ゴールドスミス賞
ごーるどすみすしょう
英国・アイルランドの作家・出版社を対象に、革新的または実験的な小説(novel)の形式的可能性を拡張する作品に贈られる年次文学賞。
- 創設年
- 2013
- 主催
- Goldsmiths, University of London; New Statesman
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 6月頃
- 発表時期
- 11月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Goldsmiths Prizeは2013年にGoldsmiths, University of LondonがNew Statesmanと協力して創設した文学賞で、英国およびアイルランドの市民・居住者による、小説形式の可能性を拡張するような「型を破る」作品を対象とする。受賞者には賞金£10,000が贈られる。対象作品は英国またはアイルランドに拠点を置く出版社から出版された小説に限られる。公式な趣旨には「breaks the mould or extends the possibilities of the novel form.」という表現が使われている。
賞品
- 主賞品
- Winner receives a cash prize of £10,000
- 賞金
- 10,000 GBP
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 推薦/エントリー | 出版社等の推薦を受け付け、運営側で受理・管理 | 不明 | 応募情報や手順は公式サイトで案内される(詳細な締切日は資料内に記載なし) |
| ショートリスト選定 | 年ごとに構成される審査員パネル(外部の作家・批評家等) | 不明 | ショートリストは例年10月上旬に公式サイト等で発表される |
| 受賞作選定 | 同じ審査員パネルがショートリストから受賞作を決定 | 不明 | 受賞者は例年11月上旬〜中旬に公式サイトおよびNew Statesman等で発表される |
選考基準
- 小説の形式や語りの可能性を拡張していること(革新性)
- 作品の文学的完成度と実践的な効果
- 作者が英国またはアイルランドの市民または居住者であること
- 作品が英国またはアイルランドに拠点を置く出版社から出版されていること
応募のヒント
推奨
- 応募資格(作者の居住地・市民権、出版社の所在地)が条件を満たしていることを事前に確認する
- 作品の形式的・内容的な革新性を具体的に説明する(なぜ“型を破る”のかを示す)
- 出版社を通じた正式な推薦・エントリー手順に従う
- 出版情報(刊行日、出版社所在地等)や書評・推薦文など補強資料を用意する
注意
- 英国・アイルランドの出版社から出ていない作品で応募しない
- ただ『実験的』とだけ表現して詳細説明を省略しない
- 応募要件を満たしていない形式(未刊行作品等)で申し込まない
審査員から
- 作品がどのように小説の可能性を拡張しているかを明確に示してほしい
- 形式的な冒険と読者への効果(なぜそれが意味を持つのか)を説明すること
- 『experimental fiction』という語に頼らず、作品固有の試みと効果を具体的に伝えてほしい
- 編集や翻訳が作品の革新性にどう貢献しているかも補足すると良い
関連の賞
- Booker Prize (The Booker Prize)
- Women's Prize for Fiction
- Costa Book Awards
- その他の英国・アイルランドの小説賞
公式情報
https://www.gold.ac.uk/goldsmiths-prize/過去の受賞者
『Parade』は、語りと聴取の関係性を鋭く問う実験的長篇。日常や儀式的な出来事を切り取りながら、自己と他者、公共と私的領域の境界を描き出す。簡潔な語りと反復によってアイデンティティの揺らぎを浮かび上がらせる作品。
英語圏を代表する作家の一人。『Outline』三部作などで知られ、語りの境界や形式実験を通した作風で高く評価される。2024年に『Parade』でゴールドスミス賞を受賞。
『Cuddy』は、北イングランドの小さなコミュニティや労働の痕跡を詩的かつ実験的な語りで描く長篇。断片的な章立てや視点の揺らぎを通して、土地と記憶、世代間の関係を掘り下げ、個人と共同体の変容を問いかける作品。
イギリスの作家。詩的で地域性の強い題材や労働・記憶を扱う作品を手がける。2023年のゴールドスミス賞で長篇小説『Cuddy』が受賞した。
チャゴス諸島ディエゴ・ガルシアをめぐる追放と記憶、植民地主義の暴力を主題にした共同執筆の実験的小説。断片的な声と多様な文体を交錯させ、抹消された歴史と抵抗の痕跡を文学的に再構成する試みである。
共同執筆などで政治的・歴史的テーマを実験的手法で扱う作家。植民地主義や記憶の問題を文学的に問い直す作品を発表している。
(共同執筆)チャゴス諸島ディエゴ・ガルシアの追放と植民地主義の影響を巡る歴史的実験小説。被抑圧者の声を再配置し、文体と形式を揺さぶることで歴史の記憶とその消失を照射する作品である。
スコットランドを拠点に活動する作家。共同プロジェクトを通じて植民地史や記憶の政治を扱う作品を発表し、共同執筆の実践でも評価される。
トランスジェンダーの経験、資本主義批評、コミュニティの記憶を巡る実験的小説。詩的断章やドキュメンタリー要素、散文の破片化を併用し、アイデンティティと社会構造の再考を促す挑発的な作品。
前衛的な語りとジェンダー理論を取り入れる現代作家。トランス経験や移民、労働を扱い、形式的実験を通して社会構造を問い直す作品を発表している。
不穏に変容する土地とそこに暮らす人々を巡る寓話的長篇。時間や記憶の歪み、個人と環境の関係を繊細かつ幻想的に描き、ジャンルの境界を曖昧にする語りを通じて現代社会の裂け目を映し出す。
英国の作家で、SFや幻想文学、純文学を横断する作風を持つ。緻密で詩的な文体により、現実と不穏な異界の境界を描く作品で高い評価を受ける。
オハイオ州の主婦の長大な内的独白で構成された超長篇。日常の些細な事物や記憶をシャワーのように浴びせつつ、政治、消費文化、母性、社会的不安を織り交ぜて現代アメリカの不安を描く。スタイルと分量の大胆さが特徴。
英米をまたにかけて活動する作家。長大な内的独白や鋭い社会観察を通して、現代社会や家庭、政治の不安を描く実験的作風で知られる。
退役軍人や都市に生きる人々を詩的な語りで追う長篇。詩的断章と散文の融合により、戦争の記憶、流浪、都市の変容をノワール的かつ叙情的に描写する。音韻や反復を活かした語りが特徴。
スコットランド出身の詩人・作家。詩的感性と洗練された言語で知られ、詩と散文を横断する作風で現代性や戦争の影響を追究する。
視覚的・構造的な実験を含む長篇で、複数の登場人物を通じて幸福や狂気、孤独の諸相を探る。レイアウトや語りの抑揚を駆使し、読者に能動的な読解を促す挑発的な作品。
英国の小説家。奇抜かつユニークな登場人物と構成で知られ、言語遊びと実験性の高い作風を持つ。現代的な孤独や常識のゆらぎを描く作品が多い。
一続きの文で綴られた長篇で、主人公がある日の内に過去と現在を行き来しながら家族や仕事、死生について回想する。連続される文体が時間の流れと記憶の重層を浮かび上がらせる形式実験的作品。
アイルランドの作家。実験的な語りと日常洞察に定評があり、独特の形式で現代人の孤独や記憶を描く。言語による時間表現の巧みさが評価される。
伝説的なミュージシャンを想起させる主人公が島への旅や回想を通じて過去と向き合う作品。音楽への愛着と喪失、旅による自己探求がユーモアと哀しみを交えて描かれる、形式的な遊びのある長編。
アイルランド出身の作家。ユーモアと哀感を帯びた語りで人間の弱さや記憶を描く。短編でも長篇でも独特のリズム感と人物描写を示す。
二重構成で語られる物語が、現代の少女とルネサンス期の画家という異なる時代・視点を並置し、芸術・記憶・ジェンダーの交差を探る。読者の受け取り方を能動的に問う構成的実験が特徴。
スコットランド出身の作家。形式と語りの実験を通じて現代社会や時間・ジェンダーを問う作品群で知られる。柔軟な視点移動とユーモアを用いて政治や個人の関係を描く。
母の病や家族関係に翻弄される若い女性の内的独白を断片的かつ奔放な一人称で綴る実験的小説。言葉を断ち切り結び直すような文体でトラウマ、喪失、性、愛の複雑さを鋭く描き出す。
アイルランド出身の小説家。実験的な文体と強烈な内的独白で知られ、デビュー作『A Girl Is a Half-formed Thing』で国際的な注目を集めた。言語による感情表現の革新が特徴。