エドワード・ルイス・ウォラント賞
えどわーど・るいす・うぉらんとしょう
アメリカのユダヤ人にとって意義のあるフィクションに贈られる、ハートフォード大学グリーンバーグ・ユダヤ研究センター主催の年次文学賞(1962年設立)。米国最古かつ最も権威あるユダヤ文学賞のひとつ。
- 創設年
- 1962
- 主催
- University of Hartford (Greenberg Center for Judaic Studies)
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 選考
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 発表時期
- 3月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
エドワード・ルイス・ウォラント賞(Edward Lewis Wallant Award)は、1962年12月に急逝した作家エドワード・ルイス・ウォラント(『人間の季節』『質屋』などの著者)を記念して、FranとIrving Waltmanによって設立されました。ハートフォード大学(グリーンバーグ・ユダヤ研究センター)が運営し、アメリカのユダヤ人にとって意義のある、文学的完成度の高いフィクション作品を対象に毎年授与されます。4人の批評家からなる審査員団が、ウォラント自身の作風に通じる作家を選出します。1963年のノーマン・フラクターから始まり、シャイム・ポトック、シンシア・オジック、フランシーン・プロース、ニコル・クラウス、2024年のスコット・ナデルソン、2025年のベンジャミン・レズニックまで多くの著名作家が受賞しています。応募締切は毎年11月1日。
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 選考(委員会による審査) | University of Hartford / Greenberg Centerが指名する審査員団(個別の審査員名は都度公表) | — | University of Hartfordの公式サイトおよびプレスリリース等で発表 |
選考基準
- アメリカのユダヤ人にとって意義のあるフィクション作品であること
- 文学的完成度(文体、構成、人物描写など)
- 独創性・テーマの深さ・文化的示唆
応募のヒント
推奨
- 作品を十分に校正・推敲して完成度を高める
- 応募要項や資格(言語・作品形態・提出方法)を事前に確認する
- 作品のテーマ性や文脈(ユダヤ文化・経験との関連)を明確にする
- カバーレターや著者略歴を簡潔に添える
- 指定フォーマットや締切を厳守する
注意
- 締切を過ぎて提出する
- 未校正の原稿をそのまま提出する
- 応募条件に合わない形式で送る(例:指定外フォーマット)
- 提出情報の不備(連絡先不明など)を放置する
審査員から
- 独自の視点と確かな文体を重視する
- 人物描写や心理描写の説得力があるかを見ている
- 主題と形式の一貫性、作品が読者に与える示唆の深さを評価する
関連の賞
- National Jewish Book Award
- PEN/Faulkner Award for Fiction
- Pulitzer Prize for Fiction
- Sophie Brody Medal (A Jewish literature-related award)
公式情報
https://www.hartford.edu/academics/schools-colleges/arts-sciences/academics/departments-and-centers/greenberg-center-for-judaic-studies/edward-Lewis-Wallant-award.aspx過去の受賞者
『The Party Upstairs』は家庭や社交の場で噴出する緊張と秘密を描いた作品。集いの場で露わになる階級差や過去のしがらみを通して、登場人物それぞれの内面と関係性の脆さが浮き彫りになる。
アメリカの作家。家庭や親密な関係の機微を題材にした作品で注目される(英語版ウィキペディアに未登録)。
『Maggie Brown & Others』は家族や友情、喪失をめぐる短編群で、日常の不条理や人間の弱さを温かみある視点で描く。ユーモアと哀愁が混ざり合い、登場人物たちの内面が静かに変化していく過程を捉える。
アメリカの作家。短編と長編で家族や道徳的ジレンマ、喪失を描く作品を発表している。
『Mourning』は喪失と記憶、家族の歴史を見つめる作品。ユダヤ系グアテマラ人としての出自と移住の経験を背景に、個人的な悲嘆と歴史的文脈が交錯し、記憶の不確かさと癒しを問う物語が展開する。
グアテマラ出身の作家。ユダヤ系の家族史と記憶を題材にした自伝的要素の強い作品で国際的に評価されている。
『Underground Fugue』は断片化された視点と時間を縫い合わせる短編集で、都会の生活や家族、記憶の断片を通して登場人物たちの孤独と連帯を描く。日常の些細な出来事が重なり合い、静かな余韻を残す作品群。
短編を中心に活動する作家。記憶や人間関係を繊細に描く作風で知られる。
『The Best Place on Earth』はイエメン系ユダヤ人の家族史やイスラエルでの生活を通して、移民の喪失感や帰属欲求、文化摩擦を描く。世代間の記憶と日常のユーモアを織り交ぜながら、アイデンティティの複雑さを浮かび上がらせる。
イスラエル出身の作家。イエメン系ユダヤ人の家族史や移民経験を題材にした作品で国際的に評価されている。
『The Sunlit Night』はノルウェーの白夜の下で出会った若い芸術家たちの物語。異国の光景と孤独、家族や恋愛を背景に、登場人物それぞれが自己のルーツや創作の意味を見つめ直す旅を温かく描く。
アメリカの作家。若者の成長や異文化体験を題材にした作品で注目される(該当ページは英語版ウィキペディアに未登録)。
『The Betrayers』は権力と良心、過去の決断が現在を蝕む様を描く政治小説。主人公の政治的立場と旧友との関係が絡み合い、裏切りと贖罪、正義の在り方を問いかけながら個人と公共の倫理を鮮烈に描写する。
ラトビア(旧ソ連)出身でカナダ在住の作家・映画製作者。移民やユダヤ人のアイデンティティを題材にした作品で知られる。
『The Lion Seeker』は1930年代の南アフリカを舞台に、ユダヤ系移民の一家と若い主人公の成長を描く歴史小説。差別や貧困、世代間の確執を通して帰属とアイデンティティの模索、家族の喪失と救済を繊細に描く。
南アフリカ生まれの作家。移民やユダヤ人の経験を主題にした長編で知られる。
喪失と再生を主題にした長編。家族の断絶や個人の再建を通じて、遺された者の視点から愛と喪失の意味を問う物語。
アメリカの作家。家族や個人の喪失を主題にした作品を手がける。
日常生活に生きる人々の微妙な心の動きや倫理的選択を描く短編集。細やかな観察と鋭い洞察で現代の人間関係を浮き彫りにする作品群。
アメリカの短編作家。日常の些細な出来事や人物の内面を緻密に描く短編で高い評価を受けた。
1930年代末から第二次世界大戦期のヨーロッパを舞台に、ハンガリー系ユダヤ人青年の愛と喪失、生存を描く長編。歴史の渦に翻弄される個人の運命を繊細に描写する。
アメリカの小説家。歴史的背景に立脚した人物描写に定評があり、特に第二次世界大戦期を舞台にした作品で知られる。
ナチによる略奪美術とその帰属をめぐる歴史小説。文化財の運命に翻弄される人物たちの愛と喪失を描き、記憶と正義の問題を問いかける。
アメリカの作家。歴史的事件、特に戦時中の美術品略奪などを題材とした物語で知られる。
個人の喪失や内面の葛藤を丁寧に掘り下げる作品。登場人物たちの関係性と自己探求を通じて、文化的・感情的なテーマが描かれる。
アメリカの小説家・エッセイスト。科学とジェンダー、個人の内面を扱う作品でも知られる。
家族の秘密と喪失、倫理的な葛藤をテーマにした長編。過去と現在が交差する中で登場人物たちが責任と赦しに向き合う様を描く。
イスラエル出身でアメリカで活動した作家。短編・長編を通じて家族やユダヤ人の経験を扱った作品で評価される。
老作家レオと少女アルマの視点が交錯する長編小説。失われた愛と記憶、手紙を媒介とした世代間の結びつきを描き、孤独とつながりの意味を問い直す作品。
アメリカの小説家。記憶や喪失、世代を超えた関係を繊細に描く作風で知られる。
家族と信仰、喪失と再生をめぐる長編。登場人物の内面に焦点を当て、宗教的・倫理的な問いを通じて癒しと希望を探る物語。
アメリカの作家兼編集者。ユダヤ文化や宗教、家族を題材にした著作やエッセイで知られる。
『In the Image』はユダヤ的伝承と個人の信仰、歴史的記憶を扱う長編で、過去と現在の物語が交錯する。伝承やイメージの持つ力を通じて、個人と共同体の関係、記憶の継承が問われる作品である。
アメリカの小説家。ユダヤの歴史や伝承を題材とした想像力豊かな作品で知られる。
『Bee Season』は少女エリザのスペリング・ビーでの成功をきっかけに、家族の秘密と信仰の危機が露見する物語。父親の宗教的目覚め、母の不安、姉妹間の葛藤を通して、信仰と自己の意味が問われるドラマが展開する。
アメリカの小説家。家族や宗教的主題を扱った作品で注目を集める。
『If I Told You Once』は奇想とユーモアを兼ね備えた短編集で、魔術的リアリズム的要素や不条理さを通じて孤独や家族関係、欲望を描く。独特の語り口と意外性のある結末が読者に強い印象を残す。
アメリカの短編作家で、幻想的な設定とブラックユーモアを織り交ぜた作風で知られる。
『Kaaterskill Falls』はユダヤ系家族とその周辺の人々を描く群像劇で、地方社会における帰属や信仰、世代間の価値観の衝突を通じてアイデンティティと希望を探る。人物描写の細やかさとユーモアが特徴的な作品である。
アメリカの小説家。家庭や信仰、コミュニティを繊細に描く群像劇で知られる。
『The Quarry』は家族の過去に埋もれた秘密や出来事が現在に波及する群像的な長編。登場人物の選択が道徳的試練を招き、贖罪や再生といったテーマが静かに掘り下げられていく。
アメリカの小説家。家族や個人の心理を丁寧に描くことで知られる。
『Elijah Visible』は家族と法、記憶が交錯する長編。裁判や個人的な対立を通じて過去の傷と正義、救済の可能性が問われ、ユダヤ的伝承や世代間の葛藤が物語の核となっている。
アメリカの作家・評論家。ユダヤ的テーマや法的・道徳的問題を扱う作品を手がける。
『Mazel』はユーモアと哲学的省察を織り交ぜた長編で、幸運(mazel)の意味や運命と自由意志、信仰と理性の緊張を探る。登場人物の知的対話と内面の葛藤を通じて、個人の選択と文化的伝統が問い直される作品である。
アメリカの哲学者で作家。哲学的テーマを織り込んだフィクションやノンフィクションで知られる。
『From Hunger』は短編を中心とする作品集で、移民やユダヤ系アメリカ人の家庭生活、喪失感、欲望を鋭く描く。日常の些細な出来事が記憶と結びつき、それぞれの登場人物が抱える倫理的・精神的葛藤が静謐な筆致で綴られる。宗教的伝統と世俗的生活の緊張関係も主題になっている。
アメリカの作家。短編を中心にユダヤ系アメリカ人の経験や記憶を繊細に描く作品で知られる。
アメリカの作家。ホロコーストやユダヤ的記憶を主題にした作品で知られる。
アメリカの作家(詳細情報不明)。受賞作はユダヤ的テーマに意味を持つと評価された。
アメリカの小説家。ユダヤ文化や民話的要素、魔術的リアリズムを取り入れた作風で知られる。
アメリカの作家。短編・小説・ノンフィクションで活動し、家族や個人の葛藤を描く作品がある。
アメリカの小説家・批評家。フィクションと文学批評の両面で知られ、人物描写や倫理的問題を扱う作品がある。
詳細情報が限られている作家。作品『Kagan's Superfecta』でEdward Lewis Wallant Awardを受賞した。
アメリカとユダヤ性の関係、世代間の価値観や帰属意識を巡る物語。個人の愛情や失望、社会的期待が交差する中で登場人物の内面が丁寧に掘り下げられる作品。
アメリカの小説家。家族やアイデンティティをめぐる物語を描き、ユダヤ系アメリカ人の経験を題材にした作品でWallant賞を受賞した。
イエメン系ユダヤ人をはじめとするディアスポラの経験を題材に、文化的差異や世代間の摩擦、同化と伝統の対立を通して登場人物のアイデンティティ探求を描く物語。
アメリカの小説家・翻訳家。イディッシュやユダヤ文化に関心を持ち、移民・文化衝突を題材にした作品で知られる。ユーモアと機知に富んだ筆致が特徴。
裕福な家庭で育つ若者の心理と家族関係を描いた作品。階級意識や道徳観の衝突を通して、特権階級が抱える孤立や自己認識の変化を浮き彫りにする。
アメリカの小説家。社会や家族の内面を掘り下げる作品を発表し、登場人物の心理描写を重視する作風で知られる。
家族の記憶と個人の成長をめぐる物語。過去の傷や移民の背景が人物の選択に影響を与え、世代間の断絶と和解の可能性を繊細に描き出す作品。
アメリカの作家。長編・短編・詩など幅広い作品を発表し、教育活動にも携わった。人間関係や歴史、記憶を繊細に描く文体が特徴。
ユダヤ人コミュニティと個人の信仰や記憶の葛藤を描く長編。複数世代にわたる家族史を通して、戦後アメリカ社会における同化とアイデンティティの揺らぎ、個人の精神的模索を繊細に描写する作品。
アメリカの作家・編集者。ユダヤ教やユダヤ人の経験を主題にした著作で知られ、小説・評論・編集活動を通して宗教的・歴史的問いを文学的に探求した。
『Somewhere Else』は、疎外感や居場所の喪失を主題にした小説。過去と現在の断絶や個人の帰属意識を巡る心理的探求を通じて、登場人物の再生と関係の回復を描き出す。
アメリカの作家・編集者。社会的なテーマや個人の心理を扱う文学作品で知られる。
短編集『The Pagan Rabbi and Other Stories』は、ユダヤ教の伝統、信仰と疑念、文化的ジレンマを題材にした複数の物語を収める。オジック特有の知的で観察眼の鋭い文体によって、登場人物の内面と共同体の緊張が鋭く描かれている。
アメリカの小説家・評論家。ユダヤ人の宗教や文化、倫理に関する深い洞察と洗練された文体で知られる。
『Waiting for the News』は、移民や労働者階級の視点から情報や期待が家族や共同体に与える影響を描いた長編。時代の不確実性の中で人々が直面する選択や疎外感を通じて社会的現実を描写する。
アメリカの作家。移民や労働者階級の生活を題材にした作品で知られる。
『The Chosen』は、ブルックリンのユダヤ人コミュニティを舞台に、二人の少年の友情と成長を通して正統派ユダヤ教と近代化の葛藤、父子関係、信仰と学問の軋轢を描く長編。戦後アメリカにおけるユダヤ人のアイデンティティと選択の重みを繊細に描写した代表作である。
アメリカのユダヤ系作家。正統派ユダヤ教と近代社会の葛藤を題材にした作品で知られ、友情や父子関係を深く描く文学で広く評価される。
『Home Is Where You Start From』は、帰郷と自己発見を主題にした作品。家庭や出自、記憶が主人公の選択に影響を与え、アイデンティティの源泉を問い直す過程が描かれる。
『A Pile of Stones』は、信仰と記憶、共同体の再生を描く長編。戦争や移住の経験が人物の生き方に与える影響と、伝統と現代性のあいだで揺れる登場人物の内面が繊細に描写される。
アメリカの作家。ユダヤ人の歴史や信仰、個人の内面に焦点を当てた作品群で知られる。
『Leah』は、タイトル人物リーアを中心に家族、信仰、個人の選択と伝統の圧力を描く物語。登場人物の心理描写を通じてユダヤ人コミュニティの内部葛藤や女性の視点が浮き彫りになる作品とされる。
『Coat Upon a Stick』は、都市に暮らすユダヤ系アメリカ人の生活とアイデンティティを主題にした長編。個人と共同体、世代間の対立、政治的覚醒や社会運動の影響が描かれ、登場人物の内面変化を通じて戦後アメリカにおけるユダヤ人の立場と葛藤を浮かび上がらせる作品。
アメリカの作家・映画制作者。社会や都市生活を題材にした作品を手がける。1963年のEdward Lewis Wallant賞は『Coat Upon a Stick』に対して授与された。