ロサンゼルス・タイムズ ブック賞 ろさんぜるす・たいむず ぶっくしょう
第39回(2018年)
受賞者
13名黒人中産階級の生活、学校、職場、オンライン文化を、風刺と不穏さを交えて描く短編集。自己表象、人種的ステレオタイプ、家族や共同体の期待が絡み合い、登場人物たちの痛みと可笑しさが鋭く浮かび上がる。
鋭い風刺とユーモアで、現代の黒人アイデンティティを多面的に描く短編集。
短編で注目された若手作家。社会の周縁にいる人物たちを風刺的に描く。
奴隷制から逃れ、演説家、新聞人、政治活動家として19世紀アメリカの自由の理念を問い続けたフレデリック・ダグラスの大部な評伝。公的な英雄像だけでなく、家族、思想、政治的葛藤をたどり、ダグラスの時代と現代をつなぐ。
フレデリック・ダグラスの生涯を、自由の思想とアメリカ史の核心から描く大著。
アメリカ史、とくに奴隷制と再建期の研究で知られる学者。伝記的研究で高い評価を受ける。
ミシシッピで育った黒人男性としての身体、母との関係、依存、暴力、嘘を、母への手紙の形で掘り下げる回想録。個人史を通じて、人種差別、貧困、ジェンダー、家族の愛の歪みが身体に刻む重さを問い直す。
母への手紙として書かれた、身体と記憶とアメリカの重さをめぐる回想録。
個人的記憶と社会的文脈を交差させるエッセイやノンフィクションで注目される作家。
米国国境警備隊員として働いた著者が、米墨国境で見た移民、死、制度の暴力を記録するノンフィクション。職務として境界を守る側にいた経験と、そこで出会った人々の物語が交差し、国境政策の人間的な代償を浮かび上がらせる。
国境を守る側に立った経験から、境界線の暴力と人間の声を見つめるルポルタージュ。
国境問題や移民の体験を題材にする作家。現地観察に基づくレポートを執筆する。
1980年代シカゴの AIDS 危機と、2015年パリで過去の喪失に向き合う女性の物語を交互に描く長編小説。友情、芸術、家族、共同体の崩壊と再生を通して、世代を越えて残る傷と記憶を追う。
喪失の時代を生きた共同体と、その記憶を抱えて生きる人々を描く長編。
人物同士の繋がりと歴史を丁寧に描く作家。群像劇的な長編で評価を得る。
宇宙を旅して壊れた建築物を修復するクルーの現在と、寄宿学校での恋と別れの記憶を交差させるグラフィックノベル。柔らかな色彩と大きな余白のある画面で、友情、恋愛、喪失、再会への願いを描く。
宇宙の修復作業と初恋の記憶が重なり合う、詩的なSFグラフィックノベル。
若年ながら評価の高い漫画家。幻想的で抒情的な作品で知られる。
第一次世界大戦後から第二次世界大戦終結までのドイツを、外国人旅行者、外交官、記者、学生、芸術家、スポーツ選手らの記録からたどる歴史ノンフィクション。後知恵ではなく同時代の戸惑いや魅惑、見逃し、抵抗の声を集め、ファシズムが日常の風景として立ち上がっていく過程を立体的に描く。
旅行者の何気ない日記や手紙が、第三帝国の空気を後世の読者に手渡す。
旅行記や歴史の分野で著作を持つ作家。研究に基づいた読み物を提供する。
ラゴスで看護師として働くコレデは、美しく奔放な妹アヨオラが恋人を殺すたびに後始末をしてきた。だが、コレデが密かに思いを寄せる医師がアヨオラに惹かれたことで、姉妹の絆、罪悪感、沈黙の均衡が崩れ始める。
ブラックユーモアと姉妹の痛みが、短い章の連なりで鋭く立ち上がる。
ナイジェリア出身の作家。ダークなユーモアとシャープなプロットで注目される。
ジャズ・スタンダードの題名を借り、愛がもたらす不安定さ、記憶と歴史のずれ、喪失の後でなお信じることの危うさを見つめる詩集。哲学的な省察と叙情が重なり、親密さと孤独のあいだを揺れる声が、精密な構文で展開する。
愛に保証がないからこそ、詩は絶望に抗う身振りになる。
内面的な省察と形式の美しさで知られる詩人。複数回の受賞歴がある。
オキシコンチンの普及を起点に、アメリカ各地へ広がったオピオイド危機を追う調査ノンフィクション。製薬会社の販売戦略、医療制度の欠陥、地域社会の崩壊、依存症と向き合う家族や支援者の姿を、長期取材で結びつけて描く。
一錠の鎮痛薬をめぐる物語が、企業、医療、家族、地域社会を巻き込む国家的危機へ広がっていく。
米国内の社会問題、特に薬物危機に関する取材で知られる作家。
ハーレムに暮らすドミニカ系アメリカ人の少女シオマラが、詩を書くことで家庭、信仰、恋、自分の身体への視線と向き合っていく YA 小説。詩の形式そのものが、声を奪われがちな少女の自己表現として機能する。
詩を書くことが、自分の声を取り戻す力になる YA 小説。
パフォーマンス詩のバックグラウンドを持つ作家。若者文化と言語を題材にした作品で注目される。
Library of America の2018年 Innovator's Award は、米国文学を信頼できる形で保存・刊行し、古典から忘れられた作品まで読者に届ける出版活動への評価である。特定の一冊ではなく、団体の継続的な文化的貢献が対象となっている。
米国文学の保存と普及を続けてきた出版団体への特別賞。
米文学の保存と普及に寄与する団体。編集・出版活動に対する貢献でInnovator's Awardを受賞。
Terry Tempest Williams の2018年 Robert Kirsch Award は、米国西部と環境をめぐる文学的・社会的活動の長年の功績をたたえる生涯業績賞である。自然、土地、信仰、政治的責任を結びつけてきた著作活動全体が評価対象となっている。
米国西部と環境をめぐる文学的功績への生涯業績賞。
自然と環境保護をテーマにしたエッセイで知られる作家。地域環境保護への貢献でRobert Kirsch賞受賞。