アメリカン・ブック・アワード あめりかんぶっくあわーど
第22回(2001年)
受賞者
19名チカソー族の女子寄宿学校ブロムフィールド・アカデミーの歩みを、口述証言と記録資料を手がかりにたどる歴史書。教育が同化ではなく共同体の持続を支える手段として働いた過程を、学校の設立から制度変化までを通して描く。
教育を同化の道具ではなく、共同体を守る力として描き直す。
ユダヤ人への迫害と女性差別を重ね合わせ、歴史・文学・政治を横断しながら抑圧の構造を読み解く批評的な一冊。民族とジェンダーの双方に向けられた暴力を、挑発的だが理路整然とした筆致で掘り下げる。
女性とユダヤ人は、なぜ社会のスケープゴートにされてきたのか。
チリやブラジルでの経験を背景に、亡命、政治的暴力、移動する身体の記憶を掘り下げる詩集。
異郷を旅した視線が、歴史の傷と個人の記憶を結び直す。
アメリカの対外軍事行動が生むブローバックを軸に、帝国化する米国と日本の対米依存を批判的に論じる。
軍事力を広げるほど、その代償は跳ね返ってくる。
アメリカの海外介入が生む予期せぬ反作用を、沖縄、アジア通貨危機、イラク、バルカンなどの事例から検証する。冷戦後の米国の軍事・外交政策を批判的に読み解き、帝国化の代償を問い直す一冊。
「ブローバック」とは、国外で行った行為がやがて国内へ跳ね返ってくるという発想だ。
孤独な青年ジミー・コリガンが、顔も知らない父親と会うためにミシガンへ向かう物語。1890年代のシカゴと1980年代の郊外を行き来しながら、家族の断絶、記憶の層、時間のずれを緻密なページ設計で描き出す。
顔も知らない父親に会いに行く旅が、家族の断絶と記憶の層を浮かび上がらせる。
カリフォルニアの農場労働キャンプで育った記憶と、移民労働者たちの暮らしをたどる詩集。家族の記憶、労働の重み、土地への感覚的な愛着が交差し、証言性と抒情性をあわせ持つ。
労働キャンプの記憶を、土と果実の匂いまで立ち上がる詩へ変える。
1950年代のトリニダードで起きた殺人事件の噂をきっかけに、幼なじみだった二人の女性が再び向き合う。人種、階級、性別の緊張が、抑圧的な家庭の内部と島の社会全体に同時に広がっていく。
噂が、封じられていた記憶と連帯を呼び戻す。
中米、自然、家庭内の暴力をまたぐイメージの連鎖で、個人的な経験と政治的暴力を結びつける詩集。
暴力と抵抗をつなぐ受賞詩集。
Philip Whalen の代表作を選び直した選詩集。日常の観察、禅、ユーモア、自己言及がゆるやかに連なり、ビート世代の詩人としての声を改めて伝える。
日常の細部から詩を立ち上げる、Philip Whalen の選詩集。
アジア系アメリカ人の移動、欲望、家族の断絶、信仰、AIDS などを通して、現代のディアスポラの生を描く短編集。カリフォルニアや台湾を往還しながら、アイデンティティと親密さのかたちを静かに問い直す。
移民経験の影と、身体と精神のあわいにある親密さを、鋭くも静かな筆致でたどる。
十四編の短編を三部構成で束ねた作品集。中国系アメリカ人の移民経験、性愛、AIDS、仏教的な再生感覚を行き来しながら、周縁に生きる人々の欲望と喪失を描く。
移動と喪失のなかで、それでも人はどこに居場所をつくれるのか。
テッド・ジョーンズの四十年にわたる詩業を一冊に集めた選集。ラングストン・ヒューズの影響を受けた力強い言葉遊びと、ジャズ、シュルレアリスム、黒人の経験への視線が交差し、ビート世代の周縁から生まれた独自の声を示す。
四十年にわたる詩と挑発を、ひとつの声に束ねた決定版。
ティリー・オルセンの代表的な評論集で、文学史の中で聞き落とされてきた女性や労働者階級の書き手の声を、記憶と批評を通して掘り起こす。メルヴィル、ハーディ、キャザー、ウルフなどの例を手がかりに、何が書かれ、何が沈黙させられてきたのかを問い直す一冊。
文学の「沈黙」を問い直し、埋もれた声を掘り起こす批評集。