プリ・デセーブル(Prix Décembre)
ぷり・でせーぶる
フランスの主要文学賞のひとつ。1989年にPrix Novembreとして創設され、1998年にPrix Décembreに改称。賞金は15,000ユーロ(2019年以降)。
- 創設年
- 1989
- 主催
- フォンダシオン・ピエール・ベルジェ=イヴ・サン=ローラン(Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent)
- カテゴリー
- 一般文芸・大衆小説
- 選考方式
- 推薦
- 受賞対象
- プロ
- 開催頻度
- 年1回
- 賞のステータス
- 活動中
説明
Prix Décembre(旧称: Prix Novembre)はフランスの主要な文学賞のひとつ。1989年にMichel DenneryによってPrix Novembreとして創設された。1998年、Michel Houellebecqの『素粒子』への授賞をめぐる対立から創設者が辞任し、Pierre Bergéが新たなパトロンとなって賞名をPrix Décembreに改称。現在はフォンダシオン・ピエール・ベルジェ=イヴ・サン=ローラン(Fondation Pierre Bergé - Yves Saint Laurent)が運営を支援している。フランス語の文学作品(主に小説)を対象とし、毎年秋(10月下旬頃)に発表される。賞金額は2017年まで30,000ユーロ、2019年以降は15,000ユーロ。
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 選考(単一段階) | 選考委員会(ジャury)。年によって構成が変わる | — | 公式発表および各種メディア(新聞・オンライン)で発表される |
関連の賞
- Prix Goncourt
- Prix Femina
- Prix Renaudot
- Prix Médicis
過去の受賞者
現代都市に生きる若者たちの欲望や孤独、社会構造とセクシュアリティの交差を鮮烈に描く長編。直接的で時に挑発的な筆致により、疎外や連帯の可能性を探りつつ読者に強い印象を与える作品である。
ケベック出身の小説家。若い世代の感覚や都市生活の現実を鋭く描く作風で注目を集める。
音楽と個人の記憶、女性の声を主題に据えた長編。歌や歌手を巡る物語を通して、喪失や欲望、アイデンティティの揺らぎを繊細に描写し、音楽が記憶や社会的文脈と結びつく様を問い直す作品である。
フランスの作家・ミュージシャン。音楽や女性の身体、アイデンティティをテーマにした作品で国際的に評価されている。
日常の些事や身近な比喩を起点に、哲学的な問いを掘り下げるエッセイ集。軽妙なユーモアと鋭い洞察をあわせ持つ語り口で存在や言語、社会的慣習に対する新たな視座を提示する試みが特徴である。
フランスの作家。哲学的視点や文学的思索を交えたエッセイや評論的作品で知られる。
旅の断片や観察を散文的に綴る作品で、移動することによって生まれる出会いや喪失、風景の記憶を描く。エッセイ的な自由な語り口で日常の細部に目を凝らし、世界と自己の関係を詩的に問い直す内容である。
フランスの作家。旅や観察を軸にした作品を手がける若手作家の一人として評価されている。
家族と地方社会の風景を背景に、世代を越えた確執や過去の影響を描く長編。細やかな人物描写と情景の重ね合わせによって、時間の流れと個人の記憶がどのように交差するかを示し、過去の出来事が現在に及ぼす複雑な影響を浮かび上がらせる。
フランスの作家。家族史や地方社会を題材に、世代間の継承や記憶を描く作品を発表している。
“不在のフランソワ”を描くことで記憶と欠落をめぐる問題を探る作品。ノンフィクションとフィクションの境界を曖昧にし、断片的な証言や文化的文脈を織り交ぜながら、個人史と社会史の交差点を描写する。欠落と再構築のプロセスが中心テーマである。
フランスの作家。文学と歴史、文化の交差を扱う作品で知られ、ノンフィクション的要素と文学的探求を組み合わせる作風が特徴。
私的な記憶と関係性を丹念に掘り下げる自伝的作品。失われた出来事や曖昧な記憶を手がかりに、語り手が自己と他者の境界を見つめ直す過程を描く。観察眼と皮肉を含んだ語り口が特徴で、読者に記憶の可塑性を問いかける。
フランスの作家・エッセイスト。自伝的要素を含む私的な記述で知られ、記憶や個人史の掘り下げを得意とする。
少年バプティストの死を軸に据え、家族の軋轢や記憶の断片を通して喪失と再生を静かに描く長編。語り手の内面と過去の出来事が折り重なり、沈黙や行間に余韻を残す筆致で人間関係の微妙なズレを示す作品である。
フランスの作家。小説や随筆を中心に執筆し、繊細な心理描写や歴史的背景を織り込んだ作品で知られる。
『Un amour impossible』は家族関係と禁忌的な愛をめぐる自伝的要素の強い長篇であり、過去の暴力や記憶の矛盾が語り手の精神を揺さぶる様を赤裸々に描く。文学的な自己告白と社会的タブーへの挑戦が交差する作品である。
フランスの小説家。自伝的要素を取り入れた過激で率直な作風により注目される。家族やタブーを扱う作品が多い。
本書はシグムント・フロイトの生涯と思想を、その時代背景と現代における影響の両面から総覧する評伝である。精神分析理論の成立と受容、批判の歴史を整理し、理論が文化・政治に及ぼした役割を多角的に論じている。
フランスの歴史家・精神分析学者。フロイトや精神分析の歴史研究で広く知られている。
『La Réforme de l'opéra de Pékin』は北京オペラの改革と伝統、翻訳・上演の問題を巡る美学的考察である。東西の舞台芸術が交差する場を分析し、伝統の再解釈や文化移転の難しさを論じるエッセイ的著作としての性格が強い。
フランスの作家・翻訳家。美学や文化論に基づく鋭いエッセイで知られる。
『Les Œuvres de miséricorde』は慈悲や赦し、贖罪を主題とする長編で、個人的喪失と歴史的暴力の記憶が交錯する物語を描く。登場人物たちの行為と選択を通じて、倫理と共感の問題を深く問いかける構成になっている。
フランスの作家。記憶や贖罪、個人的歴史を扱った作品で注目を集める。
『Gaston et Gustave』は二人の登場人物を中心に友情や文学的遺産、記憶の問題を描く小説である。ユーモアと哀感が混在する語りの中で、個人史と文化的継承の関係、世代間の価値観の違いが繊細に描写される。
フランスの作家・出版人。紀行や小説、伝記的要素を含む作品で知られる。
『Le Dépaysement. Voyages en France』はフランス各地を旅しながら「場の違和感(dépaysement)」を観察する随筆集である。風景や街の細部、歴史の痕跡に寄り添い、場所と記憶、身体の関係を丁寧に掘り下げることで、日常に別の視座をもたらす作品となっている。
フランスの作家・エッセイスト。地理や風景、記憶に着目した随筆で知られる。
『Philosophie sentimentale』は感情と思想の交差を主題にした随想集であり、愛や哀愁、倫理的ジレンマを私的な経験と哲学的考察で織り上げる。軽妙さと洞察を併せ持つ文体で、日常的な出来事から普遍的な問いへと視座を広げる。
フランスの哲学者・作家。哲学的エッセイや随想を通して感情や倫理を考察する作品を発表している。
『La Vérité sur Marie』は私的視点から関係性や記憶、真実のあり方を問いかける物語である。静謐で抑制された文体を通じて日常の細部に潜む緊張や孤独、愛の不確かさを繊細に描き出す作品で、登場人物間の微妙な感情の機微に焦点を当てる。
ベルギー出身の作家。簡潔で抑制の効いた文体による私的な物語や観察で知られる。
『Zone』はほぼ一続きのモノローグで綴られる長篇で、主人公の回想を通じて20世紀に刻まれた暴力と記憶、都市や移動の断片を辿る。列車や街、戦場のイメージが重層的に交差し、歴史的連鎖と文化間の緊張を示唆する実験的作品である。
フランスの作家。歴史・文化・記憶を題材にした長篇で国際的評価を得ている。
『Cercle』は断片的な語りと実験的な構成を通して、個人と集団、欲望や暴力、記憶の継承を鋭く描く長編である。時間や視点が循環するように配置され、登場人物の内面と社会環境の緊張が重層的に浮かび上がる作品となっている。
フランスの作家。小説や評論で知られ、実験的な語り口や心理描写を特徴とする作品を発表している。
暴力性と官能、言語表現の限界を押し広げる実験的長編。身体と政治、欲望の交錯を通じて読者に強烈な感覚体験をもたらす問題作であり、言語そのものを試すような表現が特徴。
フランスの前衛的作家。言語実験的で挑発的な作風により賛否を呼ぶことが多い。2006年に『Coma』でPrix Décembreを受賞した。
著者の独断と愛情に満ちた観点からフランス文学の人物や作品を論評する“自己流”の辞典的著作。評論、逸話、エッセイを織り交ぜ、文学史を再読する楽しさと洞察を提供する一冊。
フランスの作家・評論家。文学に関するエッセイや批評、随筆を多数執筆し、機知に富んだ文体で知られる。2005年に『Dictionnaire égoïste de la littérature française』でPrix Décembreを受賞した。
喪失と悲嘆、記憶の表現を中心に据えた自省的な長編。個人的な歴史や他者の死と向き合いながら、言語で喪失をどう表すかを探る文学的思考が展開される作品。
フランスの作家・文学者。喪失や悲嘆を主題にした作品で知られ、文学的思索を深める著作が多い。2004年に『Sarinagara』でPrix Décembreを受賞した。
人間の孤独や逸脱、倫理の揺らぎを断片的で力強い文体で描く長編。日常の裏側に潜む異常性や人間関係の崩壊を克明に描写し、読者に強い印象を残す問題作である。
フランスの小説家。内面の暗部や社会的疎外を鋭く描く作風で知られる。2003年に『Univers, univers』でPrix Décembreを受賞した。
短篇や散文的テクストを通じて、宗教的モチーフや王権、身体性を詩的かつ密度の高い文体で探求する作品群。歴史的人物や出来事を言語で再構築し、記憶と表現の関係を深く掘り下げる。
フランスの作家で、緻密で詩的な文体による短篇や散文で評価される。歴史や人物を言語的に再構築する作風が特徴で、2002年に『Abbés』および『Corps du Roi』でPrix Décembreを受賞した。
時間の流れや個我の揺らぎを実験的な語りで描く作品。自伝的要素とフィクションを交錯させつつ、壊れやすい主体の叫びや声の在り方を文学的に問い直す試みが特徴。
実験的な文体と自伝的要素を併せ持つフランスの作家。言語と主体を巡る前衛的な作品で知られ、2001年に『Le Cri du sablier』でPrix Décembreを受賞した。
主人公カミーユを中心に、家族関係や愛、自己探求を繊細に描く物語。日常の細部に潜む不和や喪失感、個人の内面に潜む傷を丁寧に描写する文芸作品。
フランスの作家。現代の人間関係や日常の機微を描く作品を手がける。2000年に『Camille』でPrix Décembreを受賞した。
フランス各地を取材し、国民戦線(Front National)の支持基盤、組織、社会的影響を現場の証言とデータで描き出すノンフィクション。極右政治の実態を明らかにし、社会的分断の構図を検証する作品。
フランスのジャーナリスト・作家。政治や社会問題を取材・分析する著作が多く、1999年には極右政党を題材にした取材本でPrix Décembreを受賞した。
二人の半兄弟を通して、性、孤独、科学技術の進展がもたらす人間関係の変容を描く長編。近代的個人主義や消費社会の空洞を批評的に照射し、欲望と疎外の問題を追求する作品。
フランスの作家。現代社会の性的・社会的関係の崩壊を冷徹な筆致で描くことで国際的に知られる。1998年に『Les Particules élémentaires (Atomised)』で論争と注目を集めた。
家族の過去と歴史の記憶が現代の生活に影を落とす様を描いた小説。断片的な回想と語りを通して、移民世代の記憶、世代間の継承、個人史と公的歴史の交錯を文学的に表現する作品。
スペイン系の家系を持つフランスの小説家。記憶や移民の体験、家族史を主題にした作品で知られ、1997年に『La Compagnie des spectres』でPrix Novembre(後のPrix Décembre)を受賞した。
『Loués soient nos seigneurs: une éducation politique』は、著者の政治的遍歴と思想形成を回想し論考する作品。個人的経験と理論的考察を結び付けつつ、革命や権力、国家と市民の関係について深い洞察を提示する。
フランスの思想家・作家。革命運動への関与や政治思想、メディア論など多面的な業績で知られる知識人である。
『Les Grandes Blondes』は、軽妙で皮肉な語り口を通して欲望や外見、メディアが生み出す虚構を風刺する小説。登場人物の心理描写と社会観察をユーモア交じりに描き、読者に多層的な読みを促す。
フランスの小説家。緻密で軽妙な文体とユーモアを特徴とし、現代文学で高い評価を受けている。
『La Belle Jardinière』は、地方の風土とそこで暮らす人々の微細な感情を描く人間ドラマ。ささやかな出来事や会話を通して再生や許し、日常に潜む美しさと悲しみが温かく描かれる作品である。
フランスの小説家。人物描写や日常の細部を繊細に描く作風で評価される。
『L'Air de guerre』は、戦争の影響が日常に及ぼす様子を証言や現地観察を通じて描く作品。暴力の連鎖や記憶の問題、倫理に関する問いを掘り下げ、個々の経験から戦争の実相を浮かび上がらせる構成となっている。
フランスのジャーナリスト・作家。紛争地の取材や被害者の証言を通じて戦争の現実を伝えるノンフィクションで知られる。
『Exobiographie』は自伝的要素と幻想を融合させた作品で、伝統的な回想録の枠を逸脱する自由奔放な語り口が特徴。言葉遊びや皮肉を織り交ぜつつ、作者自身の人生を独自の視点から再構成する試みである。
フランスの劇作家・詩人。ユーモアと奇想を交えた戯曲や詩作で知られ、独特の言語感覚を持つ文化人である。
『Regardez la neige qui tombe』は、雪という静謐な風景を通して人生や記憶を省察する散文的作品。短いエピソードや観察を積み重ねる筆致で時間の流れや喪失、孤独を静かに描き出す。
フランスの作家・ジャーナリスト。随筆や小説で日常の断片や記憶を詩的に描く作風で知られる。
『La Chasse au trésor』は“宝探し”を象徴としながら、主人公が過去の断片や失われた欲望を追う物語。家族の秘密や喪失、心理的な探求が絡み合い、象徴的なエピソードを通して人物の内面が徐々に明らかになる。
フランスの作家。内省的で抒情的な作風を特徴とし、個人の記憶や日常の細部を掘り下げる作品で知られる。
『Eau de café』は、コーヒーを象徴的モチーフに用いながらマルティニークの風土と記憶、言語の交錯を描く作品。日常の情景と歴史が重層的に重なり、植民地主義の遺産や郷愁、地域のアイデンティティが丁寧に描写される。
マルティニーク出身の作家。クレオール文化や植民地主義後のアイデンティティを扱う作品で知られ、地域語・文化の表現を重視する。
『Les Passagers du Roissy-Express』は、空港という移動の場で交差する人間模様と現代社会の緊張を描いた観察記録的作品。旅の断片を通じて孤独、移民、政治的対立や社会的不安を浮き彫りにする。
フランスの出版社経営者で作家。左派的な出版活動と政治的エッセイで知られ、社会の断面を鋭く描写する著述活動で評価された。
『Les Manoeuvres d'automne』は、過去の出来事が現在の人間関係に影を落とす様を描いた小説。戦争や政治的な動きが個人の記憶と交錯し、静かな語り口で登場人物の内面と裏切り、和解の可能性を繊細に掘り下げる作品である。
フランスの作家。戦争や記憶、人間関係を題材にした静謐な作風で知られる。『Les Manoeuvres d'automne』でPrix Novembreを受賞した。