ギラー賞(旧名:スコシアバンク・ギラー賞)
ぎらーしょう
カナダの英語によるフィクション(長編・短編集・翻訳を含む)に贈られる年次文学賞。1994年創設。
- Established
- 1994
- Organizer
- ギラー財団
- Category
- Research, Translation, and Scholarship
- Selection Method
- 公募
- Target
- Open
- Frequency
- 1 per year
- Announcement Period
- around September–October
- Status
- Active
Description
Giller Prize(ギラー賞)は1994年にジャック・ラビノヴィッチが故ドリス・ギラーを記念して創設した、カナダの英語作品を対象とする年次文学賞です。出版社が作品を出品するジュリードコンペティションとして運営され、長list(2006年導入、10~15点)、ショートリスト(通常5点)を経て11月に受賞作が発表されます。2005年から2023年まではScotiabankが冠スポンサーでしたが、その後名称やスポンサー体制に変更がありました。2014年以降は受賞者に現金100,000カナダドルが贈られ、ショートリスト候補にも所定の賞金が支払われます。翻訳作品が受賞した場合は賞金が原作者と翻訳者で分配されます(過去の規定では70%/30%の配分)。
Prize
- Main Prize
- 受賞者に現金賞(2014年以降は受賞者にCAD 100,000、ショートリスト各候補にCAD 10,000等)およびトロフィー。
- Cash Prize
- 100,000 CAD
- ショートリストの候補者には各CAD 10,000(規定は年により変動)
- 翻訳作品が受賞した場合、賞金は原作者と翻訳者で分配(例:70%/30%)
- トロフィー(過去にYehouda Chaki作のブロンズ像、現在はSoheil Mosunによるデザインなど)
Selection
Selection Process
| Stage | Judges | Pass Rate | Announcement |
|---|---|---|---|
| 応募 | 出版社がエントリーを提出(主催者による受付) | 非公開(年により応募数が異なる) | 応募要項・締切は主催者サイトで案内 |
| 長list選考 | 選考委員パネル(ジュリー)が提出作品から選出 | 通常10~15タイトルを選出(2006年以降の基準) | 通常9月頃に長list発表 |
| ショートリスト選考 | 同じ選考委員パネルが長listから候補を絞る | 長listから通常5点に絞る(年によって変動あり) | 通常10月頃にショートリスト発表 |
| 最終選考・受賞者決定 | 選考委員による最終投票(2015年以降は5名のパネルが一般的) | ショートリストから1組(通常1名)が受賞。例外として同率で複数受賞の年あり(2000年) | 毎年11月の式典(ガラ)で受賞者を発表 |
Criteria
- カナダの作家による、英語で出版されたフィクション(翻訳作品は翻訳者情報を含む)であること
- 前年度に出版された作品であること(応募年の適格性)
- 文学的完成度(文体・言語表現)
- 物語性・構成・独創性
- 作品が示す文化的・批評的価値や影響力
Application Tips
Dos
- 出版社を通じて応募要項に従い、締切を守って提出する
- 応募時に正式な出版情報(出版日、ISBN、翻訳者情報など)を明記する
- 編集・校正を十分に行い、作品の完成度を高める
- プレス資料や作者プロフィールを用意して評価者に背景を伝える
Don''ts
- 応募基準を満たしていない作品を提出しない(対象年度・言語要件を確認)
- 締切後の提出や不完全な提出物を出さない
- 翻訳作品で翻訳者情報を省略しない
From Judges
- 物語の独創性と文体の完成度を重視する
- 短篇集・長篇の形式にかかわらず、作品としての一貫性と深さを示すこと
- 翻訳作品は原作者と翻訳者両方の貢献が評価される
Related Awards
- Governor General's Literary Awards(カナダ総督文学賞)
- Rogers Writers' Trust Fiction Prize
- The Booker Prize(ブッカー賞)
- CBC(Canada)文学関連公募・賞
Official Resources
https://gillerprize.ca/Past Winners
第一次世界大戦の戦場から始まり、20世紀をまたいで四世代に広がる家族のつながりを描く長編小説。戦争の傷、記憶、愛、喪失、そして写真に刻まれる見えないものを、詩的で緻密な文体で結びあわせていく。
記憶は断絶ではなく連鎖として受け継がれ、時間の層のあいだで静かに反響する。
カナダの詩人・小説家。世代をまたぐ記憶や喪失、家族の歴史を丁寧に描く作風で知られる。2024年のGiller Prizeでは世代を貫く長編小説『Held』が受賞した。
祖先の地に移り住んだ若い女性が、兄の家での仕事を引き受けたことをきっかけに、よそ者への不信と説明のつかない出来事に囲まれていく寓意的な長編。服従、排除、権力の偏りを、抑制された文体と不穏な空気で描く実験性の高い作品。
静かに崩れていく日常のただ中で、よそ者であることの重さがじわじわと迫る。
実験的で内省的な作風を持つ作家。言語と倫理、孤立を題材にした作品で注目される。
1929年の列車を舞台に、黒人でクィアな寝台車係バクスターが、白人乗客たちの横暴や幽霊じみた気配、そして自分の秘めた恋心と向き合う歴史小説。鉄道労働の過酷さと、見えない存在として扱われることへの痛みを、静かなユーモアと緊張感の中で描き出す。
列車の揺れの中で、見えないことを強いられた男の願いと恐れが静かに膨らんでいく。
カナダの作家。歴史的テーマや社会的課題を扱う作品で知られる。
難民の少年アミールと島に住む少女ヴァンナの出会いを通じて、移動、共感、無関心を描く物語。
漂着した少年と島の少女が、危険な世界を進む。
作家・ジャーナリスト。政治や環境、難民問題を題材にした社会派の小説で知られる。
ラオス系移民の生活や家族、喪失を鋭く切り取った短編集。静謐で切れ味のある文体が特徴で、言葉にならない感情や孤独を繊細に描写する。
ラオス系カナダ人の作家。鋭い観察眼と簡潔な文体で移民や日常の断絶を描く短編作家として高い評価を受ける。
フェリシアとエドガーの偶然の出会いから、血縁だけでは説明できない家族の形が広がっていく。移民、階級、人種、親子関係が絡み合い、郊外の生活の中で人が互いを作り替えていく様子を描く。
家族は生まれるものではなく、関係の衝突から何度も作り直される。
カナダの作家・詩人。詩的な感性と物語性を融合させた作風で知られる。
バルバドスの砂糖農園で奴隷として育った少年ワシントン・ブラックが、主人の兄のもとで世界を広げ、逃亡と旅を通して自分の輪郭を探していく。奴隷制の暴力と自己形成の物語を重ねた歴史長編。
奪われた自由のなかで、それでも自分を作り直そうとする少年の旅。
カナダの小説家。歴史と記憶を主題にした力作で国際的評価を得ている。
作家が自分と似た人物の謎を追う過程で、記憶や罪、家族の秘密と向き合う心理小説。メタフィクション的な仕掛けを通じて、アイデンティティの揺らぎを掘り下げる。
似た者の影を追ううちに、記憶と罪が自分へ跳ね返ってくる。
カナダの作家・劇作家。多層的な物語構成と繊細な心理描写で知られる。
20世紀中国史を背景に、音楽家たちと家族の運命を通して文化大革命とその余波を描く。記憶、継承、喪失が音楽の響きとともに重なり合う群像小説。
音楽と家族史を通して、中国現代史を描く群像小説。
カナダの作家。複雑な歴史と個人の記憶を結びつける重厚な作品で国際的に評価される。
神々の賭けによって人間の意識と言語を与えられた15匹の犬たちの群像を通し、言語、意識、幸福、倫理、共同体の意味を哲学的に問う寓話的長編。
カナダの小説家。寓話的で哲学的な作風を特徴とし、動物を通して人間性を問い直す作品で知られる。
発明家レオン・テルミンと奏者クララ・ロックモアの関係を軸に、音楽、スパイ活動、亡命、夢見のような記憶が交差する。
テルミンの音色のように、物語は遠く響きながら人の生涯を追う。
カナダの作家・音楽評論家。音楽と文化を題材にした作品で知られ、音楽史と個人の記憶を結びつける作風が特徴。
小さな町の孤独で奇妙な生を切り取る短編集。
小さな町の孤独で奇妙な生を切り取る短編集。
現代社会の人間関係や孤独をユーモアと鋭い観察で描くカナダの作家。短編で高い評価を受け、2013年に『Hellgoing』でGiller Prizeを受賞した。
ナイジェリアでの詐欺事件を起点に、ひとりの母が真相を追う小説。
ナイジェリアでの詐欺事件を起点に、ひとりの母が真相を追う小説。
旅行記や風刺的な小説で知られるカナダの作家。社会風刺とユーモアを交えた筆致で多面的な作品を発表している。
ナチス支配下のヨーロッパを逃げるジャズ演奏者たちの物語。音楽、恋、忠誠が生存と絡み合う。
ナチス支配下のヨーロッパを逃げるジャズ演奏者たちの物語。音楽、恋、忠誠が生存と絡み合う。
歴史的背景を取り入れた重厚な小説で国際的評価を受けるカナダの作家。音楽や人種問題を織り交ぜた物語構成に定評がある。
父の過去と娘の記憶が交差する、静かな心理小説。
父の過去と娘の記憶が交差する、静かな心理小説。
カナダの作家。家族や記憶、真実の曖昧さを主題にした繊細な作風で知られ、独特の語りと心理描写に定評がある。
聖職者の権力、罪責、性的虐待の余波を見つめる小説。
聖職者の権力、罪責、性的虐待の余波を見つめる小説。
長年CBCで調査報道に携わったジャーナリストであり作家。報道経験を活かした物語性の高いフィクションで評価されている。
行方不明の妹を探すクリー家族の物語。北の土地の記憶と喪失が重層的に立ち上がる。
行方不明の妹を探すクリー家族の物語。北の土地の記憶と喪失が重層的に立ち上がる。
先住民や北部地域の歴史・社会を題材にした作品で知られるカナダの作家。複雑な家族史やコミュニティの問題を扱う作品が多い。
イエローナイフのラジオ局を舞台に、声と愛と土地の緊張を描く小説。
イエローナイフのラジオ局を舞台に、声と愛と土地の緊張を描く小説。
土地と記憶を題材に人間関係の機微を描くカナダの小説家。穏やかな筆致で登場人物の内面と風景を結びつける作品群で知られる。
医学生たちの友情と倫理が、病院という現実の中で試される連作短編集。
医学生たちの友情と倫理が、病院という現実の中で試される連作短編集。
医療従事者としての経験を背景に執筆するカナダの作家。臨床の現場を舞台に人間の脆さや倫理を描いた短編集で高く評価された。
父の失踪をきっかけに、娘と息子がベトナムへ向かい、記憶と赦しを探す小説。
父の失踪をきっかけに、娘と息子がベトナムへ向かい、記憶と赦しを探す小説。
カナダの小説家。家族や過去の影響を主題にした作品を多く手がける。静かな筆致で人物の内面を描き、2005年に『The Time in Between』でGiller Prizeを受賞。
女性たちの逃避と自立を、家族の影とともにたどる連作短編集。
女性たちの逃避と自立を、家族の影とともにたどる連作短編集。
カナダを代表する短編作家。日常の細部や人間関係の機微を繊細に描き、省略と示唆に富む作風で国際的評価を得る。2013年にノーベル文学賞受賞。
ケニア独立前後を舞台にインド系ケニア人ヴィクラム・ラルの成長と挫折を描く歴史小説。民族間の緊張、政治的裏切り、帰属意識の葛藤が個人史を通して生々しく描かれる。
ケニア独立前後を舞台にインド系ケニア人ヴィクラム・ラルの成長と挫折を描く歴史小説。民族間の緊張、政治的裏切り、帰属意識の葛藤が個人史を通して生々しく描かれる。
東アフリカ出身でカナダを拠点に活動する小説家。移民や植民地主義、家族史を主題にした作品で知られる。
バルバドスの島を舞台に、老女の一夜の告白が、植民地主義、暴力、欲望、記憶の層を少しずつ浮かび上がらせる。
ひとつの告白が、島の歴史そのものを呼び出す。
バルバドス出身でカナダ在住の作家。植民地主義や移民経験、黒人コミュニティの複雑さを題材にした作品で知られる。
1930年代のオンタリオとニューヨークを往復しながら、二人の姉妹の手紙と日記を通して、女性の自立と社会の圧力を描く。
手紙の往復が、姉妹の距離とつながりを同時に浮かび上がらせる。
カナダの小説家で、繊細な人物描写と時代背景を生かした物語で知られる。社会と個人の内面を丁寧に描く。
スリランカへ戻った法医学者アニルが、古い遺骨の調査を通して、内戦下の暴力と歴史の沈黙を追っていく。
遺骨の調査が、封じられた歴史をほどいていく。
詩的な文体と記憶の描写で国際的に知られる作家。『イングリッシュ・ペイシェント』などで高い評価を受ける。
ニューブランズウィックの小さな共同体を背景に、暴力を拒む男シドニー・ヘンダーソンの信念が、貧困と偏見の中で試される。
慈悲の誓いが、そのまま試練になる。
カナダ東部(ニュー・ブランズウィック)出身の作家。地域社会に根ざした人間ドラマを重厚に描くことで知られる。
カナダの家庭を三世代にわたって描き、家族の希望と崩れやすさを見つめる小説。
家という器に、世代ごとの記憶と緊張が重なっていく。
カナダの作家。家族や日常生活を丁寧に描く作風で評価される。
八つの短編が、カナダ西部の静かな暮らしの奥にある秘密、喪失、欲望、罪責を、少しずつ照らし出す。
ありふれた日常の下に、言葉にならない感情が沈んでいる。
カナダを代表する短編作家。日常の細部から人間の複雑さを浮かび上がらせる筆致で知られ、ノーベル文学賞受賞歴もある。
家族の過去と現在を、皮肉とユーモアを交えながらたどる長編小説。
家族史は、都合よく整うことがない。
カナダの著名な作家。ユーモアと皮肉を交えた社会描写で知られ、カナダ社会の矛盾を描いた作品群がある。
19世紀カナダの実在事件を下敷きに、グレース・マークスと精神医学者の対話を通して、記憶、証言、責任の曖昧さを描く。歴史小説であり、語りの信頼性を問う小説でもある。
証言が食い違うたび、真実はさらに深い層へ沈んでいく。
カナダを代表する作家。フェミニズムや環境問題、記憶とアイデンティティを扱う作品で国際的に評価される。
1970年代から1980年代のインドを背景に、出自の異なる四人が出会い、支え合いながら生き延びていく長編。国家の暴力と貧困のなかで、連帯がかろうじて希望になる。
貧困と暴力の中で、四人の連帯が希望になる。
インド出身でカナダを拠点に活動する小説家。社会的現実と個人の尊厳を重視した筆致で知られる。
ダル・エス・サラームで古い日記が見つかり、退職した教師が植民地時代の東アフリカへとつながる記憶と家族の歴史をたどり始める。
一冊の日記が、個人史を植民地の歴史へつなぎ直す。
東アフリカ出身でカナダを拠点に活動する小説家。移民や植民地主義、家族史を主題にした作品で知られる。