレイ・トルヒーリョがまとめたチカーノのベトナム帰還兵たちの証言集。従軍の経緯、前線の体験、帰還後の断層を通して、戦争が個人と共同体に残した傷と記憶を描く。
戦場の記憶を、帰還兵たち自身の声でつないだ記録。
D. H. Melhem が六人の黒人詩人への紹介と対話を通じて、ブラック・アメリカン詩の社会意識と美学をたどる研究書。詩人像、共同体、政治、宗教、フェミニズムが交差する地点を見せる。
六人の詩人の声から、ブラック・アメリカン詩の輪郭が立ち上がる。
デボラ・キーナンとローズアン・ロイドが編集した、移住と離郷をめぐる女性詩人たちのアンソロジー。故郷喪失と帰属の揺れを、複数の声で重ねていく。
七十人以上の女性の詩が、故郷と追放のあいだにある感情を照らす。
マルコス時代のマニラを舞台に、映画スター、政治家、使用人、若者たちがすれ違いながら巻き込まれていく群像小説。ポップカルチャーのきらめきの下で、権力と暴力と階級の歪みが浮かび上がる。
マニラの喧騒と権力の腐敗を、きらびやかな語りで描き出す。
1985年のMOVE爆破事件に触発されたジョン・エドガー・ワイドマンの小説。作家カジュオが、焼け跡と記憶のなかで唯一の生存者を探しながら、都市の暴力と喪失に向き合う。
焼け落ちた都市の断片から、記憶と責任の問いが立ち上がる。
ジョイ・ハルジョの初期詩集。クリークの視点から、愛、暴力、喪失、場所への帰属を、神話的でありながら身体感覚の強い言葉で結び直す。
激しい愛と戦争の感情が、土地の記憶と重なり合う。
カレン・テイ・ヤマシタのデビュー長編。日本人男性、三本腕のCEO、ブラジルの農民など奇抜な人物たちを通して、アマゾン熱帯雨林の破壊とグローバル資本の滑稽さを風刺する。
奇想と風刺で、熱帯雨林の未来を大きく描き変える。
1960年から1990年までの代表作を集めた初の主要短編集で、都市の暮らし、労働、依存、喪失が断片的で生々しい筆致で描かれる。
断片のような日常が、そのまま物語の強度になる。
マリー・ブレイブ・バードが、ラコタ女性としての成長、アメリカ・インディアン運動への参加、ウーンデッド・ニー包囲戦での経験を綴る回想録。
個人の記憶が、部族の歴史と運動の記録へと広がっていく。
労働者階級の女性たちの生活、政治意識、日々の労苦を軸にしたエッセイと短編をまとめたコレクション。
仕事と生活の現場から、声を拾い集めた一冊。
1979年から1989年にかけて刊行された『Mill Hunk Herald』誌の仕事と労働者の文学を集め、現場の声を本の形にまとめた一冊。
雑誌の外へこぼれた労働者の声を、そのまま束ねる。
記録されたツリンギット語の語りを、英訳、注釈、写真、話者紹介とともに収めた、口承文学の本格的な出版。
声で受け継がれた物語を、書物として残す。
Tlingit の口承伝統を記録し、翻訳と注釈を通して読者に開く共同編集書。儀礼の場で語られた言葉を写真や略伝とともに収録し、先住民の文化記憶がどのように受け継がれてきたかを立体的に伝える。
儀礼の言葉を、翻訳と注釈で次の世代へ手渡す一冊。
ランストン・ヒューズの生涯と創作を、叙情性、政治性、劇性の層から読み解く批評研究。
ヒューズの想像力を、作品の奥からたどる。
デニス・レヴァートフに選ばれた第一詩集で、サンフランシスコ湾岸や内面の風景を通して、共同体感覚と日常の驚きを探る。
足元の地面から、詩は世界の手触りをひらく。