ナショナル・ブック賞(翻訳文学) なしょなるぶっくしょう(ほんやくぶんがく)
Edition 2 (2019)
Winners
9 people破天荒な伯爵の帰郷を軸に、地方都市の噂、政治、哲学が渦巻くハンガリー文学の大作。
破天荒な伯爵の帰郷を軸に、地方都市の噂、政治、哲学が渦巻くハンガリー文学の大作。
ハンガリーの小説家。長文・哲学的な作風で国際的に評価されている。
『Death Is Hard Work』は、シリア内戦下で父の遺体を故郷へ運ぼうとする三きょうだいの旅を描く小説である。短い道のりは検問、暴力、家族の記憶によって引き延ばされ、死者を葬ることさえ困難な世界が浮かび上がる。
父を埋葬する旅は、戦争が生活の細部まで壊したことを示す。
『The Barefoot Woman』は、ルワンダ虐殺で失われた母ステファニアを悼み、その生活、知恵、ユーモアを記憶から編み直す回想録である。家族の物語は、亡くなった人びとを匿名の数字ではなく個々の生として取り戻す行為になる。
母の足跡をたどる文章が、失われた身体のための覆いになる。
『密やかな結晶』は、ある島で鳥や花、写真、記憶までもが少しずつ消えていく世界を描く長編小説である。忘却を強いる権力のもとで、小説家の語り手は編集者をかくまい、失われるものを言葉に留めようとする。
消えていくものを忘れないことが、最後の抵抗になる。
『Crossing』は、アルバニアからイタリアへ逃れようとする二人の若者を軸に、亡命、性、ジェンダー、自己創造を描く小説である。語りは移動先ごとに姿を変え、固定された身元への疑いを物語の形にしていく。
逃げることは、生き延びることでも、自分を何度も作り替えることでもある。
『The Collector of Leftover Souls』は、ブラジルの周縁化された人びとと地域を追ったエリアーニ・ブルムのルポルタージュを英訳で集めた本である。アマゾン、ファヴェーラ、老人ホーム、金採掘の現場などを通じ、日常の中の抵抗と尊厳を描く。
見落とされがちな人びとの声が、ブラジルの現在を別の角度から照らす。
『Space Invaders』は、ピノチェト独裁下のチリで育った子どもたちの記憶と夢から、消えた同級生エストレージャの影をたどる短い小説である。ゲームの断片的な光景が、国家暴力と忘却の比喩になる。
子どもの遊びの記憶が、独裁の恐怖をあとから照らし出す。
『Will and Testament』は、両親の遺産相続をきっかけに、長く断絶していた家族の秘密とトラウマが再燃するノルウェーの小説である。ベルグリョットの語りは、信じてもらえなかった過去をめぐる怒りと自己防衛を執拗にたどる。
相続の争いは、財産ではなく記憶と真実をめぐる闘いへ変わる。
『Drive Your Plow Over the Bones of the Dead』は、ポーランドの山村で起こる連続死を、占星術と動物への倫理を信じる老女ヤニナの視点から語る小説である。推理小説、寓話、エコロジカルな怒りが混ざり合う。
動物たちが復讐しているのではないか、という奇妙な推理が世界の倫理を揺さぶる。